端的に言えば食い入るようにの意味は「深く入り込むように」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
現役のオンライン塾講師でライターのななを呼んです。一緒に「食い入るように」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/なな
現役のオンライン塾講師であり、現在はライターとしても活動している。作文の添削をする際にひたすら辞書を引いた経験から、正しい日本語について常に考えるようになった。日本語の奥深さを伝えたいという熱い思いをもっている。
「食い入るように」の意味は?
「食い入るように」には、次のような意味があります。
主に「見る」動作を形容する表現で、見る対象に視線が食い込むかのように、じっと見つめるさまを表す言い回し。
出典:実用日本語表現辞典「食い入るように」
「食い入るように」は基本的に「見る」や「見つめる」といった動詞とともに使用し、どのような状態で見ているのかを説明しています。まるで視線が物や人に突き刺さり、食い込んでいくかのようにじっと見ている様子を表しているのですね。
周囲には一切見向きもしないで、ある対象を集中して見ている姿が想像できる言葉です。「食い入るように見つめる」というフレーズで覚えてしまいましょう!
「食い入るように」の使い方・例文
「食い入るように」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.明日の遠足を楽しみにしている息子が、ご飯を食べる手をとめて天気予報を食い入るように見ている。
2.「話がある」と突然言われ、私は彼の顔を食い入るように見つめた。
3.好きな人との相性診断をしてくれるサイトを、宿題をそっちのけで食い入るように見ている。
1の例文では、男の子が食事をするのも忘れてテレビの天気予報を見つめています。2は、次にどんな話をされるのか聞き逃すまいと、彼の顔をじっと見ている例。最後の例文からは、診断結果が気になって勉強そっちのけでサイトを読んでしまう姿が想像できます。
どの用例も、キーワードは「他のことが目に入らなくなるほど集中して見ること」だといえるでしょう。
その1「穴のあくほど」
「食い入るように」の類義語として、まずあげられるのは「穴のあくほど」。文字通り視線で穴があいてしまうほど見つめる様子を表し、『新明解国語辞典』におもしろい解説があったので次に紹介します。
相手の心中まで見通すように、じっと顔を見詰める
出典:新明解国語辞典 第六版(三省堂)「穴 用例:穴のあくほど見る」
心の中まで見透かすくらいに凝視する‥‥‥。少し怖い印象がありますが、そのくらい集中して見るさまをいうのですね。「顔をじっと見つめられた」よりも「顔を穴のあくほど見つめられた」といった方が、視線が突き刺さってくるイメージが表せます。
その2「まじまじと」
「まじまじと」も「食い入るように」の類義語です。こちらはよく使う表現なのではないでしょうか?『新明解国語辞典』では「食い入るように」、「穴のあくほど」とは違ったニュアンスが説明されています。
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