この記事では「身に沁みる」について解説する。

端的に言えば身に沁みるの意味は「深く感じる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み続け、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「身に沁みる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「身に沁みる」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「身に沁みる(みにしみる)」という言葉を聞いた事があるでしょうか。何となく、意味のイメージは想像つきますが、しっかり理解する事によって言葉のバリエーションを増やす事が出来ますよ。それでは早速「身に沁みる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「身に沁みる」の意味は?

「身に沁みる」には、次のような意味があります。

1.しみじみと深く感じる。「人の優しさが—・みる」

2.秋の冷気が強く感じられる。《季 秋》「—・むや亡妻の櫛(くし)を閨(ねや)に踏む/蕪村」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「身に沁みる」

「身に沁みる」は「みにしみる」と読み、意味は大きく分けて2つあります。1つ目は、「しみじみと深く感じる」という意味です。こちらは、「人の優しさが身に沁みる」といった使い方をします。2つ目は、「寒気や冷気などが体に強く感じられる」という意味です。こちらは、「秋に吹く風が身に沁みる」といった使い方をします。

このように、「心で感じる」「体で感じる」という2つの意味があるため、うまく使い分けていきましょう。

「身に沁みる」の語源は?

次に「身に沁みる」の語源を確認しておきましょう。結論から申し上げますと、「身に沁みる」の正しい語源は不明です。しかし、「沁みる」という言葉の意味を知ることで、語源が見えてきます。「沁みる」は「しみる」と読みますが、「しみる」にあたる漢字は非常に多いです。

「染みる」や「凍みる」など様々ありますが、その中でも「沁みる」は唯一、人の心に関連する意味を持っています。他にも、「液体や気体などの刺激で、刺すような痛みを感じる」という意味も含まれているようです。

そして、「身」と「沁みる」という漢字が組み合わさることで、前述で紹介した意味を持つ「身に沁みる」という慣用句が出来たと考えられるでしょう。しかし、「沁」は常用外の漢字なので、現代では「身に染みる」と表記される事もあります。覚えておきましょう。

\次のページで「「身に沁みる」の使い方・例文」を解説!/

「身に沁みる」の使い方・例文

「身に沁みる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.上司から身に沁みる助言をいただき、ありがとうございました。
2.入院して休んでいた僕のために、親友がノートをとってくれていた。親友の優しさが身に沁みるよ、本当にありがとう、
3. 冬の寒さが身に沁みる

これらの例文について、詳しく見ていきましょう。例文1は、相手からの厚意や取り計らないなどに対し、強い感謝を表す「身に沁みる」です。会社などで、上司から助言をされる事があるでしょう。しみじみと感じられるアドバイスなどは、それは「身に沁みるアドバイス」という事になります。

例文2は、人の親切に対して感謝の気持ちを表す「身に沁みる」です。相手からの厚意などに強く感謝すると同時に、自分がどんな気持ちになったのかを伝える事も出来ます。「〇〇の優しさが身に沁みる」というように使いましょう。

例文3は、強い寒さを表現する「身に沁みる」です。これは、実際に強い寒さを感じた際に使いましょう。

「身に沁みる」の類義語は?違いは?

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「身に沁みる」には、「しみじみと深く感じる」「秋の冷気が強く感じられる」といった意味がありました。そんな「身に沁みる」の類義語についても見ていきましょう。

その1「ひしひしと」

「身に沁みる」の類義語の1つに、「ひしひしと」が挙げられます。「ひしひし」とは「少しのゆるみ・隙間もないさま」「強く身や心に感ずるさま」といった意味です。2つの意味がありますが、後者の「強く身や心に感ずるさま」が、類義語と言えるでしょう。例えば、「改めて妻のありがたみをひしひしと感じた」を「改めて妻のありがたみが身に沁みた」と言い換える事も出来ます。

\次のページで「その2「骨身に染みる」」を解説!/

・この歳にもなると、自分が老いていってることをひしひしと感じる。

・学生が主体となって日本の空を守るのだな、という気がひしひしとする。

・今まで考える事もなかったが、ひしひしと胸に迫るものがある。

その2「骨身に染みる」

もう1つの類義語には、「骨身に染みる」という慣用句があります。「骨身に染みる」は「ほねみにしみる」と読み、「体のしんまで感じる。 嬉しさや苦しさを深く心身に感ずる」という意味です。「身に沁みる」には、「しみじみと深く感じる」という意味なので、類義語と言えるでしょう。

