この記事では「これっぽっち」について解説する。

端的に言えばこれっぽっちの意味は「たったこれだけ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「これっぽっち」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「これっぽっち」の意味や語源・使い方まとめ

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「これっぽっち」という言葉、使ったことがあるのではないでしょうか。響きのかわいい言葉ですね。どんな意味を持つ言葉なのでしょう。それでは早速「これっぽっち」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「これっぽっち」の意味は?

まず初めに、「これっぽっち」の意味を国語辞典で確認してみましょう。「これっぽっち」には、次のような意味があります。

量や度合いの少ないこと。たったこれだけ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「これっぽっち」

「これっぽっち」は漢字で「此れっぽっち」「是っぽっち」と書くこともあります。少ないことたったこれだけしかないことを表す言葉です。「ぽっち」は接尾辞として指示代名詞や数量を表す語に付くと「それだけの数量しかない」という意味を表します。「っぽっち」の形で用いることが多く、「これっぽっち」だけでなく「たった100円ぽっち」「それっぽっちの土地」などとも用いられますね。

「これっぽっち」の語源は?

次に「これっぽっち」の語源を確認しておきましょう。

「ひとりぼっち」という言葉がありますね。これは「独法師(ひとりぼうし)」が変化したものだと考えられています。「ひとりぼっち」は半濁音で「ひとりぽっち」と言うこともありますね。この「ぽっち」が「これっぽっち」の「ぽっち」と同じ、つまり「ぽっち」は「法師」が変化した言葉という説があります。とはいえ、「ひとりぽっち」の「ぽっち」は「~だけ」という意味を持つ接尾辞であるのに対し、「これっぽっち」の「ぽっち」は「わずかな」「取るに足りない」というニュアンスを強く持っているのです。ここから、関西発祥の言葉で「少しばかり」を意味する「ぽちっと」が語源であるとも言われています。ポチ袋の「ぽち」と同じです。この「ぽち」は当て字で「点」と書いて「小さな突起、小さな点」を表す言葉なのですよ。この説の方が意味が近く感じますね。また、「ぽっち」はフランス語の「petit」(小さい)英語の「spot」(点)が起源であるという説もあります。

\次のページで「「これっぽっち」の使い方・例文」を解説!/

「これっぽっち」の使い方・例文

「これっぽっち」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.新着アプリを紹介する動画を二つシェアしたが、どちらもこれっぽっちも評価されなかった。
2.これっぽっちのことをそんな風に複雑な言い方で表現したところで、ちっとも解決にはつながらない。
3.災害に備えてたくさんのカップ麺を保存していたが、ついつい食べてしまってもうこれっぽっちしか残っていない。
4.回答者が正解を導き出せないからといって、ヒントを出す気などこれっぽっちもない。

「これっぽっち」は量や度合いの少ないことを表す時に用いられます。「これっぽっちしかない」「これっぽっちのこと」などと用いられることの多い言葉です。また「これっぽっちもない」という形にすると「全然ない」ということを表現することができますよ。

「これっぽっち」の類義語は?違いは?

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「これっぽっち」の類義語を見ていきましょう。

その1「こればかり」

「こればかり」は、目の前に示されている分量・程度が少ないことを強調していうのに用いる言葉で「こんな程度」「これだけ」といった意味を表します。また「~もない」と打消しの語を伴うと「全然ない」という意味になるのは「これっぽっち」と同じです。数量、程度が少ないという意味で「これっぽっち」と共通していますが、「こればかりは許してくれ」のように、この事に限ってという限定の意味もあります。

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その2「これだけ」

「これだけ」は漢字で「此れ丈」と書くこともあります。この漢字が示すように「特定の、この物事(このことだけ、このものだけ)」「この程度・分量・範囲(これくらい、これほど)」「程度や分量を強調する意(これほど、こんなに)」といった意味を持つ言葉です。「これだけの家を建てるのは大変だったろう」のように、かなり程度が高いこと、数量が多いことの意味でも使われるところが「これっぽっち」とは違うところですね。

その3「これきり」

「これきり」は「指し示す物事が、これまでと限った範囲の最後であること(これっきり)」「指し示す数量・程度などが、定めたうちの限度であること(これだけ、これっきり)」を表す言葉です。この言葉も少ないことを表しますが、「これ限り」という意味を持っているのですよ。

「これっぽっち」の対義語は?

