この記事では「みすみす」について解説する。

端的に言えば「みすみす」の意味は「わかっていながら対応できなかった」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「みすみす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「みすみす」の意味をわかりやすく伝える。

「みすみす」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「みすみす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「みすみす」の意味は?

「みすみす」の意味を次のように国語辞書で確認してみましょう。

1. 見ていながら、また事情がわかっていながら、それにふさわしい対応をしないさま。また、条件に恵まれながら、何もできずに終わってしまうさま。むざむざと。「宝の山に入りながら―手ぶらで帰るとは」

2. (多く「目に見す見す」の形で)目の前に見ながら。見ているうちに。見る見る。「白妙の衣に似たる梅の花目に―も衰ふるかな」〈宇津保・春日詣〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「みすみす」

「みすみす」には2つの意味がありますが、口語でよく用いられるのは1つ目でしょう。実際にある状況に直面する又は状況を理解しているのにも関わらず、なんらかの理由で対応できなかったときに使用します。このように、「対応できなかった」「終了してしまった」「失敗した」といった、上手くいかなかった過去を想起する際に用いることが多い言葉です。

2つ目の用法は古典でよく見られ、口語ではあまり用いられないかもしれません。1つ目の意味とはやや異なり「失敗した」といったニュアンスは少なく、「見ている」という状況を指します。

「みすみす」の語源は?

次に「みすみす」の語源ですが、「みすみす」という単語の明確な語源はハッキリしていません。そもそも「みすみす」は漢字で「見す見す」と書き、「見す」という動詞が2つ重なって単語が成立しています。では、「見す」という言葉から語源を少し解釈してみましょう。

「見す」は単体では「ご覧になる」というように、「見る」の尊敬語として使用されます。ただ「恥を見す」(恥をかかせるの意)や「目を見す」(あるひどい目に合わせるの意)という用例のように、ややネガティブな言い回しで使うことも多いです。

このように、なぜ「見す」が2つ重なったのかはハッキリしていませんが、ネガティブなニュアンスをもつ「見す」から「見す見す」という単語が成立していることがわかりましたね。

\次のページで「「みすみす」の使い方・例文」を解説!/

「みすみす」の使い方・例文

「みすみす」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 今日は日本語教室の上級クラスの日だった!寝坊してみすみす欠席してしまった。

2. 君にはサービスでヒントもチャンスも与えたのに、みすみす不意にしてしまったな。

3. あなたの失敗の原因はこの問題をみすみす残してしまったことだな。疑問は質問してくれればとんとん拍子で回答して解決するのに。

このように、「みすみす」は「欠席した」「残した」「逃がした」「失敗した」といった悔やまれる意味を有する言葉とセットで、かつ過去形で使用されることが多い表現であることがわかりますね。偶然でしょうが、英語の「ミス」と同じようなニュアンスです。なおここでお示しした例文は、全て前述した意味の1つ目の使い方となっています。

「みすみす」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「みすみす」の類義語を2つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

1.「むざむざ」

まず、「みすみす」に最も近い類義語が「むざむざ」です。念のため意味を国語辞典で確認してみましょう。

\次のページで「2.「まんまと」」を解説!/

価値あるものが無造作に失われるさま。やすやすと。「せっかくのチャンスを―失ってたまるか」「―(と)捨てるわけにはいかない」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「むざむざ」

このように「むざむざ」は「みすみす」と同じように、「失敗」「失う」といったニュアンスを持った言葉です。ただ「みすみす」が過去の出来事に対して使用されることが多かった一方、「むざむざ」は未来の出来事や「簡単に失うものか」といった意思にも使用されるという違いがあります。なお漢字で書くと「無残無惨」と、強い後悔や意思を感じる言葉ですね。

2.「まんまと」

次の類義語に「まんまと」があります。これも同様に、国語辞書で意味を確認しましょう。

《「うまうまと」の音変化》もののみごとにある事が成し遂げられるさま。首尾よく。うまく。「敵の計略に―ひっかかった」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「まんまと」

「まんまと」も「みすみす」と似ている言葉ですが、なにかの物事を「上手いことしてやられた」といった意味であるため、「みすみす」や「むざむざ」と比べると相手・他人への敬意や爽快さ、しょうがなさといったニュアンスを含む言葉ですね。

