この記事では「旗を振る」について解説する。

端的に言えば、旗を振るの意味は「運動を推し進めるために率先して働きかける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「旗を振る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「旗を振る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「旗を振る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「旗を振る」の意味は?

「旗を振る」は、慣用句・ことわざです。次のような意味があります。

運動などを推し進めようとして、率先して人々に働きかける。「市民運動の―・る」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「旗(はた)を振る」

「旗を振る」の意味は、ただ単に「旗」そのものを振ることだけではありません。

学生運動や政治運動、就職運動といった一連の「運動」を推し進めていくため、自らが率先して人々に働きかけることを「旗を振る」と言います。現代でも使われる慣用句の1つです。この運動も、身体を動かす運動ではないので注意。

「旗を振る」の語源は?

次に、「旗を振る」の語源を確認しておきましょう。

「旗を振る」の語源は、その言葉通り、旗を振ることです。何らかのアクションを起こそうとする時、先頭で「旗を振る」ことにより、その動きを推し進めていこうとすることから、「旗を振る」と言うようになりました。

似たような言葉が「旗振り」です。この意味は、なにかの合図などのために旗を振る行為や旗を振る人のほか、ある物事において先頭に立って人々に働きかけながら推し進めていく行動やそれらの人々。「旗振り」または「旗振り役」とも呼びます。

\次のページで「「旗を振る」の使い方・例文」を解説!/

「旗を振る」の使い方・例文

「旗を振る」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.大学の平和を取り戻すため、学生運動で先導して音頭を取り、旗を振る役目を担ったのが、よい経験となった。
2.自分が地元で揉める集団をなんとかまとめて指示を出し、旗を振るのに力を尽くした。
3.オリンピックで来日した多くの米国人選手が、アメリカ国旗である星条旗を振る様子が見られた。

それでは、それぞれの例文について、解説していきます。

例文1は、学生運動という「運動」を率先して推し進めていく役割のことを「旗を振る」を用いて表現した文章。例文2も、揉め事を起こす人々をまとめて正しい方向に導く役割を説明するのに「旗を振る」を使っています。

例文3は、旗そのものを振る行為をそのまま表した文章表現です。

「旗を振る」の類義語は?違いは?

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次に、「旗を振る」について、類義語(類語)を見ていきましょう。

「旗を振る」の類義語は、率いる、先導する、先頭を走る、音頭を取る、牽引する、指揮する、統率する、引っ張る、陣頭に立つ、陣頭指揮に当たる、ツユ払いを務める、トップを切るなどがあります。

その1「先陣を切る」

「先陣を切る」も、慣用句・ことわざです。意味は、物事や他者よりもいち早く切り込み、真っ先に事を行うこと。他の者を後続にするのも「先陣を切る」と言います。

言葉の由来は、戦場において、大将がいる本陣の前に配置される戦闘部隊から。大将を守る立場に加え、敵陣に入って突破口を開く役割を担っています。

\次のページで「その2「音頭を取る」」を解説!/

その2「音頭を取る」

「音頭を取る」の、慣用句で使われる時の意味は、人の先頭に立ち、手はずを整え、実現するために全員をまとめていくことです。

その語源は、言葉にある通り、大勢で歌う際に合唱の調子を示すため、最初に歌うことから。何かの行為を行う時、真っ先に率先して取りまとめることを「音頭を取る」と言います。

その3「ツユ払いを務める」

「ツユ払いを務める」も、「旗を振る」の類義語です。

この「ツユ払い」(露払い)にはさまざまな意味があり、行列などを先導する行為や人のことを「ツユ払いを務める」と言います。

また、遊芸などで最初に演じたり、演じる人のことだったり、相撲では横綱の土俵入りの際に先導として土俵に上がる力士も「露払い」です。読み方は、つゆはらい、となります。

「旗を振る」の対義語は?

次に、「旗を振る」の対義語(反対語)は、どのような言葉でしょうか。

「旗を振る」の言葉そのものの対義語として、はっきりとした言葉はありません。

ただ、反対の意味として考えられる言葉がいくつかあり、例えば「黒子」「縁の下の力持ち」などです。

「黒子」

「旗を振る」のが、他の人よりも率先して前に出ることや人を指すのであれば、反対の意味として考えられる日本語、その1つが「黒子」でしょう。

「黒子」は、くろこ、と読み、「黒衣」とも表現します。意味は、表に出ることなく物事を処理する人や、陰で支える「縁の下の力持ち」的な人のことです。

この言葉の語源は、歌舞伎から。俳優の演技や舞台振興の介添えをする人が着る黒い衣装が「黒子」「黒衣」と呼ばれたためです。人形浄瑠璃で人形遣いが着る黒い衣装も同様の意味となります。

「旗を振る」の英訳は?

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さらに、「旗を振る」の英訳も確認しておきましょう。

「旗を振る」を英語にそのまま訳すと、wave a flagflag-waving です。ただ、慣用句としての「旗を振る」の場合、英語表現がやや異なります。

「show the way」

「旗を振る」を日本語から英語に翻訳すると、wave a flag です。これは直訳になり、旗そのものを振るという行為を意味します。

一方、show the way も、道筋を示す、つまり「旗を振る」と訳すのが一般的。英単語の「way」は道筋です。

その他にも、さまざまな英語表現があるので、例文を見てみましょう。

\次のページで「「旗を振る」を使いこなそう」を解説!/

・The politician showed the way to nuclear disarmament aiming for a world free of nuclear weapons.

その政治家は核兵器のない世界を目指す核軍縮へ旗を振った。

・He took the initiative to reform the administration.

彼は行政改革の旗を振った。

・She moved a flag up and down.

彼女は旗を上下に振った。

「旗を振る」を使いこなそう

この記事では、「旗を振る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「旗を振る」の意味は、ただ単に旗そのものを振る行為だけでなく、学生運動や政治運動などの運動を率先して推し進めていく、との意味もあります。「旗振り役」も、ほぼ同じ意味です。

もしわからない日本語に遭遇したら、すぐに国語辞典や辞書などで調べる、インターネットで検索する習慣をつけましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「旗を振る」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説!

この記事では「旗を振る」について解説する。

端的に言えば、旗を振るの意味は「運動を推し進めるために率先して働きかける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「旗を振る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「旗を振る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「旗を振る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「旗を振る」の意味は?

「旗を振る」は、慣用句・ことわざです。次のような意味があります。

運動などを推し進めようとして、率先して人々に働きかける。「市民運動の―・る」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「旗(はた)を振る」

「旗を振る」の意味は、ただ単に「旗」そのものを振ることだけではありません。

学生運動や政治運動、就職運動といった一連の「運動」を推し進めていくため、自らが率先して人々に働きかけることを「旗を振る」と言います。現代でも使われる慣用句の1つです。この運動も、身体を動かす運動ではないので注意。

「旗を振る」の語源は?

次に、「旗を振る」の語源を確認しておきましょう。

「旗を振る」の語源は、その言葉通り、旗を振ることです。何らかのアクションを起こそうとする時、先頭で「旗を振る」ことにより、その動きを推し進めていこうとすることから、「旗を振る」と言うようになりました。

似たような言葉が「旗振り」です。この意味は、なにかの合図などのために旗を振る行為や旗を振る人のほか、ある物事において先頭に立って人々に働きかけながら推し進めていく行動やそれらの人々。「旗振り」または「旗振り役」とも呼びます。

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