・あいつと戦っても、勝ち目がない事は既に骨身に染みて理解している。

・こうなってみると、改めてお金のありがたみが骨身に染みて分かる。このためなら、命を賭けてもいいという気になる。

・その中に、自分の考えの甘さが、骨身にしみてわかってくるさ。

その3「心底」

「心底」は「しんそこ」と読み、「こころのおくそこ」という意味があります。その感情を、心の奥底から確かに感じている様子を表現する言葉です。こちらも類義語と言えるでしょう。

・手遅れになる前に、病院で適切な処置を受ける必要があると心底感じた。

・母親の勇気ある行動に、心底感動した。

・何度注意しても〇〇さんは遅刻を繰り返している。〇〇さんには心底呆れてしまった。

「身に沁みる」の英訳は?

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「身に沁みる」の英訳についても見ていきましょう。

\次のページで「「penetrating」」を解説!/

「penetrating」

「身に沁みる」の「寒さが身に沁みる」という意味では、「penetrating」を使いましょう。「It’s penetrating chill」とすると、「身に沁みる寒さ」と表現する事が出来ます。

「身に沁みる」を使いこなそう

この記事では「身に沁みる」の意味・使い方・類語などを説明しました。「身に沁みる」は「みにしみる」と読み、「しみじみと深く感じる」「秋の冷気が強く感じられる」という2つの意味があります。類義語には「心底」「骨身に染みる」「ひしひしと」の3つが挙げられ、「ひしひしと」は言い換え語としても使う事が出来るでしょう。

「身に沁みる」はビジネスシーンは勿論、日常的にも使う事が出来る言葉です。失敗などをして反省する時や人からの厚意に対しての感謝など、いろんな状況で使う事も出来ます。正しい意味と使い方を理解し、是非使いこなせるようにしておきましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「身に沁みる」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「身に沁みる」について解説する。

端的に言えば身に沁みるの意味は「深く感じる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み続け、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「身に沁みる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「身に沁みる」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「身に沁みる(みにしみる)」という言葉を聞いた事があるでしょうか。何となく、意味のイメージは想像つきますが、しっかり理解する事によって言葉のバリエーションを増やす事が出来ますよ。それでは早速「身に沁みる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「身に沁みる」の意味は?

「身に沁みる」には、次のような意味があります。

1.しみじみと深く感じる。「人の優しさが—・みる」

2.秋の冷気が強く感じられる。《季 秋》「—・むや亡妻の櫛(くし)を閨(ねや)に踏む/蕪村」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「身に沁みる」

「身に沁みる」は「みにしみる」と読み、意味は大きく分けて2つあります。1つ目は、「しみじみと深く感じる」という意味です。こちらは、「人の優しさが身に沁みる」といった使い方をします。2つ目は、「寒気や冷気などが体に強く感じられる」という意味です。こちらは、「秋に吹く風が身に沁みる」といった使い方をします。

このように、「心で感じる」「体で感じる」という2つの意味があるため、うまく使い分けていきましょう。

「身に沁みる」の語源は?

次に「身に沁みる」の語源を確認しておきましょう。結論から申し上げますと、「身に沁みる」の正しい語源は不明です。しかし、「沁みる」という言葉の意味を知ることで、語源が見えてきます。「沁みる」は「しみる」と読みますが、「しみる」にあたる漢字は非常に多いです。

「染みる」や「凍みる」など様々ありますが、その中でも「沁みる」は唯一、人の心に関連する意味を持っています。他にも、「液体や気体などの刺激で、刺すような痛みを感じる」という意味も含まれているようです。

そして、「身」と「沁みる」という漢字が組み合わさることで、前述で紹介した意味を持つ「身に沁みる」という慣用句が出来たと考えられるでしょう。しかし、「沁」は常用外の漢字なので、現代では「身に染みる」と表記される事もあります。覚えておきましょう。

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