ちなみに語源である「うまうま」(旨旨)は「うまい」を重ねた言葉で、「まんまと」と同じ意味を有しています。

「みすみす」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきたいのですが、「みすみす」の明確な対義語は無いと言えます。なぜなら「みすみす」は「事情がわかっていながら対応しなかった・できなかった」という状況・結果・過去の3つを表現する単語ですが、その反対の意味を示す単語が無いためです。

なお類義語である「むざむざ」の対義語は「けんめいに」「いっしんに」「おもいきり」などですが、「みすみす」の対義語とは言いづらいですよね。

\次のページで「「みすみす」の英訳は?」を解説!/

「みすみす」の英訳は?

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最後に、「みすみす」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「before one's very eyes」

「みすみす」という日本語のニュアンスと直接合致する英単語は無いのですが、「目の前で」という意味を有する「before one's very eyes」を使って言い回すと表現ができます。あくまで「目の前で」「目前で」という意味ですので、以下に示す例文のように、「失敗した」「逃した」などという意味の単語と組み合わせると良いでしょう。

・I was drinking my coffee slowly for occasional holidays, I missed the hottest live video before my very eyes.

久しぶりの休日だと思って少し長めにコーヒーを飲んでいたら、話題のライブ動画をみすみす見逃してしまった。

・A thief came out of that house yesterday and we caught him, but he shook us off before my very eyes. He's a thief! but no one would help me.

あの家から泥棒が昨日出てきて捕まえたのに、みすみす振り切られてしまったわ。どろぼうよー!って叫んだのに、誰も助けてくれなかったの。

「みすみす」を使いこなそう

この記事では「みすみす」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「みすみす」は「事情がわかっていながら、それにふさわしい対応をしないさま」というように、過去の状況や結果を表す言葉でしたね。未来の出来事に使用することは少ないので注意しましょう。この言葉をちゃんと使えれば、「みすみす」チャンスを逃すこともなく、ビジネスでも恋愛でも良い出会いがあるかもしれませんよ。

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国語言葉の意味

「みすみす」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「みすみす」について解説する。

端的に言えば「みすみす」の意味は「わかっていながら対応できなかった」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「みすみす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「みすみす」の意味をわかりやすく伝える。

「みすみす」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「みすみす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「みすみす」の意味は?

「みすみす」の意味を次のように国語辞書で確認してみましょう。

1. 見ていながら、また事情がわかっていながら、それにふさわしい対応をしないさま。また、条件に恵まれながら、何もできずに終わってしまうさま。むざむざと。「宝の山に入りながら―手ぶらで帰るとは」

2. (多く「目に見す見す」の形で)目の前に見ながら。見ているうちに。見る見る。「白妙の衣に似たる梅の花目に―も衰ふるかな」〈宇津保・春日詣〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「みすみす」

「みすみす」には2つの意味がありますが、口語でよく用いられるのは1つ目でしょう。実際にある状況に直面する又は状況を理解しているのにも関わらず、なんらかの理由で対応できなかったときに使用します。このように、「対応できなかった」「終了してしまった」「失敗した」といった、上手くいかなかった過去を想起する際に用いることが多い言葉です。

2つ目の用法は古典でよく見られ、口語ではあまり用いられないかもしれません。1つ目の意味とはやや異なり「失敗した」といったニュアンスは少なく、「見ている」という状況を指します。

「みすみす」の語源は?

次に「みすみす」の語源ですが、「みすみす」という単語の明確な語源はハッキリしていません。そもそも「みすみす」は漢字で「見す見す」と書き、「見す」という動詞が2つ重なって単語が成立しています。では、「見す」という言葉から語源を少し解釈してみましょう。

「見す」は単体では「ご覧になる」というように、「見る」の尊敬語として使用されます。ただ「恥を見す」(恥をかかせるの意)や「目を見す」(あるひどい目に合わせるの意)という用例のように、ややネガティブな言い回しで使うことも多いです。

このように、なぜ「見す」が2つ重なったのかはハッキリしていませんが、ネガティブなニュアンスをもつ「見す」から「見す見す」という単語が成立していることがわかりましたね。

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