この記事では「酒は百薬の長」について解説する。

端的に言えば酒は百薬の長の意味は「酒はほどよく飲めば、どんな薬よりも体に良い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

放送局の制作現場の最前線で10年の経験を積んだsinpeito88を呼んです。一緒に「酒は百薬の長」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/sinpeito88

放送局の現場で10年間、ニュース原稿などを日々執筆。より正確な情報を届けられるよう言葉の探求を続けている。

「酒は百薬の長」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「酒は百薬の長」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。ちなみに、この言葉の読みは「さけはひゃくやくのちょう」です。

「酒は百薬の長」の意味は?

「酒は百薬の長」には、次のような意味があります。

酒はほどよく飲めば、どんな薬よりも健康のためによい。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「酒は百薬の長」

「酒は百薬の長」とは「酒はほどよく飲めば、どんな薬よりも健康のためによい。」という意味の言葉。適量のお酒を飲むことは、リラックス効果を高めたり、食欲を増進させたりするなど、健康的に生活を送る上でのメリットを得られることがあります。しかし、毎日の飲酒が病気にならない、良薬であるという考え方には直結はしません。

アルコールを摂取しすぎれば、悪玉コレステロールが増加するなど健康への影響は避けられないのです。よって、酒イコール万能薬ということではなく、あくまで「ほどほどに」飲むことによって、日々の暮らしを円滑にすることが出来るということになります。

「酒は百薬の長」の語源は?

次に「酒は百薬の長」の語源を確認しておきましょう。この言葉は「漢書」という前漢の時代の書物の中に登場した「酒百薬之長」という文章からきています。また、日本の書物でも「徒然草」の中で、同じような表現がありました。ただし、こうした文書の中でも、飲みすぎてはいけないということは表現されています

「酒は百薬の長」の使い方・例文

「酒は百薬の長」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「酒は百薬の長」の類義語は?違いは?」を解説!/

酒は百薬の長という言葉を、好きなだけ酒を飲む言い訳にしてはいけない。

例文では「お酒をほどほどに飲むことは、どんな薬よりも体に良いのだ」という「酒は百薬の長」という言葉を、飲酒することの理由にしている人をたしなめています。あくまでお酒は適度に飲むことが、日々の生活をする中で良い影響をもたらすことがあるというだけです。

多く飲みすぎれば、当然健康への影響が懸念されます。アルコールは、飲んでいく間に脳が麻痺していきます。これが「酔う」という状態です。判断能力が低下したり、運動能力が低下してしまいます。そうした状況で正常な判断をすることは難しいです。

「酒は百薬の長」の類義語は?違いは?

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「酒はほどよく飲めば、どんな薬よりも健康のためによい。」という意味の「酒は百薬の長」という言葉。この言葉の類義語としては「酒に十の徳あり」「酒は憂いの玉箒」「酒は天の美禄」といった言葉が挙げられます。それぞれに、お酒を飲むことはメリットがあるということを表現したものですが、ニュアンスはそれぞれ違いますので、ひとつひとつ確認していきましょう。

その1「酒に十の徳あり」

「酒に十の徳あり」とは「お酒を飲むことは、十の良いことがある」という意味の言葉です。具体的には、「百薬の長」「延命効果」「旅行の食となる」「防寒」「お土産として持参するのに便利」「憂いを忘れさせる」「地位がなくても貴人と交われる」「労苦を癒す」「万人と和合できる」「独居の友となる」の10個の徳があるとされています。

お酒を飲むことによって、身体はもちろん、精神面や人間関係などにも大いにメリットがあるということを表した言葉です。

「酒には十の徳がある」というが、彼は酒の力を活かして、人生の成功者となった。

その2「酒は憂いの玉箒」

「酒は憂いの玉箒」とは「酒は心の憂いを取り除いてくれる、素晴らしい箒のようなものである」という意味の言葉。「玉」とはすばらしいものという意味の接頭語です。「酒に十の徳あり」のなかでもいわれていたように、お酒を飲むということは、精神的なストレスや心配事を取り除いてくれる効果があります。しかし、そのストレスや心配事自体を解決することには直結するわけではありません。モヤモヤとした精神状態でいることから抜け出すことで、新たな解決策が見つかることもありますので、そうしたときにはまさに「玉箒」となってくれるかもしれませんね。

