ウチの特進クラスに入った奴は、卒業する頃には人間的にも一皮剥けている奴が多い。志望校に合格できなかった場合でも、それまでとは見違えた人間になっている。やっぱり受験っていうのは人間を変えるよな。

ん?「一皮剥ける」の意味がピンとこないって?おいおい、勘弁してくれよ。この「一皮剥ける」っていうのは、簡単に言えば「洗練されて見違えるように良くなる」という意味です。うん、後の詳しい説明は院卒日本語教師の"むかいひろき"に任せた。よろしくな!

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「一皮剥ける」の意味や語源は?

image by iStockphoto

「一皮剥けたね!」「一皮剥けたんじゃない?」と言われて褒められたことがある人もいるのではないでしょうか。ただ、正確な意味を問われると、意外と答えられない言葉かもしれません。まずは、その「一皮剥ける」の意味と語源を見ていきます。

「一皮剥ける」の意味は「洗練されて見違えるように良くなる」

最初に、「一皮剥ける」の辞書での意味を確認していきましょう。国語辞典にて「一皮剥ける」は次のような意味が掲載されています。

容姿・性格・技術などが洗練されて見違えるようによくなる。
「ー・けてたくましくなる」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「◆一皮剥(む)・ける」

「一皮剥ける(ひとかわむける)」は、努力したり練習を重ねたりすることによって「容姿・性格・技術などが洗練されて見違えるように良くなる」という意味の慣用表現です。「以前よりも成長した」というニュアンスを含みます。この「一皮」は、本質や素質を覆い隠すもののたとえとして使用されている表現です。

「一皮剥ける」の語源の一説は、昆虫などの脱皮!?

「一皮剥ける」の正確な語源は、残念ながら分かっていません

ただ、ある一説では、虫やヘビなどの脱皮が由来しているのではないかと考えられています。虫やヘビは一定の時間が経過すると、それまで体を覆っていた古い殻を破って、さらに大きな個体へと成長していきますが、これを「脱皮」といいます。虫やヘビがそれまでの古い殻を破って大きくなることに、人間の成長をたとえた言葉なのかもしれませんね。

\次のページで「「一皮剥ける」の使い方を例文とともに確認!」を解説!/

「一皮剥ける」の使い方を例文とともに確認!

image by iStockphoto

続いて、「一皮剥ける」の使い方を例文とともに確認していきましょう。「一皮剥ける」は「一皮剥け」という形で使用されることが多いです。

1.1か月間アメリカを一人旅した健太だが、英語力はもちろん、人間としても一皮剥けたようだ。
2.彼氏ができてから、ミキの容姿は一皮剥けたように感じる。
3.木谷選手が1軍に昇格したが、2軍に落ちる前とは一皮剥けて、全く違う選手になったようだ。

例文1では、アメリカを一人旅したことによって、健太が「人間としても一段階成長し、見違えるよう良くなった」という意味で「一皮剥ける」が使用されています。「一皮剥ける」は、例文1のような人の成長について肯定的に述べた文で使用されることが多い表現です。

例文2では、「ミキの容姿が一段と美しくなったように感じる」という意味で「一皮剥ける」が使用されています。このように、容姿についても使用可能です。恋愛をすると男女ともに容姿が良くなると言いますよね。

例文3では、「2軍に落ちる前とは見違えるほど技術が成長して」という意味で「一皮剥ける」が使用されています。この例文はプロ野球を想定した例文ですが、人の技術の向上についても「一皮剥ける」をよく使用しますね。

また、「一皮剥ける」をさらに強調した言い方で、「一皮も二皮(ふたかわ)も剥ける」という言い方がされることもあります。

「一皮剥ける」の類義語は?

次に、「一皮剥ける」の類義語を見ていきましょう。「一皮剥ける」の類義語は「一回り大きくなる」「一段と大きくなる」です。意味を確認し、「一皮剥ける」との比較を行っていきます。

「一回り大きくなる」:一段階成長する

「一回り大きくなる」は「一段階成長する」という意味の慣用表現です。人が人間として成長した場合について主に使用します。「一皮剥ける」との違いは、容姿が洗練された場合には使用できないことですね。ある人の容姿について「一回り大きくなったね」と言った場合、ただ単に大きさが一段階大きくなったことだけを表現してしまうので、注意が必要です。

\次のページで「「一段と大きくなる」:一段階成長する」を解説!/

「一段と大きくなる」:一段階成長する

「一段と大きくなる」は「一段階成長する」という意味の慣用表現です。先ほどご紹介した「一回り大きくなる」と意味やニュアンスの違いはありません。よって、「一皮剥ける」との違いは、容姿が洗練された場合には使用できないことです。ある人の容姿について「一段と大きくなったね」と言った場合、ただ単に大きさが一段階大きくなったことだけを表現してしまうので、注意しましょう。

