この記事では「目から鱗が落ちる」について解説する。

端的に言えば目から鱗が落ちるの意味は「あることがきっかけになり物事の実態が分かるようになる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「目から鱗が落ちる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「目から鱗が落ちる」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「目から鱗が落ちる」ということわざをご存知でしょうか?いろはかるたでも馴染みのある上に日常的に使われることも多いことわざなので、使ったことがある、聞いたことがあるという人も多いでしょう。しかし、意外と詳しい意味や由来をしらないという人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな「目から鱗が落ちる」について解説していきたいと思います。

それでは早速「目から鱗が落ちる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「目から鱗が落ちる」の意味は?

「目から鱗が落ちる」には、次のような意味があります。

あることがきっかけとなって、迷いからさめたり、物事の実態がわかるようになる。
出典:大辞林 第3版(三省堂)

「目から鱗が落ちる」は「めからうろこがおちる」と読むことわざです。実際に目から魚の鱗が落ちるという意味ではありません。まるで魚の鱗が目に貼り付いてしまったかのような物事の実態が見えない曇った状態が、あるきっかけにより曇りが取れて物事の見方が変わったり、新しいことを知ったり、理解することができたりするようになるということを表す言葉です。 
この言葉は、何か新しいことを発見したときや、大きな気づきを得てびっくりしたようなときに使われます。びっくりすると言っても、故意に誰かに驚かされたなどの場合ではなく、新しく発見した事象に対して自分でも驚いたというニュアンスが含まれることを覚えておいてください。
「目から鱗が落ちる」は、省略して「目から鱗」と使用する場合もあります。また、「目から鱗が取れる」という言い回しを見ることがありますが、これは間違った用例なので注意が必要です。

「目から鱗が落ちる」の語源は?

次に「目から鱗が落ちる」の語源を確認しておきましょう。

このことわざは、『新約聖書』第9章18節の下記の一節である「たちまち目からうろこのようなものが落ち、サウロは元どおり見えるようになった。」が由来です。この『新約聖書』では、キリスト教の信者を牢獄に入れて迫害をしたサウロという人間がキリストにより目が見えなくなってしまいます。しかし、その後サウロはキリストの言葉を聞いて回心その際するのですが、その際に「目から鱗のような物が落ちて視界がハッキリした」という表現がされており、ここから「目から鱗が落ちる」が成り立ったと考えられているのです。

\次のページで「「目から鱗が落ちる」の使い方・例文」を解説!/

「目から鱗が落ちる」の使い方・例文

「目から鱗が落ちる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.掃除が苦手で常に部屋を散らかしてしまうのが悩みだったが、テレビで時短ワザがあるのを知り、目から鱗が落ちる思いだ。
2.公式の使い方がわからず行き詰っていたが、先生から目から鱗が落ちるアドバイスをいただき、理解することができた。
3.エクセルの足し算の仕方がわからずいつも手入力をしていたが、正しい計算の仕方を知り、こんなに簡単にできるのかと目から鱗が落ちた。

ここでは3つの例文を挙げました。ひとつひとつ使い方を確認していきましょう。

例文1は、ずぼらな人でも掃除が簡単にできる時短ワザという、新事実を知って感動している例文です。テレビのバラエティ番組などで各分野の新常識を紹介する際に、「目から鱗の~」と使用されることがよくあります。

例文2は、公式の使い方を先生のアドバイスによって理解することができたという例文です。自分ひとりでは解決することのできない問題を、他者の助言により理解することができるようになったことを表しています。

例文3は、今までは面倒な手順を踏んでデータ入力をしていたが、簡単な方法を知り驚いているという例文です。この例文では、新しく発見したエクセルの方法について自分でも驚いたというニュアンスも含まれています。

「目から鱗が落ちる」の類義語は?違いは?

