有色体は、植物細胞内部にみられる細胞小器官の一種です。聞きなれない用語かもしれないが、我々のよく知っている”ある細胞小器官”の仲間です。不思議な細胞小器官の一端をのぞいてみよう。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらうぞ。
ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
有色体は色素体の一つ
有色体(ゆうしょくたい)とは、植物の組織にみられる色素体(しきそたい)のうちの1つです。英語では Chromoplast(クロモプラスト)とよばれます。
有色体が含まれている色素体は、いくつかのグループに分けることができますので、まずはそれをご紹介しましょう。
色素体とは?
色素体は、植物や藻類の細胞内部にみられる、色素をふくんだ、もしくは色素をつくる能力をもった細胞小器官です。英語ではplastid(プラスチド)とよばれます。
いえいえ、そんなことありません!たとえば、”色素体”は聞いたことがなくても、”葉緑体”はご存じですよね。葉緑体は光合成をするために必要な色素をふくんだ、色素体の内の一つです。
色素体は大きく「葉緑体」「白色体」「有色体」の3つのグループ分けて考えられることが多いようです。
これらの色素体の間には深い関係がありますので、有色体以外の、その他の色素体についても少し言及しておきましょう。
葉緑体と白色体
葉緑体は皆さんおなじみの細胞小器官。前述のように、光合成をするのに必要な色素をふくんでいます。多量のクロロフィル(葉緑素)という色素や、カロテノイドという色素が含まれていることで、緑色に見えるのです。
光合成植物の多くが緑色なのは、葉緑体をもっているからにほかなりません。
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白色体(はくしょくたい)というのは、文字通り”白い”、緑や赤といった色素をもたないタイプの色素体です。デンプンを多く含むアミロプラストや、タンパク質を多く含むプロテイノプラスト、脂質を貯蔵するエライオプラストなどがこれにあてはまります。
じつは、3つのグループの色素体はいずれも原色素体(プロプラスチド)という、共通の細胞小器官が分化することでできるのです。言ってしまえば、同じ親から生まれる兄弟のようなものなので、まとめてあつかう方がいいのですね。
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さらに、すでに分化した色素体は、べつの色素体に再分化することがあるという特徴もあります。たとえば、それまで白色体として存在していたものが、葉緑体になったりすることがあるんです。
ちなみに、すべての色素体のもととなる原色素体は、頂端分裂組織などの分裂細胞に多く含まれています。原色素体自体も盛んに分裂し、数を増やしているのです。
ではそろそろ、今回のテーマである有色体の話をしていきましょう。
有色体とは?
有色体は、前述の通り色素体のなかまです。カロテノイドという色素を大量に含んでいるという特徴があります。
のちほど詳しくふれますが、カロテノイドは種類や量によって黄色や橙色、赤色などさまざまな色を呈する色素です。そのためか、色素体には雑色体という呼び方もあります。
カロテノイド
カロテノイド(またはカロチノイド)という色素は、炭素が40個つながった骨格をもつ化合物を一まとめにしたグループです。有機化合物の中でも”脂肪族炭化水素”というグループに分類されます。この辺のお話は、有機化学の分野も参考にしてみてください。
一口にカロテノイドといっても、その種類は実にさまざま。なんと、自然界からは700種類以上のカロテノイドが見つかっているんです!
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