やっぱりこの世に生まれてきたからにはよ、やっぱり天下に名を馳せたいよな!…っていう話を生徒たちにしたんです。ただ、まず第一に「名を馳せる」っていう言葉がピンとこなかったみたいです。うーん。

ちなみに、この「名を馳せる」というのは「名前が広く知られる」という意味の慣用句です。覚えておいて損はない。時代劇でもよく使われるな。

今回はその「名を馳せる」について、院卒日本語教師の"むかいひろき"に解説してもらおう。むかい、頼んです!

ライター/むかいひろき

ロシアの大学でに再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「名を馳せる」の意味や使い方は?

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「名を馳せる」という言葉、実際に話す時に使う機会は少なくても、小説を読んだり時代劇で耳にしたり…ということは多いかもしれません。実際に正しく使用できると、「ちょっとカッコいいかも」と思えるような表現が、この「名を馳せる」です。まずは意味や使い方を確認していきましょう。

「名を馳せる」の意味は「名前が広く知られる」

最初に、「名を馳せる」の辞書での意味を確認していきましょう。「名を馳せる」は国語系の辞典には次のように掲載されています。

名が広く知られる。「画壇の奇才として名を馳せた」

出典:広辞苑 第7版(岩波書店)「名を馳(は)せる」

「名を馳せる」は「名前が広く知られる」という意味の慣用句です。「名前が広く知られる」…ということは簡単に言えば「有名になる」ということですね。「馳せる」という言葉は「広く遠くに行き渡らせる」という意味を持ちます。意味は、「名前を広く行渡らせる」=「名前が広く知られる」=「有名になる」と覚えましょう

そして、ただ有名になるだけではなく、歴史にその名を残すような功績や記録がある場合に用いられるという特徴があります。

「名を馳せる」の使い方を例文とともに確認!

続いて、「名を馳せる」の使い方を例文とともに見ていきましょう。「名を馳せる」は良い意味で有名になった場合に使用されることが多いですが、悪い意味で有名になった場合でも使用されることがあります。

\次のページで「「名を馳せる」の類義語は?」を解説!/

1.島井投手は当初は無名だったが、甲子園で次々と強豪校相手に圧巻の投球を見せたことで、日本中ににその名を馳せた
2.織田信長は、桶狭間の戦いで今川義元を打ち破ったことで、天下にその名を馳せた
3.松本被告は、日本史上最悪の殺人事件の犯人としてその名を馳せている

例文1では、「島井投手が日本中でその名を知られることになった」という文脈で「名を馳せる」が使用されています。「~にその名を馳せる」という形で、「~中で有名になる」という意味を表すために使用されることが多いです。

例文2では、「織田信長の名が日本中に知られることになった」という文脈で「名を馳せる」が使用されています。こちらは例文1と同じように、「~にその名を馳せる」という形で、「~中で有名になる」という意味を表す文ですね。

例文3では、「日本史上最悪の殺人事件の犯人として有名である」という文脈で「名を馳せる」が使用されています。「有名である」という言葉の言いかえに、「名を馳せる」を使用することは可能です。その場合は「その名を馳せている」という形になることが多いですね。

「名を馳せる」の類義語は?

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続いて、「名を馳せる」の類義語を確認していきましょう。「名を馳せる」の類義語は「名を轟かす」「名を揚げる」「名を成す」「名が売れる」です。意味などを確認し、「名を馳せる」と比較してみてください。

「名を轟かす」:広く世間にその名が知られるようになる

「名を轟かす(とどろかす)」は「広く世間にその名が知られるようになる」という意味の慣用句です。意味やニュアンスは「名を馳せる」と同じですね。「轟かす」は「大きく鳴り響かせる」という意味の単語です。つまり、「名前を大きく鳴り響かせる」→「広く世間にその名が知られるようになる」といことですね。

\次のページで「「名を揚げる」:名声が世に広がり、有名になる」を解説!/

「名を揚げる」:名声が世に広がり、有名になる

「名を揚げる」は「名声が世に広がり、有名になる」という意味の慣用句です。意味やニュアンスは「名を馳せる」と同じですね。「揚げる」という動詞には様々な意味がありますが、ここでは「明らかにする。あらわす」という意味で使われています。