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あることがきっかけとなり物事の実態が分かるようになるという「目から鱗が落ちる」と似た意味を持つ言葉にはどんなものがあるのでしょうか。下記の言葉を確認していきましょう。

その1「膝を打つ」

「膝を打つ」は「ひざをうつ」と読む慣用句です。日常生活の中で、何かに気づいたり納得したりした時に、膝をポンっと叩く動作を見たことはありませんか?「膝を打つ」は、物事に対して急に気づいたり、感心したときに起こす上記のような動作を表します

\次のページで「その2「開眼する」」を解説!/

1.彼女の完璧な営業戦略のプレゼンテーションに、上司全員が思わず膝を叩いた。
2.ずっと解決できなかった問題の糸口が見つかり、膝を打つ思いだ。

その2「開眼する」

「開眼する」は「かいがんする」と読みます。物事の道理や心理がわかるようになることや、物事のコツをつかむこと、手術などによって目が見えるようになるということを意味する言葉です。この「開眼」を「かいげん」と読むと、仏像作りの最後に眼を掘り入れる入眼の儀式の意味も含まれてしまいます。読み方により含まれる意味も異なるので注意しましょう。

1.あのミュージカルで彼女の眠っていた演技の才能が開眼し、今では注目の若手女優としてメディアで見ない日はない。
2.娘は音楽に興味がないと思っていたが、試しに入会させた教室でピアノの才能を開眼させた。

「目から鱗が落ちる」の対義語は?

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「目から鱗が落ちる」には明確な対義語が存在しません。あることがきっかけとなり物事の実態が分かるようになるという意味の対義語を挙げるなら、どうしたらよいか手段が思いつかずに悩むという意味の「途方に暮れる」が考えられるのではないでしょうか。

「目から鱗が落ちる」を使いこなそう

この記事では「目から鱗が落ちる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

このことわざは、あるきっかけによって迷いからさめたり、物事の実態がわかるようになるという意味を持ちます。また、この意味には、思いがけない気づきを得ることで自分自身も驚くというニュアンスも含まれるので使用する際には注意してください。
数多あることわざの中でも、「目から鱗が落ちる」は日常生活の中で登場することの多い言葉なので、この機会にしっかりと意味を覚えておきましょう。

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【ことわざ】「目から鱗が落ちる」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターがわかりやすく解説!

この記事では「目から鱗が落ちる」について解説する。

端的に言えば目から鱗が落ちるの意味は「あることがきっかけになり物事の実態が分かるようになる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「目から鱗が落ちる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「目から鱗が落ちる」の意味や語源・使い方まとめ

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みなさんは「目から鱗が落ちる」ということわざをご存知でしょうか?いろはかるたでも馴染みのある上に日常的に使われることも多いことわざなので、使ったことがある、聞いたことがあるという人も多いでしょう。しかし、意外と詳しい意味や由来をしらないという人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな「目から鱗が落ちる」について解説していきたいと思います。

それでは早速「目から鱗が落ちる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「目から鱗が落ちる」の意味は?

「目から鱗が落ちる」には、次のような意味があります。

あることがきっかけとなって、迷いからさめたり、物事の実態がわかるようになる。
出典:大辞林 第3版(三省堂)

「目から鱗が落ちる」は「めからうろこがおちる」と読むことわざです。実際に目から魚の鱗が落ちるという意味ではありません。まるで魚の鱗が目に貼り付いてしまったかのような物事の実態が見えない曇った状態が、あるきっかけにより曇りが取れて物事の見方が変わったり、新しいことを知ったり、理解することができたりするようになるということを表す言葉です。 
この言葉は、何か新しいことを発見したときや、大きな気づきを得てびっくりしたようなときに使われます。びっくりすると言っても、故意に誰かに驚かされたなどの場合ではなく、新しく発見した事象に対して自分でも驚いたというニュアンスが含まれることを覚えておいてください。
「目から鱗が落ちる」は、省略して「目から鱗」と使用する場合もあります。また、「目から鱗が取れる」という言い回しを見ることがありますが、これは間違った用例なので注意が必要です。

「目から鱗が落ちる」の語源は?

次に「目から鱗が落ちる」の語源を確認しておきましょう。

このことわざは、『新約聖書』第9章18節の下記の一節である「たちまち目からうろこのようなものが落ち、サウロは元どおり見えるようになった。」が由来です。この『新約聖書』では、キリスト教の信者を牢獄に入れて迫害をしたサウロという人間がキリストにより目が見えなくなってしまいます。しかし、その後サウロはキリストの言葉を聞いて回心その際するのですが、その際に「目から鱗のような物が落ちて視界がハッキリした」という表現がされており、ここから「目から鱗が落ちる」が成り立ったと考えられているのです。

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