この記事では「目端が利く(めはしがきく)」について解説する。

端的に言えば目端が利くの意味は「機転が利く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「目端が利く」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

目端が利くをはじめ、目や鼻を使う慣用句の多さにはいつも驚かされているとか。目端が利くとはどんなときに使う言葉なのか解説してもらう。

「目端が利く」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「目端が利く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「目端が利く」の意味は?

「目端が利く」には、次のような意味があります。

その場に応じてよく才知が働く。機転がきく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

ビジネスシーンでも、社員の有能さを表すような場面で使われることがある「目端が利く」。単に頭がいいとか知識・経験が豊富というのとは異なり、状況判断に優れていて最適な選択をできるようなタイプを褒める場合に使われます。

「目端が利く」の語源は?

次に「目端が利く」の語源を確認しておきましょう。まず「目端」は「目で見える端から端まですべて」ということで、ここから「時機をよく見る頭の働き」の意味があります。この「時機(じき)」とは、「何かを行うのに最適の機会」のこと。タイミングを逃すことを「時機を逸する(じきをいっする)」ともいいますよ。

そして「利く」は「得意である、技量がある」の意味。「左利き」「気が利く」などと使いますね。この2つの語が合わさって、「場面にふさわしい適切な対応ができる」ことを「目端が利く」というようになりました。意味を考えれば、「聞く」や「効く」を使うのは間違いだと分かりますね。

「目端が利く」の使い方・例文

「目端が利く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「目端が利く」の類義語は?違いは?」を解説!/

・先日の会議で彼が新プロジェクトのリーダーに決まったのは、ひとえに「目端が利くから」と部長が推薦したためらしい。

・目端が利く彼女のことだから、独立開業してもきっと成功を収めるだろう。

 

このように、臨機応変な対応ができる優秀さを称える際に使われるの「目端が利く」ですが、人によっては「抜け目がない」「ずる賢い」という印象を持つことも。先を見る目があり機転が利く人は、能力の使い方次第で「ずるい」と思われてしまうのでしょう。こちらの否定的なニュアンスで受け取られる可能性もあるので、人を褒める場合には褒めているとしか受け取りようがない言葉、ここでは「機転が利く」「先見の明がある」などを使うほうが無難かもしれませんね。

「目端が利く」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「目端が利く」と似た意味で使える表現を見ておきましょう。

その1「目から鼻へ抜ける」

「目端が利く」と同じように「目」が出てくる慣用句で、非常に頭の働きのよいさまや、抜け目なくすばしこいさまを指します。状況判断に優れている様子を表す点は「目端が利く」と似ていますね。この「目から鼻へ抜ける」の由来は、奈良時代の大仏建立時の逸話にあるという説も。大仏を制作していた際、片目を入れ忘れたことに気づいた職人が大仏の目の中に入って目玉をはめたところ出られなくなり、鼻の部分から出てきたのが起源だという説です。本当かどうかは分かりませんが面白いですね。

その2「機を見るに敏(きをみるにびん)」

好都合な状況や時期をすばやくつかみ、的確に行動する様子をいいます。そのときの情勢を見極め、タイミングを見て適切な行動がとれることは、経営者には必須の資質かもしれませんね。

その3「才気走る(さいきばしる)」

いかにも才能にあふれた様子が見えることをいいます。「目端が利く」の意味のうち、「よく才知が働く」の部分と共通しますが、特に「時機を捉えて」のニュアンスはありません。「気」が入らず、「才走る(さいばしる)」と使うこともありますよ。

 

\次のページで「「目端が利く」の対義語は?」を解説!/

・ハイジャック事件に巻き込まれ、一時はどうなることかと思ったが、機長が目から鼻へ抜けるような対応をしてくれて事なきを得た。

・創業者が機を見るに敏なタイプだったので、あの会社は設立からわずか5年で株式上場を成し遂げました。

・中途入社の彼はいかにも才気走った雰囲気を醸し出して、次々と社内の人脈を築いていった。

「目端が利く」の対義語は?

