この記事では「聞き耳を立てる(ききみみをたてる)」について解説する。

端的に言えば聞き耳を立てるの意味は「注意してよく聞く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「聞き耳を立てる」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

学生の頃はうわさ話を気にして友達の会話に聞き耳を立てることもあったが、今は「言いたい人には何とでも言わせておけ」と割り切っているとか。そのほうがストレスなく暮らせているとのこと。「聞き耳を立てる」とはどんなときにどう使うのか、解説してもらう。

「聞き耳を立てる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「聞き耳を立てる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「聞き耳を立てる」の意味は?

「聞き耳を立てる」には、次のような意味があります。

注意を集中してよく聞こうとする。耳を澄ます。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

学校の教室でこちらをちらちらと見ながらひそひそ話をしている友達がいたら、「何を話しているの?」と興味が湧いたり、「私の悪口?」と不安になったりしませんか。するとつい、漏れ聞こえる声をどうにか聞き取ろうとしたくなりますね。そんな様子を表すのが「聞き耳を立てる」です。もちろん学校に限らず、会社で重要事項が話し合われているならいち早く内容を知りたくなりますし、主婦なら近所の人の立ち話が気になることも。

話し手や話される内容を問わず、さらには会話でなく機械が不調な原因を追及するためであっても、とにかく集中して耳を澄ますことを指す表現です。

「聞き耳を立てる」の語源は?

次に「聞き耳を立てる」の語源を確認しておきましょう。まず「聞き耳」は単独でも辞書に載っており、よく聞こうとすることを指しています。また、ここでの「立てる」は、人間ではなく動物が音を捉えるために耳を立てる様子が由来ではないかという説も。元となる動物としては犬、馬、うさぎなど諸説あり、はっきりとはわかりません。

とはいえ人間も、一生懸命小さな声や物音を聞き取ろうとすると耳をそちらの方に向け、「立てる」ことこそできないものの普段よりも耳の存在を強く意識しますね。そんな様子を「立てる」と表した可能性もありそうです。

\次のページで「「聞き耳を立てる」の使い方・例文」を解説!/

「聞き耳を立てる」の使い方・例文

「聞き耳を立てる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・部長と課長が二人で会議室にこもって密談していた。何事かと聞き耳を立てた結果、新入社員の誤字脱字の多さについて愚痴っているだけで拍子抜けした。

・彼女は数年前、スキャンダルで追われたことがある。それ以来、隣近所に記者が聞き込みにくる足音にも聞き耳を立てるほど、ナーバスになっている。

このように「聞き耳を立てる」は、集中して聞き取ろうとする場合に用います。それもどちらかというと、聞く必要はないのに聞く、または聞くべき立場にはないのに聞く際に使うことが多い言葉。ですから、上司や先輩に「いろんなことに聞き耳を立ててるんですね」などと使うと、あまり褒めている印象にはなりません。使い方には注意が必要で、この場合は「いろいろなことにアンテナを張ってるんですね」ぐらいのほうがふさわしいでしょう。

「聞き耳を立てる」の類義語は?違いは?

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では、「聞き耳を立てる」と似たニュアンスで使える表現を見ていきましょう。

「耳をそばだてる」

辞書では「耳を澄ますに同じ」とあり、「耳を澄ます」とは聞こうとして注意を集中すること。なお、「そばだてる」だけでも、「耳や目の注意力をそのほうへ集中させる」という意味がありますよ。

\次のページで「「耳をダンボにする」」を解説!/

「耳をダンボにする」

ダンボはご存じ、ディズニーで映画化もされたゾウのキャラクターです。アニメに出てくる固有名詞が慣用句になっているのは珍しいのではないでしょうか。何かが気になって一生懸命聞くときは、実際に耳が大きくなるわけではありませんが普段より耳を意識しますね。また、音を集めようと無意識に手を耳の後ろに当てることも多いもの。そんな様子を、耳が大きいゾウに例えた表現です。

ちなみに「耳をダンボにする」は1980年台に流行した言い方だそうで、年代によってはなじみがないかもしれませんね。40代の筆者の場合、小説か何かで見かけたことはありますが、リアルな知り合いが「耳をダンボにする」と言っているのを聞いたことはないような気がします。

・カフェで数人の女子高生が化粧品の話をしていた。新しいサービスのヒントが得られるのではないかと、思わず耳をそばだててしまった。

・顔見知りがいるのを横目に見て挨拶しようと思いながらも、つい趣味のオンラインサロンの会話に耳がダンボになっていた。

「聞き耳を立てる」の対義語は?