「これっぽっち」と反対の意味を持つ言葉を見ていきましょう。

「たくさん」

「これっぽっち」の対義語というのは特にありません。強いてあげるなら「たくさん」があげられるでしょう。「たくさん」は「数量の多いこと」「数量が十分であること」を意味する言葉です。また「十分で、それ以上はいらないこと」「十分であったり、十分すぎたりするさま」も表します。「これっぽっち」の反対の意味を表す言葉としては、他にも「多い」「いっぱい」なども考えられますね。

「これっぽっち」の英訳は?

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「これっぽっち」を英語に訳すとどのように表現できるか見ていきましょう。

その1「such a little」

「これっぽっち」を英語に訳す場合、その文脈によって様々な表現があります。「such」は様々な使い方のできる単語ですが、「such a」の形で用いると続く形容詞を強調する意味を持っているのです。ですので「such a little」は直訳すると「こんなに少し」といった意味になります。このフレーズを「これっぽっち」の英訳として用いることができるのですよ。

\次のページで「その2「the last thing」」を解説!/

その2「the last thing」

「the last thing」は「最後にすること、最もしそうにないこと、最もやりたく(されたく)ないこと」を表すことのできるフレーズです。これもフレーズによって「これっぽっち」を表現するのに用いることができますよ。他にも「any」や「at all」なども文脈によって「これっぽっち」を表現するのに用いることができます。

Don't get angry over such a little thing.
これっぽっちのことで怒るなよ。

Marriage is the last thing on my mind.
結婚するつもりなんてこれっぽっちもありません。

I don't want it back, any of it.
これっぽっちもいらないよ。

He did not like it at all.
彼はこれっぽっちも気に入ってくれなかった。

「これっぽっち」を使いこなそう

この記事では「これっぽっち」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「これっぽっち」は「量や度合いの少ないこと」「たったこれだけ」を意味する言葉でしたね。「ぽっち」という言葉の響きがかわいらしく、小さいさま、少ないさまがイメージできますね。似たような接尾辞に「ぽっきり」がありますが、こちらは「~だけでおしまい」という意味があり「~だけしかない」とは少し意味が異なるのですよ。そんなことも頭に入れながら「これっぽっち」という言葉、ぜひ使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

「これっぽっち」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「これっぽっち」について解説する。

端的に言えばこれっぽっちの意味は「たったこれだけ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「これっぽっち」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「これっぽっち」の意味や語源・使い方まとめ

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「これっぽっち」という言葉、使ったことがあるのではないでしょうか。響きのかわいい言葉ですね。どんな意味を持つ言葉なのでしょう。それでは早速「これっぽっち」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「これっぽっち」の意味は?

まず初めに、「これっぽっち」の意味を国語辞典で確認してみましょう。「これっぽっち」には、次のような意味があります。

量や度合いの少ないこと。たったこれだけ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「これっぽっち」

「これっぽっち」は漢字で「此れっぽっち」「是っぽっち」と書くこともあります。少ないことたったこれだけしかないことを表す言葉です。「ぽっち」は接尾辞として指示代名詞や数量を表す語に付くと「それだけの数量しかない」という意味を表します。「っぽっち」の形で用いることが多く、「これっぽっち」だけでなく「たった100円ぽっち」「それっぽっちの土地」などとも用いられますね。

「これっぽっち」の語源は?

次に「これっぽっち」の語源を確認しておきましょう。

「ひとりぼっち」という言葉がありますね。これは「独法師(ひとりぼうし)」が変化したものだと考えられています。「ひとりぼっち」は半濁音で「ひとりぽっち」と言うこともありますね。この「ぽっち」が「これっぽっち」の「ぽっち」と同じ、つまり「ぽっち」は「法師」が変化した言葉という説があります。とはいえ、「ひとりぽっち」の「ぽっち」は「~だけ」という意味を持つ接尾辞であるのに対し、「これっぽっち」の「ぽっち」は「わずかな」「取るに足りない」というニュアンスを強く持っているのです。ここから、関西発祥の言葉で「少しばかり」を意味する「ぽちっと」が語源であるとも言われています。ポチ袋の「ぽち」と同じです。この「ぽち」は当て字で「点」と書いて「小さな突起、小さな点」を表す言葉なのですよ。この説の方が意味が近く感じますね。また、「ぽっち」はフランス語の「petit」(小さい)英語の「spot」(点)が起源であるという説もあります。

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