次に、「目端が利く」と逆の意味で使われる言葉を紹介します。

その1「愚鈍(ぐどん)」

「おろかでにぶい」という文字が表すとおり、判断力や理解力が劣っていること、頭が悪くのろまなことを指します。

「目端が利く」が持つ才能にあふれてテキパキと物事を決断していく様子とは逆のニュアンスがありますね。ただ、「愚鈍」はシチュエーションを限定せずに人物を指して使われる言葉で、「その場に応じた機転が利かない」という特定の意味はありません。

その2「間が悪い(まがわるい)」

タイミングが悪い、折が悪いことです。何をするにも人より一歩で遅れてしまったり、「よりによって今でなくとも」というときにミスをしてしまうような人が周囲にいませんか。そんなとき「間が悪い」と表現します。「目端が利く」の「その場に応じてうまく動ける」とは反対ですが、人物の評価に限定されず状況を説明する際にも使われますよ。

ただ、この「間が悪い」には、「なんとなく恥ずかしい、ばつが悪い」という意味も。こちらの用法の際は、「目端が利く」の反対とは言えませんから気をつけましょう。

 

・みにくいアヒルの子の物語のように、愚鈍だと思われていた生徒が思わぬ成績アップをして難関校に合格することがあるから面白い。

・気合いを入れて丁寧な謝罪をしたのだが、間が悪いことに外出前の忙しい時間だったらしくかえって機嫌を損ねてしまった。

「目端が利く」の英訳は?

image by iStockphoto

「目端が利く」を英語で表現する方法を解説します。

その1「resourceful」

「目端が利く」を一単語で表すならこれがいいでしょう。「resource」は日本語でも「リソースが不足している」などと使うとおり「資金、資源」の意味です。ここに「~に満ちた」を表す接尾語の「ful」をつけると「才覚がある、要領の良い」の意味になります。

ただ、この「resourceful」は「資金・人材が豊富な」の意味でも使われるので、文脈によって判断が必要です。

\次のページで「その2「quick witted」」を解説!/

その2「quick witted」

機転が利く、頭の回転が速いという意味です。quickはよく使われる「素早い」、wittedは形容詞で、「~の才能がある」ということ。名詞のwitは「機転、理解力」を意味しており、日本語でも「ウイットに富んだ表現」のように使いますね。

また、「ready witted」も「機転の利く、機知に富む」と同じような意味を表せますよ。

「目端が利く」の誤用に注意しよう!

桜木先生ご指摘のとおり、「目鼻が利く」などと誤用されることが多いのが「目端が利く」です。原因はおそらく、「目鼻がつく」との混同ではないでしょうか。これは、肖像画や人形に目と鼻が描かれる(作られる)と大体の雰囲気が決まることから、「物事のおおよその見通しが立つこと」をいいます。「目端が利く」とは全く関係ありませんね。

類語で紹介した「目から鼻へ抜ける」など、ほかにも「目」「鼻」を使う慣用句はたくさんあります。混ざってしまわないように気をつけましょう。

「目端が利く」を使いこなそう

この記事では「目端が利く」の意味・使い方・類語などを説明しました。外資系企業などでは、特にこの目端が利くタイプが重用されるという記事もありました。普通の人間にとっては、常にアンテナを張ってタイミングを見極めて動くのは疲れそうな気もします。こつこつと目の前の作業に集中する職人の技も素敵ですし、それぞれの性格に合った仕事に就けることが幸せのもとかもしれませんね。

" /> 【慣用句】「目端が利く」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「目端が利く」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「目端が利く(めはしがきく)」について解説する。

端的に言えば目端が利くの意味は「機転が利く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「目端が利く」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

目端が利くをはじめ、目や鼻を使う慣用句の多さにはいつも驚かされているとか。目端が利くとはどんなときに使う言葉なのか解説してもらう。

「目端が利く」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「目端が利く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「目端が利く」の意味は?

「目端が利く」には、次のような意味があります。

その場に応じてよく才知が働く。機転がきく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

ビジネスシーンでも、社員の有能さを表すような場面で使われることがある「目端が利く」。単に頭がいいとか知識・経験が豊富というのとは異なり、状況判断に優れていて最適な選択をできるようなタイプを褒める場合に使われます。

「目端が利く」の語源は?

次に「目端が利く」の語源を確認しておきましょう。まず「目端」は「目で見える端から端まですべて」ということで、ここから「時機をよく見る頭の働き」の意味があります。この「時機(じき)」とは、「何かを行うのに最適の機会」のこと。タイミングを逃すことを「時機を逸する(じきをいっする)」ともいいますよ。

そして「利く」は「得意である、技量がある」の意味。「左利き」「気が利く」などと使いますね。この2つの語が合わさって、「場面にふさわしい適切な対応ができる」ことを「目端が利く」というようになりました。意味を考えれば、「聞く」や「効く」を使うのは間違いだと分かりますね。

「目端が利く」の使い方・例文

「目端が利く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「目端が利く」の類義語は?違いは?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: