この記事では「がなり立てる」について解説する。

端的に言えばがなり立てるの意味は「大声で騒ぐ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元大手予備校校舎長で国語指導歴が長く、現在は教育系専門ライターのみゆなを呼んです。一緒に「がなり立てる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「がなり立てる」の意味や語源・使い方まとめ

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誰かが「がなり立てている」シチュエーションには、誰もが遭遇したことがあるはずです。しかし「がなり立てる」という言葉の意味を、正確に押さえられているでしょうか?「がなり立てる」は、「がなる」「立てる」と分解できるような気もしますが、それにしても「がなる」とは何なのでしょう。

今回は「がなり立てる」を分かりやすく解説します。最後まで読むと「がなり立てる」がボキャブラリーに加わり、表現力がアップしますよ!それでは早速「がなり立てる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「がなり立てる」の意味は?

「がなり立てる」には、次のような意味があります。

あたりかまわず激しくわめく。わめきたてる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「がなり立てる」

「がなり立てる」とは、「周囲をかえりみず、大騒ぎする」という意味なのですね。ポイントは「周囲をかえりみず」という点です。周りの人に気遣いなく騒ぐ人というのは迷惑に感じるものですよね。「がなり立てる」は、そんな「周りの迷惑を考えずに」騒ぐ人に対して、周囲が使う言葉です。騒ぐ人が自分自身の行動に対して「自分はいま、がなり立てているぞ!」とは使いません。

「がなり立てる」の語源は?

「がなり立てる」をより理解するために、「がなる」+「立てる」に分解してみてみましょう。

「がなる」は「大きな声で騒々しく話す、わめく、どなる」という意味です。「立てる」はさまざまな意味がありますが、ここでは「度合いを強めて、明らかにする」という意味になります。「足音を立てる」という際の「立てる」ですね。

「大きな声でわめく」+「度合いを強める」という意味が合わさったものが「がなり立てる」であり、ただでさえ騒々しいのに一層さわがしくて、本当に迷惑だというニュアンスを感じさせる表現です。

\次のページで「「がなり立てる」の使い方・例文」を解説!/

「がなり立てる」の使い方・例文

「がなり立てる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。実際の文章中での使われ方を見ると、より理解が深まりますよね。

1.隣家が早朝から夫婦喧嘩でがなり立てている。窓が開いているから丸聞こえだ。
2.投票日前の選挙カーのがなり立て度合いといったら!寝ている子も飛び起きるくらいだ。
3.人前でそんなにがなり立てないでくれ、誓って浮気はしていないから!

例文を見てわかるように、「がなり立てる」は書き言葉でも話し言葉でも使える便利な表現です。そしていずれの文章も騒いでいる人や対象を「うるさいなあ、迷惑だなあ」と感じていることがわかるのではないでしょうか。

例文1は夫婦喧嘩に、例文2は選挙カーに、例文3は奥んか彼女に対して、それぞれ「がなり立てる」を使っていますね。朝から大声の夫婦喧嘩はいただけませんし、選挙カーは投票日前日には声を枯らさんばかりに叫びますよね。また人前で大きな声で浮気を追求されるのもやめてほしいものです。

このように「ところかまわず騒ぎ立てることに対して、迷惑だと感じる」ことを一言で言い表したのが「がなり立てる」だと言えます。

「がなり立てる」の類義語は?違いは?

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「がなり立てる」と同じ意味を持つ表現を見てみましょう。新しい言葉を1つ覚えたときは、関連表現も同時にインプットしてしまうのが語彙を効率よく獲得していくコツですよ。

その1「怒鳴る」

怒鳴る(どなる)」は「大きな声で相手に叫ぶ、大声を発する」という意味ですね。「がなり立てる」と入れ替えて使えるほど、意味が近い言葉です。同じような使い方ができる言葉としてほかに、「叫ぶ(さけぶ)/喚く(わめく)」もあります。 

\次のページで「その2「(声を)張り上げる」」を解説!/

その2「(声を)張り上げる」

(声を)張り上げる」という言い回しもあります。「できるだけ大きな声を出す」という意味ですが、「がなり立てる」のように「周りの迷惑を顧みずに」というニュアンスはありません。場面によって使い分けてみてください。

「がなり立てる」の対義語は?