「一皮剥ける」の英語表現は?

image by iStockphoto

最後に、「一皮剥ける」の英語表現を確認していきましょう。「一皮剥ける」の英語表現は「grow up」と「mature」です。「一皮剥ける」は英語に直訳できる表現ではないので、意味やニュアンスから英訳を考えていく必要があります。

「grow up」:成長する

「grow up」は「成長する」という意味の表現です。「一皮剥ける」には「以前よりも成長した」というニュアンスが含まれているため、訳語として適切になる場合があります。例文を確認していきましょう。

1.My son went to study abroad in Russia and came back all grown up.
息子はロシアに留学し、一皮剥けて帰ってきた。

2.Catherine's acting skills grew up as a result of her training at a Russian ballet school.
キャサリンの演技力は、ロシアのバレー学校で訓練したことで一皮剥けた

「mature」:成熟する

「mature」は「成熟する」「一人前に成長する」という意味を持った英単語です。「一皮剥ける」には「以前よりも成長した」というニュアンスが含まれているため、訳語として適切になる場合があります。例文で確認していきましょう。

\次のページで「一皮剥けるために努力し続けよう!」を解説!/

1.During the five years or so that we didn't get together, Catherine became a mature adult.
5年くらい会わない間に、キャサリンは一皮剥けた大人となった。

2.As a result of his long training, Mori's batting technique has matured.
長いトレーニングの結果、森選手のバッティング技術は一皮剥けた

一皮剥けるために努力し続けよう!

今回は、「一皮剥ける」についてご紹介しました。「一皮剥ける」は、努力したり練習を重ねたりすることによって「容姿・性格・技術などが洗練されて見違えるように良くなる」という意味で、「以前よりも成長した」というニュアンスを含む慣用表現です。

「一皮剥ける」ためには努力が欠かせません。ボーっとしているだけでは人間は成長しませんから。もしあなたが「一皮剥けたい」と思うのなら、まずは努力をしましょう。努力をし続けることで、気がついたら「一皮剥けて」いるかもしれませんよ!

" /> 語源は虫の脱皮!?「一皮剥ける」の意味や類義語などを院卒日本語教師がわかりやすく解説 – Study-Z
国語言葉の意味

語源は虫の脱皮!?「一皮剥ける」の意味や類義語などを院卒日本語教師がわかりやすく解説

ウチの特進クラスに入った奴は、卒業する頃には人間的にも一皮剥けている奴が多い。志望校に合格できなかった場合でも、それまでとは見違えた人間になっている。やっぱり受験っていうのは人間を変えるよな。

ん?「一皮剥ける」の意味がピンとこないって?おいおい、勘弁してくれよ。この「一皮剥ける」っていうのは、簡単に言えば「洗練されて見違えるように良くなる」という意味です。うん、後の詳しい説明は院卒日本語教師の”むかいひろき”に任せた。よろしくな!

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「一皮剥ける」の意味や語源は?

image by iStockphoto

「一皮剥けたね!」「一皮剥けたんじゃない?」と言われて褒められたことがある人もいるのではないでしょうか。ただ、正確な意味を問われると、意外と答えられない言葉かもしれません。まずは、その「一皮剥ける」の意味と語源を見ていきます。

「一皮剥ける」の意味は「洗練されて見違えるように良くなる」

最初に、「一皮剥ける」の辞書での意味を確認していきましょう。国語辞典にて「一皮剥ける」は次のような意味が掲載されています。

容姿・性格・技術などが洗練されて見違えるようによくなる。
「ー・けてたくましくなる」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「◆一皮剥(む)・ける」

「一皮剥ける(ひとかわむける)」は、努力したり練習を重ねたりすることによって「容姿・性格・技術などが洗練されて見違えるように良くなる」という意味の慣用表現です。「以前よりも成長した」というニュアンスを含みます。この「一皮」は、本質や素質を覆い隠すもののたとえとして使用されている表現です。

「一皮剥ける」の語源の一説は、昆虫などの脱皮!?

「一皮剥ける」の正確な語源は、残念ながら分かっていません

ただ、ある一説では、虫やヘビなどの脱皮が由来しているのではないかと考えられています。虫やヘビは一定の時間が経過すると、それまで体を覆っていた古い殻を破って、さらに大きな個体へと成長していきますが、これを「脱皮」といいます。虫やヘビがそれまでの古い殻を破って大きくなることに、人間の成長をたとえた言葉なのかもしれませんね。

\次のページで「「一皮剥ける」の使い方を例文とともに確認!」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: