この記事では「ないた烏がもう笑う」について解説する。

端的に言えば、ないた烏がもう笑う、の意味は「さっきまで泣いていた者が、きげんを直してすぐに笑うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「ないた烏がもう笑う」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「ないた烏がもう笑う」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「ないた烏がもう笑う」の意味や語源・使い方まとめ

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ないた烏がもう笑う(ないたからすがもうわらう)」は、子供に対して使われることが多いことわざです。年配の方が赤ちゃんに向かって言うのを聞いた事があるかも知れませんね。

それでは早速「ないた烏がもう笑う」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ないた烏がもう笑う」の意味は?

まず初めに「ないた烏がもう笑う」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「ないた烏がもう笑う」には、次のような意味があります。

1.今まで泣いていた者が、すぐ機嫌を直して笑う。子供などの感情がとかく変わりやすいことにいう。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「今ないた烏がもう笑う」

 

「ないた烏がもう笑う」は、主に子供や赤ちゃんが、すぐ今まで泣いていたのに、あっという間に機嫌をなおして笑っていることを言います。
赤ちゃんや子どもは喜怒哀楽がはっきりしているので、泣いていたと思ったのに、ちょっとしたことでご機嫌になっていたりしますね。そんな時に使われることわざです。皮肉のような言い回しですが、子供の気分屋な様子に対して、憎めなさや可愛がる気持ちが込められた表現ですね。
大人に対して使われることはあまりないですが、感情の移り変わりが激しい人などに皮肉を込めてわざと使うことがあります。大人に対して使うには良い言葉ではないので気をつけましょう。

「ないた烏がもう笑う」は、頭に「今」がついた「今ないた烏がもう笑う」と言う言い方を省略したものです。元の言葉も覚えておいてください。

「ないた烏がもう笑う」の語源は?

次に「ないた烏がもう笑う」の語源を確認しておきましょう。泣いている者がもう笑っている、と言うのはわかりますが、なぜ「烏(からす)」なのでしょうか

烏にはどんなイメージがありますか?とても身近な鳥ですが、知恵者(ちえもの)であることで有名ですね。なんとなく「ずる賢い」と言うイメージがあると思います。この「ずる賢い」烏を、泣いている時に、何かを与えられたり喜ばせるればすぐに機嫌を直して笑う子供のずるさに例えたのです。

\次のページで「「ないた烏がもう笑う」の使い方・例文」を解説!/

「ないた烏がもう笑う」の使い方・例文

それでは「ないた烏がもう笑う」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.さっきまで虫歯の治療がいやだと大泣きしていたのに、我慢したら好きな物を買ってもらえると聞いたら途端に笑顔なんだから、ないた烏がもう笑うだね。
2.さっきまで勝負に負けて泣いていて、次に勝ったらないた烏がもう笑ってるんだから、子供は気分屋だね。
3.彼女は我がままで、自分の思い通りにいかないと涙ぐんで、聞き入れられると今ないた烏がもう笑っているような人だよ。

例文1と2の通り、「ないた烏がもう笑う」は子供に対して使われることがほとんどです。欲しいものを与えられればすぐに機嫌を直す現金な子供の様子などを、皮肉な表現をしながらも、憎めないと言うような感情をこめて使います。

例文3は、あえて大人に対して使っている例文です。このように、わざわざ子供に対して用いる言葉を使うことで、より皮肉で批判的な意味で用いることもあるでしょう。
とはいえ、大人に対して使うと悪意のある言葉ですので気をつけましょう。

「ないた烏がもう笑う」の類義語は?違いは?

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「ないた烏がもう笑う」と全く同じ意味の言葉はありません。気持ちが変わりやすいと言う意味で似ている言葉としては「気まぐれ」や「気分屋」が挙げられます。

その1「気まぐれ」

気まぐれ」は、「気紛れ」と漢字で書きます。意味は、人の気が変わりやすいこと。その時々の思いつきや気分で行動すること、です。時に、人ではなく物事の移ろいやすい様子にも用いる事があります。例えば、「気紛れな天気」などですね。

気が変わりやすく、予想がつかない、と言う意味では「ないた烏がもう笑う」の類義語と言えるでしょう。しかし、「ないた烏がもう笑う」は子供に使うことがほとんどですが、「気紛れ」には子供だけと言う制約はありません。

では「気まぐれ」の使い方を例文で確かめてみましょう。

\次のページで「その2「気分屋」」を解説!/

ブログを運営してみたが、気まぐれな性格のせいですぐに飽きて放置した。

その2「気分屋」

気分屋」の読み方は「きぶんや」です。その時々の気分によって、気や言動が変わりやすい人、気まぐれな人、と言う意味を持っています。「屋」と言う言葉が最後に付してありますが、これは、そのような性質の人である、と言う意味の「屋」です。つまり「気分」で行動する「人」と言うことですね。

「気分屋」の使い方も例文で確かめてみましょう。

あなたは気分屋だから機嫌がいいかと思えばすぐ怒ったり、会話してるとこっちが疲れてしまうよ。

「ないた烏がもう笑う」の対義語は?

