この記事では「赤銅」について解説する。

端的に言えば、赤銅の意味は「銅に、金と少量の銀を加えた合金」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「赤銅」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「赤銅」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「赤銅」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「赤銅」の意味は?

「赤銅」には、次のような意味があります。

銅に金3~4パーセント、銀約1パーセントを加えた銅合金。硫酸銅・酢酸銅などの水溶液中で煮沸すると、紫がかった黒色の美しい色彩を示すので、日本では古くから紫金 (むらさきがね) ・烏金 (うきん) などとよばれ重用された。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「しゃく-どう【赤銅】」

「赤銅」は、まず読み方に注意しましょう。「しゃくどう」です。「あかどう」ではありません。

この「赤銅」とは、金を3パーセントから6パーセントほど含む銅の合金のことです。これにさらに銀を1パーセント程度を加えた場合も「赤銅」と呼ぶこともあります。

日本では古来より、工芸品や銅像、装飾品などに用いられ、特に、硫酸銅などで処理すると「青黒い色彩」を出すのが特徴。「紫金」「烏金」も、この「赤銅」です。「赤銅色」のことを略して「赤銅」と呼ぶ場合もあります。

「赤銅」の語源は?

次に、「赤銅」の語源を、確認しておきましょう。

その用語にある通り、「赤銅」は「赤」と「銅」が言葉の由来。銅に、わずかな量の金と銀を加えると、やや黒みを帯びた紫色となり、これを「赤銅色」と言いました。

銅はもともと、赤橙色をした金属。これが、空気中にさらされたり、経年変化によって赤みを帯びた色となります。色はどういろと読まず、あかがねいろと読むのも、しっかりと覚えておきましょう。

\次のページで「「赤銅」の使い方・例文」を解説!/

「赤銅」の使い方・例文

「赤銅」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.赤銅のような色のこの美術装飾品は、商品の参考価格がつけられないほど世界的に人気がある。
2.ひたすら鍛えた結果、赤銅色の肌をしたたくましい身体にまで成長を遂げた。
3.久々にやってきた京都でのお買い物に、赤銅色の着物をまとい、親しい友人と出かけて街歩きを楽しんだ。

それでは、それぞれの例文について、解説していきます。

例文1は、赤銅のような色という、黒みを帯びた紫色を文章内で表現。赤銅は、美術品や装飾品などで昔から日本で用いられてきた色です。

例文2は、身体を鍛えて陽に焼けたことで、肌の色が赤銅色になったことを表現しています。

例文3も、赤銅の色をした着物という表現で使われた典型的な文章です。

「赤銅」の類義語は?違いは?

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次に、「赤銅」の類義語(類語)について、見ていきましょう。

類義語として、例えば、唐金、青銅、ブロンズ、褐色、茶、黄銅、真鍮、洋銀などがあります。

その1「唐金」

「唐金」は、からかね、と読みます。とうきん、とは読まないので注意。

この「唐金」は、銅、錫(すず)をメインに、鉛、鉄、ニッケルなどを加えた合金のこと。色は青黒色であり、古くは「銭」などに使われました。青銅もこれと同じです。中国から伝わったことで「唐」と付いています。

「赤銅」とは色が違うものの、合金という点で共通です。

\次のページで「その2「真鍮」」を解説!/

その2「真鍮」

「真鍮」は、しんちゅう、と読みます。「鍮」がなかなか難しく、すぐに読めないかもしれません。

意味は、銅と亜鉛を混ぜて作られた合金です。特に、亜鉛が20パーセント以上含まれる銅の合金のこと。色がほぼ黄色なので、「黄銅」とも呼ばれます。

ちなみに、日本の五円硬貨の原料です。

その3「洋銀」

「洋銀」は、なかなか耳慣れない言葉かもしれません。英語で、German silver です。

この「洋銀」は「洋白」とも呼ばれ、銅にニッケルと亜鉛を加えた合金のこと。色が銀に似ており、耐食性もあり、装飾品や食器など銀の代用品として古くから用いられてきたほか、医療機器などにも使われています。

また、江戸時代末期から明治初期にかけ、日本に流入した外国の銀貨のことを指す場合も。主に、スペインやメキシコ、アメリカやフランスなどの銀貨で、当時はメキシコの8レアル銀貨が最も多かったとのこと。

「赤銅」の対義語は?