\次のページで「その3「酒は天の美禄」」を解説!/

友人たちとの久しぶりに飲んだことで、問題の解決策が見えてきた。まさに酒は憂いの玉箒だ。

その3「酒は天の美禄」

「酒は天の美禄」とは「お酒は天から授かった俸禄のようなものだ」という意味です。お酒というものが素晴らしいものであるということを表して使われる表現となります。

仕事を終えて、仲間と交わす乾杯はまさに、酒は天の美禄といった感じだ。

「酒は百薬の長」の対義語は?

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「お酒はほどほどに飲むことで、どんな薬よりも健康に良い」という「酒は百薬の長」という言葉。その対義語としては、「酒は命を削る鉋」「酒は諸悪の基」「酒は百毒の長」といった言葉が挙げられます。それぞれの言葉は、お酒のデメリットを指して使われる表現です。

その1「酒は命を削る鉋」

「酒は命を削る鉋」とは「お酒は鉋のように、寿命を削ってしまうものだ」という意味の言葉です。お酒を飲むことによる弊害の中でも、特に健康を害して命を縮めてしまうということを指して使われます。

彼は酒を愛し、酒に愛されていると思っていたが、どうやら酒は命を削る鉋だったようだ。

その2「酒は諸悪の基」

「悪いことの原因はお酒から始まる」という意味の「酒は諸悪の基」という言葉。酒を飲んでいたことによって、良くないことが自分の身に降りかかるということを表現しています。健康はもちろん、判断能力が鈍ってしまったり、体をうまく操れなくなってしまうことによって、悪いことが起こるということです。

\次のページで「その3「酒は百毒の長」」を解説!/

酒は諸悪の基というが、その酒癖の悪さが離婚につながったのだった。

その3「酒は百毒の長」

「お酒は、そのものが毒である」という意味の「酒は百毒の長」という言葉。「酒は百薬の長」とも一文字しか違わない、まさに対照的な表現と言えます。

節度を持って飲めない人にとって、酒は百毒の長しかないのである。

「酒は百薬の長」を使いこなそう

この記事では「酒は百薬の長」の意味・使い方・類語などを説明しました。「酒はほどほどに飲めば、どんな薬よりも健康に良い」という意味の、この言葉。しかし、実際には「酒は百毒の長」という対義語が存在するように、適度に飲むということが難しいものであり、飲みすぎればリスクに変わるのがお酒です。健康など地震に降りかかるものだけならまだしも、判断能力の低下した状態や、運動能力が低下した状態によって、同席していた人や、家族にも迷惑をかける可能性があります。正直、「ハイリスク、ローリターン」な飲み物がお酒です。「百薬の長」に出来ないのであれば、飲まないことも選択肢かもしれません。

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国語言葉の意味

「酒は百薬の長」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

酒は諸悪の基というが、その酒癖の悪さが離婚につながったのだった。

その3「酒は百毒の長」

「お酒は、そのものが毒である」という意味の「酒は百毒の長」という言葉。「酒は百薬の長」とも一文字しか違わない、まさに対照的な表現と言えます。

節度を持って飲めない人にとって、酒は百毒の長しかないのである。

「酒は百薬の長」を使いこなそう

この記事では「酒は百薬の長」の意味・使い方・類語などを説明しました。「酒はほどほどに飲めば、どんな薬よりも健康に良い」という意味の、この言葉。しかし、実際には「酒は百毒の長」という対義語が存在するように、適度に飲むということが難しいものであり、飲みすぎればリスクに変わるのがお酒です。健康など地震に降りかかるものだけならまだしも、判断能力の低下した状態や、運動能力が低下した状態によって、同席していた人や、家族にも迷惑をかける可能性があります。正直、「ハイリスク、ローリターン」な飲み物がお酒です。「百薬の長」に出来ないのであれば、飲まないことも選択肢かもしれません。

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