「ないた烏がもう笑う」の対義語にぴったりな言葉はありません。反対の意味に近い言葉は、感情が変わりにくいと言う意味で使える「平静を保つ」が挙げられます。

「平静を保つ」

平静を保つ」は「へいせいをたもつ」と読みます。「平静」は、世間がおだやかで静かなことや、人の態度、気持ちが落ち着いている、と言う意味です。「平静を保つ」は世間が穏やかで平和な状態を保つと言うことや、自分の気持ちや態度を穏やかに保つと言うことを言います。

人の気持ちが落ち着いていて、動じない様子ですから、気まぐれで、泣いたかと思うと笑っていると言う意味の「ないた烏がもう笑う」の反対の意味に近いですね。

それでは「平静を保つ」の使い方も例文で確かめてみましょう。

どんなに怒り心頭だとしても、医療従事者は患者の前では平静を保つことが大事だ。

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「烏」を使った言葉

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「烏」は、人間にとってとても身近な鳥です。そのため、「烏」を使った言葉はとても多くあります。いくつか紹介しましょう。

まず一つめ。「屋烏の愛(おくうのあい)」は、人を深く愛すると、その人の家の屋根にとまっている烏まで愛おしく思えると言うこと、愛情の深いことを例える表現です。四字熟語の「愛屋及烏」と同じ意味ですね。

二つめ、「烏の行水(からすのぎょうすい)」は良く使われますから聞いた事があるでしょう。入浴をきわめて短時間で終わらせることですね。これは、烏の水浴びが短い時間で終わることから由来しています。

三つめに「烏合の衆(うごうのしゅう)」を紹介しましょう。こちらも良く使われる慣用句で中国の故事成語です。集まったカラスがガヤガヤと騒ぐだけのように、ただ数ばかり多く、統制が取れていない集団のことを言います。

このほかにも「烏」を用いた表現は数多くありますから、ぜひ調べてみてください。

「ないた烏がもう笑う」を使いこなそう

この記事では「ないた烏がもう笑う」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「ないた烏がもう笑う」は「烏」がずる賢いと言うイメージがあることからできたことわざです。子供は、泣いていても、要求が叶えばすぐ笑顔になってしまいますね。その現金な様子や、喜怒哀楽がはっきりしている様子、そして時にはずる賢く思える子供の行動を「憎めないな」「仕方ないな」と言う気持ちで言うのに使われる言葉です。高齢の方は比較的良く使われますね。うっかり大人の人に対して使わないように注意してくださいね。

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【ことわざ】「ないた烏がもう笑う」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

「ないた烏がもう笑う」の使い方・例文

それでは「ないた烏がもう笑う」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.さっきまで虫歯の治療がいやだと大泣きしていたのに、我慢したら好きな物を買ってもらえると聞いたら途端に笑顔なんだから、ないた烏がもう笑うだね。
2.さっきまで勝負に負けて泣いていて、次に勝ったらないた烏がもう笑ってるんだから、子供は気分屋だね。
3.彼女は我がままで、自分の思い通りにいかないと涙ぐんで、聞き入れられると今ないた烏がもう笑っているような人だよ。

例文1と2の通り、「ないた烏がもう笑う」は子供に対して使われることがほとんどです。欲しいものを与えられればすぐに機嫌を直す現金な子供の様子などを、皮肉な表現をしながらも、憎めないと言うような感情をこめて使います。

例文3は、あえて大人に対して使っている例文です。このように、わざわざ子供に対して用いる言葉を使うことで、より皮肉で批判的な意味で用いることもあるでしょう。
とはいえ、大人に対して使うと悪意のある言葉ですので気をつけましょう。

「ないた烏がもう笑う」の類義語は?違いは?

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「ないた烏がもう笑う」と全く同じ意味の言葉はありません。気持ちが変わりやすいと言う意味で似ている言葉としては「気まぐれ」や「気分屋」が挙げられます。

その1「気まぐれ」

気まぐれ」は、「気紛れ」と漢字で書きます。意味は、人の気が変わりやすいこと。その時々の思いつきや気分で行動すること、です。時に、人ではなく物事の移ろいやすい様子にも用いる事があります。例えば、「気紛れな天気」などですね。

気が変わりやすく、予想がつかない、と言う意味では「ないた烏がもう笑う」の類義語と言えるでしょう。しかし、「ないた烏がもう笑う」は子供に使うことがほとんどですが、「気紛れ」には子供だけと言う制約はありません。

では「気まぐれ」の使い方を例文で確かめてみましょう。

\次のページで「その2「気分屋」」を解説!/

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