次に、「聞き耳を立てる」と反対のニュアンスを持つ表現を考えてみましょう。「集中して聞く」の逆ですから、「なんとなく聞く」といった言葉がよさそうです。

「聞き流す」

聞いても心にとめないでおくことです。情報収集に躍起になる「聞き耳を立てる」と異なり、淡々とした雰囲気がありますね。ただ、この「聞き流す」は、入手した情報にどの程度重きを置くかという観点で用いられる場合がほとんど。その意味では、情報を得るために注意を傾ける「聞き耳を立てる」の正反対とまでは言えないかもしれません。

「耳を貸さない」

肯定形の「耳を貸す」は「人の言うことを聞く、相談に乗る」という意味。その否定形ですから、聞こうとしない様子を表せます。ただ、「耳を貸す・貸さない」は、単に情報として聞くかどうかというよりは、意見を聞き入れるといったニュアンスも強い言葉。ですから、「私の言うことに耳を貸してくれない」といった場合、ただ音として聞いてくれないというよりは、「意見を採用されない、取るに足らないもののように扱われた」という印象があります。その点ではこちらも、「聞き耳を立てる」の正反対とも言い切れませんね。

「聞き耳を立てる」の英訳は?

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最後に、「聞き耳を立てる」の英語表現を見ておきましょう。

\次のページで「「cock the ears」」を解説!/

「cock the ears」

cockには「~をピンと立てる」の意味があります。「聞き耳を立てる」と同じく、「耳を立てる」という表現で同じ意味を表せるのは助かりますね。

ちなみにcock one's eyeと「目」を用いると、「注意深く見る」という意味で使えますよ。

「eavesdrop」

「盗み聞きする、立ち聞きする、聞き耳を立てる」の意味です。ちなみにeaveは家の軒や庇、eavesdropは雨だれのことで、軒下で雨宿りするふりをして家の中の様子を盗み聞きする様子からこう表現されるようになりました。

「聞き耳を立てる」を使いこなそう

この記事では「聞き耳を立てる」の意味・使い方・類語などを説明しました。筆者が最近目にした記事には、スマートスピーカーがあると家庭内の日常会話がすべて聞かれているようで落ち着かない、という意見でした。スピーカー自体は聞き耳を立てるのが仕事のようなものですが、集められた情報の行方や利用方法は確かに危惧されますね。

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【慣用句】「聞き耳を立てる」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「聞き耳を立てる(ききみみをたてる)」について解説する。

端的に言えば聞き耳を立てるの意味は「注意してよく聞く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「聞き耳を立てる」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

学生の頃はうわさ話を気にして友達の会話に聞き耳を立てることもあったが、今は「言いたい人には何とでも言わせておけ」と割り切っているとか。そのほうがストレスなく暮らせているとのこと。「聞き耳を立てる」とはどんなときにどう使うのか、解説してもらう。

「聞き耳を立てる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「聞き耳を立てる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「聞き耳を立てる」の意味は?

「聞き耳を立てる」には、次のような意味があります。

注意を集中してよく聞こうとする。耳を澄ます。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

学校の教室でこちらをちらちらと見ながらひそひそ話をしている友達がいたら、「何を話しているの?」と興味が湧いたり、「私の悪口?」と不安になったりしませんか。するとつい、漏れ聞こえる声をどうにか聞き取ろうとしたくなりますね。そんな様子を表すのが「聞き耳を立てる」です。もちろん学校に限らず、会社で重要事項が話し合われているならいち早く内容を知りたくなりますし、主婦なら近所の人の立ち話が気になることも。

話し手や話される内容を問わず、さらには会話でなく機械が不調な原因を追及するためであっても、とにかく集中して耳を澄ますことを指す表現です。

「聞き耳を立てる」の語源は?

次に「聞き耳を立てる」の語源を確認しておきましょう。まず「聞き耳」は単独でも辞書に載っており、よく聞こうとすることを指しています。また、ここでの「立てる」は、人間ではなく動物が音を捉えるために耳を立てる様子が由来ではないかという説も。元となる動物としては犬、馬、うさぎなど諸説あり、はっきりとはわかりません。

とはいえ人間も、一生懸命小さな声や物音を聞き取ろうとすると耳をそちらの方に向け、「立てる」ことこそできないものの普段よりも耳の存在を強く意識しますね。そんな様子を「立てる」と表した可能性もありそうです。

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