この記事では「水をあける」について解説する。

端的に言えば水をあけるの意味は「差をつける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「水をあける」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「水をあける」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「水をあける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「水をあける」の意味は?

「水をあける」には、次のような意味があります。

水泳・ボートレースなどで、一身長・一艇身以上の差をつける。また、競争相手との間に差をつける。

出典:明鏡国語辞典第三版(大修館書店)「水をあける」

ボート競技や競泳などの勝負で対戦相手に水をあけて快勝することは気持ちのいいものです。「水をあける」とは、先行する人やチームが追いすがるライバルとの間に体あるいは艇の長さ以上の差をつけることを言います。これはなにも水上競技に限ったことではなく、一般社会でも仕事や学業などで誰かと大きく差をつけるような場合にも使うことができるのです。

「水をあける」の語源は?

次に「水をあける」の語源を確認しておきましょう。「水をあける」はもともと水泳やボートレースなどの水上競技が由来でできた言葉です。つまりそれらの競技で相手を大きく引き離し、間になにもない水だけの空間をつくることからきています。やがてそれが転じて、競争相手を大きく引き離す意味にも使われるようになりました。

\次のページで「「水をあける」の使い方・例文」を解説!/

「水をあける」の使い方・例文

「水をあける」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、例えば以下のように用いられます。

1.僕の買ったボートの舟券は、前評判どおり二位以下に大きく水をあける勝ちっぷりだった。
2.オリンピックの水泳競技で彼女は他の選手に水をあける強さで、一躍スター選手になった。
3.彼は見様見真似で仕事をしていると思ったら、いつの間にかライバルに水をあける存在になった。

「水をあける」とはもともと文字どおり水上競技で抜群の強さを見せつけ、他のチームや選手を寄せ付けない場合に使われていました。しかし「水をあける」様子に関連して、非常に実力がある者を賞賛する言い方にもなったのです。ライバルと思っていた相手に水をあけられて負けたのでは、身の置き所もないほど恥ずかしい感情が押し寄せて、なかには「身の程知らず」と罵られるかもしれません。しかし再度挑戦すれば、今度は勝てるかもしれないのです。

一度の失敗ですべてを投げ出しては、これまでの努力が水の泡になります。何度も何度も立ち向かってください。織田信長もとても勝ち目はないと思われた今川義元に果敢に立ち向かい、未曾有の勝利をものにして天下を取る寸前までいったのです。何事も三日坊主では、達成できることさえ未来永劫達成できなくなるでしょう。勝敗の行方は誰にもわかりません。今できることに全力でぶつかってください。

「水をあける」の類義語は?違いは?

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ここでは「水をあける」の類義語を見ていきましょう。

その1「大差をつける」

「大差をつける」は、相手との差をつけてぶっちぎりで勝つことですから「水をあける」の類義語と言えます。この言葉はスポーツに限定されることはなく学校や会社での成績にも使うことができるのです。特に会社の営業ランキングや学校のテストは数字で表れますからごまかすことができません。よく自身を省みて、どこが悪かったのか足らなかった部分を見直すことが必要です。

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その2「追随を許さない」

「追随を許さない」とは、他と比べて圧倒的に力が優れている様子を言います。その意味で「水をあける」の類義語に挙げてもいいでしょう。「追随」の意味は、あとからついていくことです。それを許さないほどですから、力が抜きんでていることは明白と言えます。

その3「横綱相撲」

「横綱相撲」「水をあける」とは若干意味合いが違います。立ち会いから相手を圧倒する勝ち方ではありません。序盤は力の差が大違いの力士に先手をとらせて徐々に反撃し、結果として危なげなく白星を上げるような相撲です。いずれにしても力の差が歴然とした勝ちっぷりですから「水をあける」の類義語として挙げておきました。

「水をあける」の対義語は?

次に「水をあける」の対義語を見ていきましょう。

その1「実力伯仲」

「実力伯仲」とは優劣をつけることができないほど実力に差がないことです。「伯仲」は中国語で長男と次男のことで、年の差があまりない長男と次男なら力の差も少ないという意味で使われています。「伯仲」だけでも優劣がつけがたいという意味になるのです。この言葉は「水をあける」の対義語としてふさわしいのではないでしょうか。

その2「いずれ劣らぬ」

「いずれ劣らぬ」は二つ以上のものを比べてどれもが優れており、見劣りするものがない場合に使われます。いずれもが優劣つけがたいわけですから、圧倒的に差を見せつける「水をあける」の対義語と言えるでしょう。「いずれ劣らぬ」に似た言葉として「粒ぞろい」「百花繚乱」などが挙げられますが、これは「水をあける」とは違う意味で使われます。

その3「接戦」

「接戦」には力量が同じくらいでなかなか決着がつかない勝負のほかに、敵味方が接近して戦うという意味もあります。「水をあける」の対義語としては、当然前者です。「接戦」「クロスゲーム」「白熱戦」ともいい、いずれもスポーツの場合に使い、職場や学校でのライバルとの戦いには使いません。

\次のページで「「水をあける」の英訳は?」を解説!/

「水をあける」の英訳は?

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最後に「水をあける」の英訳を見ていきましょう。

「to open up a lead over one's opponent」

「to open up a lead over one's opponent」「相手をリードする」という意味です。「opponent」「相手」を意味します。仮に相手を限定していない場合は「to open up a lead」だけで「リードを開く」という意味になりますから、それでも通用するでしょう。なお差がかなり大きい場合は文中に「big」を加えて「to open up a big lead over one's opponent」とします。

「水をあける」を使いこなそう

この記事では「水をあける」の意味・使い方・類語などを説明しました。「水をあける」と言えば力の差が歴然としている様子が私たちにはすぐ理解できますが、英語に直訳しても通じません。やはり直接的な言い方しかないようです。なにはともあれ私たちも、一生懸命がんばって何事にも他者と「水をあける」ような努力をしようではありませんか。

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国語言葉の意味

【慣用句】「水をあける」の意味や使い方は?例文や類語を元広報紙編集者がわかりやすく解説!

この記事では「水をあける」について解説する。

端的に言えば水をあけるの意味は「差をつける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「水をあける」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「水をあける」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「水をあける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「水をあける」の意味は?

「水をあける」には、次のような意味があります。

水泳・ボートレースなどで、一身長・一艇身以上の差をつける。また、競争相手との間に差をつける。

出典:明鏡国語辞典第三版(大修館書店)「水をあける」

ボート競技や競泳などの勝負で対戦相手に水をあけて快勝することは気持ちのいいものです。「水をあける」とは、先行する人やチームが追いすがるライバルとの間に体あるいは艇の長さ以上の差をつけることを言います。これはなにも水上競技に限ったことではなく、一般社会でも仕事や学業などで誰かと大きく差をつけるような場合にも使うことができるのです。

「水をあける」の語源は?

次に「水をあける」の語源を確認しておきましょう。「水をあける」はもともと水泳やボートレースなどの水上競技が由来でできた言葉です。つまりそれらの競技で相手を大きく引き離し、間になにもない水だけの空間をつくることからきています。やがてそれが転じて、競争相手を大きく引き離す意味にも使われるようになりました。

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