「がなり立てる」に辞書的な対義語はありません。ただ「大きな声を出す」という意味を反対にすると、「小さな声を出す」ということになりますよね。「小さな声を出す」という意味を言いたい場合は、「ひそひそ」といった擬態語や、「ささやく」「小声で話す」といった表現が使えるでしょう。

「がなり立てる」の英訳は?

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「がなり立てる」は英語で表現するとどのようになるでしょうか?

その1「yell」

yell」は「怒鳴る、大きな声を出す」という意味で、「がなり立てる」の英訳として使えます。スポーツで使う「エール」の語源になっている英単語です。

You don't have to yell in public places.
「公共の場でが鳴り立ててはいけません」

その2「scream」

scream」も大きな声を出すという意味を表しますが、「恐怖や不安で悲鳴をあげる、叫ぶ」という場面でぴったりの英単語です。また甲高い音や鋭い音がする、という意味にも使えます。

\次のページで「「がなり立てる」を使いこなそう」を解説!/

He screamed out a warning at the construction sites.
「彼は工事現場で、危険注意だとがなり立てた」

「がなり立てる」を使いこなそう

この記事では「がなり立てる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「がなり立てる」声というのは、たとえ自分が無関係だったとしても気になりますし、聞いていて不快になるものです。わざわざ「がなり立て」ずとも、声は相手に届きますしコミュニケーションは成立するもの。心地よい距離感と音の大きさを心がけたいですね。

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国語言葉の意味

「がなり立てる」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校校舎長がわかりやすく解説!

この記事では「がなり立てる」について解説する。

端的に言えばがなり立てるの意味は「大声で騒ぐ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元大手予備校校舎長で国語指導歴が長く、現在は教育系専門ライターのみゆなを呼んです。一緒に「がなり立てる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「がなり立てる」の意味や語源・使い方まとめ

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誰かが「がなり立てている」シチュエーションには、誰もが遭遇したことがあるはずです。しかし「がなり立てる」という言葉の意味を、正確に押さえられているでしょうか?「がなり立てる」は、「がなる」「立てる」と分解できるような気もしますが、それにしても「がなる」とは何なのでしょう。

今回は「がなり立てる」を分かりやすく解説します。最後まで読むと「がなり立てる」がボキャブラリーに加わり、表現力がアップしますよ!それでは早速「がなり立てる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「がなり立てる」の意味は?

「がなり立てる」には、次のような意味があります。

あたりかまわず激しくわめく。わめきたてる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「がなり立てる」

「がなり立てる」とは、「周囲をかえりみず、大騒ぎする」という意味なのですね。ポイントは「周囲をかえりみず」という点です。周りの人に気遣いなく騒ぐ人というのは迷惑に感じるものですよね。「がなり立てる」は、そんな「周りの迷惑を考えずに」騒ぐ人に対して、周囲が使う言葉です。騒ぐ人が自分自身の行動に対して「自分はいま、がなり立てているぞ!」とは使いません。

「がなり立てる」の語源は?

「がなり立てる」をより理解するために、「がなる」+「立てる」に分解してみてみましょう。

「がなる」は「大きな声で騒々しく話す、わめく、どなる」という意味です。「立てる」はさまざまな意味がありますが、ここでは「度合いを強めて、明らかにする」という意味になります。「足音を立てる」という際の「立てる」ですね。

「大きな声でわめく」+「度合いを強める」という意味が合わさったものが「がなり立てる」であり、ただでさえ騒々しいのに一層さわがしくて、本当に迷惑だというニュアンスを感じさせる表現です。

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