この記事では「腕を上げる」について解説する。

端的に言えば腕を上げるの意味は「上達すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員ライターのminを呼んです。一緒に「腕を上げる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターとして活動中。

「腕を上げる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「腕を上げる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「腕を上げる」の意味は?

「腕を上げる」には、次のような意味があります。

腕(うで)を上(あ)・げる
1 腕前・技術を進歩させる。
2 飲める酒の量が前より増える。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腕を上げる」

体の一部である「」を使った慣用句です。しかし、慣用句の場合は「体の腕」という意味ではなく、「腕」を「腕前」「技術」「力量」など捉え、それらを「進歩させる」または「上達する」「上手になる」という意味で使われます。例えば、何かの技術が以前よりも上達した相手に対して「腕を上げたね」というような言い方が可能です。

他にも、お酒に特化して「飲める量が増える」という意味もあるので、こちらも合わせて覚えておきましょう。

「腕を上げる」の語源は?

次に「腕を上げる」の語源を確認しておきましょう。

まず「」という漢字にはそもそも「腕前」や「手並み」という意味が入っています。昔から人間は作業をする際、手や腕を使うことから「手並み」や「技術」のことまで「」と呼ぶようになったそうです。

そこに「上がる」という、上達の意味を持つ言葉が合わさって「技術や能力を上げる」という意味の慣用句となりました。

\次のページで「「腕を上げる」の使い方・例文」を解説!/

「腕を上げる」の使い方・例文

「腕を上げる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.料理教室に通い始めた彼女はめきめき料理の腕を上げている
2.毎朝欠かさず練習をしていたサッカー少年は、シュートの腕が上がったようだ。
3.会社で先輩や上司に「プレゼンの腕を上げたな」と褒められてとても嬉しかった。

上達している様子」を表現する慣用句として、自分に対しても他人に対しても使うことができます。また、文章によって無意識に使い分けられている方も多いかと思いますが、「腕が上がる」以外にも「腕を上げる」という言い方も可能です。例えば1は「料理の腕が上がっている」と言い換えることもできます。

褒め言葉として相手に「腕を上げたね」と言ってあげれば、大人か子供かにかかわらず喜ばれる、そんな表現ですね。

「腕を上げる」の類義語は?違いは?

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次に、「腕を上げる」の類義語や、「技術」という意味の「腕」を使った慣用句について紹介していきます。

その1「手が上がる」

「腕」が「」に代わっても「技量が上達すること」という意味で使うことができます。理由は語源のところで説明したように、昔から人は「手」「腕」を使って作業や仕事を行なっていたことから、「腕・手=技量」という意味でも使われるようになった、ということからです。また、「飲酒の量が増す」という意味も持っています。

「腕が上がる」と違う点は、「手が上がる」には「文字がうまくなる」という意味があるという点です。この「手が上がる」独自の意味も合わせて覚えておくようにしましょう。

\次のページで「その2「腕が鳴る」」を解説!/

その2「腕が鳴る」

「技術」という意味の「腕」を使った慣用句です。「腕が鳴る」は「自分の腕前や力を表したくてじっとしていられない気持ちになること」を指します。使用例としては、練習を重ねて手応えを感じているテニスの練習の前日に「明日はいよいよ試合本番だと思うと腕が鳴る」というような場合などが挙げられるでしょう。

「腕が上がる」と同じように「腕=技術」の意味で使われる慣用句として、ぜひ合わせて覚えておいてほしいです。

その3「腕に覚えがある」

もう1つ、「技術」という意味の「腕」を使った慣用句を紹介します。「腕に覚えがある」は「自分の腕前や力に自信がある」という意味の表現です。「このゲームなら、自分も腕に覚えがあるぞ」といった使い方をします。

こちらも「腕=技術」の意味で使われる慣用句として、合わせて覚えておきましょう。

「腕を上げる」の対義語は?

次に「腕を上げる」の対義語を解説します。

腕を上げるの対義語「腕を落とす」

同じ「腕」を使った表現で、「腕を落とす」という慣用句も存在します。「技術や能力が落ちること」を指し、文字通り「腕を上げる」の対義語として挙げることが可能です。

また、類義語のところで「手が上がる」という慣用句を紹介しましたが、これと対になる表現として「手が下がる」という慣用句も存在します。「手が下がる」も同じように「腕前がにぶる」「技量が劣るようになる」、そして独自の意味として「文字が下手になる」という意味を持つ慣用句です。

「腕を上げる」の英訳は?

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最後に「腕を上げる」の英語表現について解説していきます。

「腕」「上げる」にピッタリの英単語を見つけよう

慣用句の「腕を上げる」の場合は、「arm(体の腕)」と訳すと意味が伝わりません。この場合の「腕」は「技術」と捉えて「skill」という単語がピッタリです。また、「上げる」は意味に添って言い換えると、この場合は「上達する」「促進される」という言い方ができるため、そこから考えて「improve」といった単語を使うのが良いでしょう。

また、こうした単語を使わなくとも、「前よりよくなる」という意味で「good」の比較級「better」を使って表現することもできます。

以下に例文を用意したので、参考にしてみてください。

\次のページで「「腕を上げる」を使いこなそう」を解説!/

My skill in playing the guitar has improved.
ギター演奏の腕が上がる

Her cooking has gotten better.
彼女の料理の腕は上がっている

「腕を上げる」を使いこなそう

今回の記事では「腕を上げる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「腕を上げたね」なんて、誰かに褒められるのはいくつになっても嬉しいものですよね。使える褒め言葉として、ぜひ頭の引き出しに入れておいてほしい表現です。

体の一部が、そこから転じて他の意味を持つようになったというパターンは意外と多くあります。また、そうした表現がよく使われているのが慣用句。よく調べることでいっそう日本語の面白さを実感できますね。他にも慣用句やことわざの意味を解説している記事がたくさんありますので、そちらの内容もぜひ合わせて読んでみてください。

" /> 【慣用句】「腕を上げる」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員ライターがわかりやすく解説! – ページ 4 – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「腕を上げる」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員ライターがわかりやすく解説!

My skill in playing the guitar has improved.
ギター演奏の腕が上がる

Her cooking has gotten better.
彼女の料理の腕は上がっている

「腕を上げる」を使いこなそう

今回の記事では「腕を上げる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「腕を上げたね」なんて、誰かに褒められるのはいくつになっても嬉しいものですよね。使える褒め言葉として、ぜひ頭の引き出しに入れておいてほしい表現です。

体の一部が、そこから転じて他の意味を持つようになったというパターンは意外と多くあります。また、そうした表現がよく使われているのが慣用句。よく調べることでいっそう日本語の面白さを実感できますね。他にも慣用句やことわざの意味を解説している記事がたくさんありますので、そちらの内容もぜひ合わせて読んでみてください。

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