この記事では「胸が躍る」について解説する。
端的に言えば「胸が躍る」の意味は「期待や興奮でわくわくする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「胸が躍る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「胸が躍る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「胸が躍る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「胸が躍る」の意味は?

「胸が躍る」には、次のような意味があります。

期待・興奮などで浮き浮きして落ち着かなくなる。胸がどきどきする。胸がわくわくする。胸が弾む。

出典:コトバンク

「胸が躍る」は期待・喜びなどで興奮し心がわくわく、うきうきするという意味です

「胸が躍る」の語源は?

次に「胸が躍る」の語源を確認しておきましょう。それでは「躍」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「躍」は足を表す文字と躍り上がる意味の音を示す文字とを合わせた字。足で「躍り上がる」意味を表します

\次のページで「「胸が躍る」の使い方・例文」を解説!/

「胸が躍る」の使い方・例文

「胸が躍る」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.盆踊りで片思いの相手に会い嬉しくてひとりでにむねが躍った。感情がリアクションに出ていたようで舞踏運営者から声をかけられた。

2.気になる相手のアカウントを探してコメントにツイートしたらむねが躍るような出来事が起きた。向こうの気持ちを確かめたくて反応を待ったら、小躍りしたくなるような内容が返ってきた。

3.管理人から能力検定に受かったと聞いてむねが躍り、緊張が解けてダンスグループスクールの受付でジャンプしてしまった。

例文1からは思いもよらない出会いに喜んでいる様子が伝わってきますし、例文2からは素敵な恋の予感がしますね。例文3からは試験に合格したことがよほど嬉しかったことが読み取れます。

「胸が躍る」の類義語は?違いは?

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「胸が躍る」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「狂おしい」

「狂おしい」は「別れた恋人のことを考えると、彼はくるおしい思いに駆られた」「彼女は愛児の死にくるおしい泣き声をあげた」などのように今にも気が狂いそうな様子を表しますよ。

じっとしていられない取り乱した心理を表す表現として用いられることが多いですが、「彼女は夫の遺体にくるおしくとりすがった」のように動作を修飾する場合や、「ハードロックのくるおしいリズムで踊る」のようにじっとしていられない心理を引き起こすようなという意味で、名詞にかかる修飾語として用いられることもあります。また、「狂おしい」は精神的に正常である人が一時的に取り乱している心理を表す語であって、もともと精神に異常をきたしている人の心理については用いません。ちなみに「胸が躍る」との違いは、「狂おしい」はじっとしていられない心理を引き起こすようなという意味で用いられる点です。

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その2「物狂おしい」

「物狂おしい」は「ハードロックのものぐるおしいリズムで踊る」「ある夜突然、彼女はものぐるおしい思いに駆られた」などのように今にも気が狂いそうな様子を表します取り乱した心理を表す語としても、そういう心理を引き起こす対象の性質を示す語としても用いられますよ。「物狂おしい」ははっきりした原因・理由がわからないのに、なぜか興奮して取り乱している心理を表し、原因が分からないだけに解消のしようがなく、取り乱す程度も高くなっています

また、「物狂おしい」は「狂おしい」に似ていますが、「狂おしい」では気が狂いそうに取り乱している原因がはっきりしていることが多く、状態をやや客観的に述べるニュアンスがありますが、「物狂おしい」は客観的な心理を述べる点が異なりますよ。

したがって「彼女は愛児の死に物狂おしい泣き声をあげた」は誤用となり、正しくは「彼女は愛児の死に狂おしい泣き声をあげた」となります。なお「物狂おしい」は「狂おしい」同様、もともと精神に異常をきたしている人の心理については用いられません。「胸が躍る」との違いは、「物狂おしい」は客観的な心理を述べるという点です。

「胸が躍る」の対義語は?

「胸が躍る」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「陰気くさい」

「陰気くさい」は「彼は一日いんきくさい部屋に閉じこもっている」「彼の第一印象はいんきくさい」などのように見るからに陰気で不快な様子を表し、物についても人についても用いられます「…くさい」はにおいを意味せず、「陰気」の意味を下落させるニュアンスを持ち、単に「陰気」というより侮蔑的なニュアンスになりますよ。

「暗い」の意味もありますが、「陰気くさい」はあくまで主観的で、実際に光が少ないかどうかには言及していない点が「暗い」と異なります。

その2「小憎らしい」

「小憎らしい」は憎らしくて癪にさわる様子を表します「憎らしい」をさらに侮蔑していうニュアンスがあり、はっきり目上とわかっている人に対してはふつう用いません。そのため「賄賂をとった部長が小憎らしい」は誤用となり、正しくは「賄賂をとった部長が憎たらしい」となります。「小憎らしい」は自分より目下と見られる者の言動が癪に触って不快だという意味ですが、必ずしも嫌悪感は強くありません

「なんてこにくたらしい子なんだろう」「彼女の口のきき方はなんともこにくたらしい」では嫌悪のほかに愛情のニュアンスもわずかに暗示されていますはっきりした嫌悪を表したい時には「憎たらしい」「憎々しい」などを用いますよ。「彼のこにくたらしい所がたまらない魅力なのよ」では嫌悪よりもむしろ愛情のほうが強く暗示される表現です。

「小憎らしい」は「小生意気」に似ていますが、「小生意気」は目下の者が分を超えた言動をするのが不快だという意味であり、嫌悪も侮蔑も「小憎らしい」より強く暗示されるでしょう。したがって「小生意気」は愛情を表す意味では、ふつう用いられません

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「胸が躍る」の英訳は?

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「胸が躍る」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「胸が躍る」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「Exciting」

「Exciting」は「興奮させる、はらはらするような、わくわくする」という意味です。「I waited with Exciting」で「胸を躍らせながら待った」、「That event is exciting」で「その出来事は胸を躍らせる」と表現することができますよ。

「胸が躍る」を使いこなそう

この記事では「胸が躍る」の意味・使い方・類語などを説明しました。「胸が躍る」は期待・喜びなどで興奮し心がわくわく、うきうきするという意味だと解説しましたね。なお「胸が躍る」と反義語の表現に「心苦しい」が挙げられます。「心苦しい」は相手にすまないと思って気が咎める様子を表しますよ。主観的な心理を表す語ですが、その前提として相手からこうむる恩、相手にかける迷惑など、「義理」の関係が存在します。また、「心苦しい」は相手から義理を負ったままでいるのが不快であるという意味で、日本文化に特徴的な語ですよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「胸が躍る」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「胸が躍る」について解説する。
端的に言えば「胸が躍る」の意味は「期待や興奮でわくわくする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「胸が躍る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「胸が躍る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「胸が躍る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「胸が躍る」の意味は?

「胸が躍る」には、次のような意味があります。

期待・興奮などで浮き浮きして落ち着かなくなる。胸がどきどきする。胸がわくわくする。胸が弾む。

出典:コトバンク

「胸が躍る」は期待・喜びなどで興奮し心がわくわく、うきうきするという意味です

「胸が躍る」の語源は?

次に「胸が躍る」の語源を確認しておきましょう。それでは「躍」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「躍」は足を表す文字と躍り上がる意味の音を示す文字とを合わせた字。足で「躍り上がる」意味を表します

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