「名を成す」:良い評判が広がり、有名になる

「名を成す」は「良い評判が広がり、有名になる」という意味の慣用句です。「名を馳せる」と意味は似ていますが、「良い意味で有名になる」というニュアンスがあるところが違いですね。「名を馳せる」は、悪い意味で有名になった場合でも使用可能です。

「名が売れる」:名前が広く世間に知られるようになる

「名が売れる」は「名前が広く世間に知られるようになる」という意味の慣用句です。「名を馳せる」と意味は同じですね。ニュアンスの面では若干異なり、「名が売れる」はただ有名になることを示しますが、「名を馳せる」は有名になると同時に、歴史にも名を残すような場合に用いられるという違いがあります。

「名を馳せる」の英語表現は?

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最後に、「名を馳せる」の英語表現を確認していきましょう。「名を馳せる」の英語表現は「become famous」です。日本語独特の言い回しの慣用句は、外国語訳を考える時は、その意味から考えるのが良いでしょう。

「become famous」:有名になる

「become famous」は「有名になる」という意味の英語表現です。「名を馳せる」を簡単な言葉に直すと「有名になる」ですので、訳語として問題はないでしょう。例文は以下の通りです。

\次のページで「あなたは「名を馳せて」みたいですか?」を解説!/

1.Due to the great success of his online business, Mr. Smith has become famous not only throughout the United States, but also around the world.
ネットビジネスの大成功により、スミス氏は全米だけでなく世界中にその名を馳せている

2.Otani has become famous not only in Japan, but also in the U.S. for his two-way game.
大谷選手は、二刀流で日本だけではなくアメリカでもその名を馳せている

あなたは「名を馳せて」みたいですか?

今回は「名を馳せる」について解説しました。「名を馳せる」は「名前が広く知られる」…つまりは「有名になる」という意味の慣用句です。そして、歴史に名を残すような功績や記録を挙げたような場合に用いられるのが特徴でした。

みなさんは、何かで名を馳せてみたいですか?私は、実は名を馳せてみたいです!

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国語言葉の意味

天下にその名を…「名を馳せる」の意味や類義語などを院卒日本語教師がわかりやすく解説

やっぱりこの世に生まれてきたからにはよ、やっぱり天下に名を馳せたいよな!…っていう話を生徒たちにしたんです。ただ、まず第一に「名を馳せる」っていう言葉がピンとこなかったみたいです。うーん。

ちなみに、この「名を馳せる」というのは「名前が広く知られる」という意味の慣用句です。覚えておいて損はない。時代劇でもよく使われるな。

今回はその「名を馳せる」について、院卒日本語教師の”むかいひろき”に解説してもらおう。むかい、頼んです!

ライター/むかいひろき

ロシアの大学でに再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「名を馳せる」の意味や使い方は?

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「名を馳せる」という言葉、実際に話す時に使う機会は少なくても、小説を読んだり時代劇で耳にしたり…ということは多いかもしれません。実際に正しく使用できると、「ちょっとカッコいいかも」と思えるような表現が、この「名を馳せる」です。まずは意味や使い方を確認していきましょう。

「名を馳せる」の意味は「名前が広く知られる」

最初に、「名を馳せる」の辞書での意味を確認していきましょう。「名を馳せる」は国語系の辞典には次のように掲載されています。

名が広く知られる。「画壇の奇才として名を馳せた」

出典:広辞苑 第7版(岩波書店)「名を馳(は)せる」

「名を馳せる」は「名前が広く知られる」という意味の慣用句です。「名前が広く知られる」…ということは簡単に言えば「有名になる」ということですね。「馳せる」という言葉は「広く遠くに行き渡らせる」という意味を持ちます。意味は、「名前を広く行渡らせる」=「名前が広く知られる」=「有名になる」と覚えましょう

そして、ただ有名になるだけではなく、歴史にその名を残すような功績や記録がある場合に用いられるという特徴があります。

「名を馳せる」の使い方を例文とともに確認!

続いて、「名を馳せる」の使い方を例文とともに見ていきましょう。「名を馳せる」は良い意味で有名になった場合に使用されることが多いですが、悪い意味で有名になった場合でも使用されることがあります。

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