続いて、「赤銅」の対義語(反対語)について。

「赤銅」の対義語はありません。というのも、合金、色を表現する言葉であり、それと対峙するような言葉はないからです。それでも、赤銅と対をなす色はないかというと、それもなかなか難しいものがあります。

あえて言うと、合金ではなく、銅そのもの、金そのもの、銀そのもの、と言えるかもしれません。

「赤銅」の英訳は?

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さらに、「赤銅」の英訳についても、確認しておきましょう。

「赤銅」を英語にそのまま訳すと、red bronze ですが、赤銅色だと brownnessbrowncooper となるなど、いくつかの英語表現があります。

「cooper」

赤銅を色で表現すると、英語では「cooper」が一般的です。

cooper は、銅という意味であり、語源は、ラテン語で銅を意味する「cuprum」に由来します。キプロス(Cyprus島)が銅の産地だったから。

ほかに、赤銅色、銅貨、銅製の大釜なども、cooper です。ちなみに、銅合金は、cooper alloy と表現します。

それでは、その他の英語表現も含め、例文を見ていきましょう。

・The man bronzed by the sun.

彼は太陽の光によって赤銅色に日焼けした。

・That elderly woman was a weather-beaten face.

あの高齢の女性はしわが多くて赤銅色に日焼けした顔だった。

・Some girls are cooper-skinned.

何人かの少女たちは赤銅色の肌をしている。

\次のページで「「赤銅」を使いこなそう」を解説!/

「赤銅」を使いこなそう

この記事では、「赤銅」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「赤銅」というと、まずは赤っぽい銅だと思いがちですが、厳密には異なり、銅にわずかの金と銀を混ぜて作った合金であり、赤銅色は黒みを帯びた紫色のことです。

日本では、古来より赤銅を仏像をはじめ、工芸品や美術品などで用いられてきた歴史もあります。今回を機に「赤銅」の意味などをしっかり覚えましょう。

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国語言葉の意味

「赤銅」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説!

この記事では「赤銅」について解説する。

端的に言えば、赤銅の意味は「銅に、金と少量の銀を加えた合金」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「赤銅」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「赤銅」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「赤銅」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「赤銅」の意味は?

「赤銅」には、次のような意味があります。

銅に金3~4パーセント、銀約1パーセントを加えた銅合金。硫酸銅・酢酸銅などの水溶液中で煮沸すると、紫がかった黒色の美しい色彩を示すので、日本では古くから紫金 (むらさきがね) ・烏金 (うきん) などとよばれ重用された。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「しゃく-どう【赤銅】」

「赤銅」は、まず読み方に注意しましょう。「しゃくどう」です。「あかどう」ではありません。

この「赤銅」とは、金を3パーセントから6パーセントほど含む銅の合金のことです。これにさらに銀を1パーセント程度を加えた場合も「赤銅」と呼ぶこともあります。

日本では古来より、工芸品や銅像、装飾品などに用いられ、特に、硫酸銅などで処理すると「青黒い色彩」を出すのが特徴。「紫金」「烏金」も、この「赤銅」です。「赤銅色」のことを略して「赤銅」と呼ぶ場合もあります。

「赤銅」の語源は?

次に、「赤銅」の語源を、確認しておきましょう。

その用語にある通り、「赤銅」は「赤」と「銅」が言葉の由来。銅に、わずかな量の金と銀を加えると、やや黒みを帯びた紫色となり、これを「赤銅色」と言いました。

銅はもともと、赤橙色をした金属。これが、空気中にさらされたり、経年変化によって赤みを帯びた色となります。色はどういろと読まず、あかがねいろと読むのも、しっかりと覚えておきましょう。

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