この記事では「以ての外」について解説する。

端的に言えば、以ての外の意味は「思いもよらないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「以ての外」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「以ての外」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「以ての外」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「以ての外」の意味は?

「以ての外」には、次のような意味があります。

1.とんでもないこと。けしからぬこと。また、そのさま。
2.予想を越えて程度がはなはだしいこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「もって-の-ほか【以ての外】」

「以ての外」は、もってのほかと読むのが正しく、その内容は大きく分けて2つの意味があります。

1つ目の意味は、とんでもないこと、です。また、けしからぬ様子などを表します。もう1つの意味は、予想を越えて程度が甚(はなは)だしいこと。これも「以ての外」のよく知られている意味になります。

あと、「以ての外」の読み方で、くれぐれも注意したいことがいてのほか、もってのそと、などとは読まない、ということ。以という字は「〜以外」という言葉以外ではあまり使うことがないですよね。なので、初見で正しく読める方はあまり多くないのも仕方ありません。「もってのほか」が正しく、かつ唯一の読み方として覚えておきましょう。

「以ての外」の語源は?

次に、「以ての外」の語源を確認しておきましょう。

「以ての外」で、漢字の「以て」(もって)には、さまざまな意味があります。例を挙げると、手段や方法、原因や理由、くぎりや限界をはじめ、事柄が行われる、語調を強めるなど。「以ての外」は、この「以て」の慣用句です。

一方、「外」(ほか)には多くの意味がある中で、「以ての外」の場合、それ以外の人や物事、その範囲を超えた場所など。

「以ての外」の語源は、「思っての外」が転じたという説に加え、「おもい(以)のほか(外)」など諸説あります。

\次のページで「「以ての外」の使い方・例文」を解説!/

「以ての外」の使い方・例文

「以ての外」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.ホテルでの宿泊時に、予期せぬ朝食抜きとなった。以ての外だろう。
2.ビーチで空気銃を連発する若者がいて、以ての外だった。刑罰に処すべきだろう。
3.広告代理店で、営業の担当者が印刷物の不備で、取引先の責任者を怒らせた。組織に所属する者として、以ての外だ。
4.秋に咲く「延命楽」という食用の菊は「以ての外」「もって菊」の愛称で知られる。

それぞれの例文について、解説していきます。

例文1は、「以ての外」で最もよく使われる意味である「とんでもないこと」という意味。例文2も同様で、「けしからぬこと」という意味で使われています。例文3も、ほぼ同じの意味です。

例文4について。食用菊の王様と言われる「延命楽(えんめいらく)」という菊は、「以ての外」(もってのほか)などの愛称があり、そのいわれは、天皇の菊の御門を食べるのは以ての外という説が有力。この菊についても、念のため覚えておきましょう。

「以ての外」の類義語は?違いは?

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次に、「以ての外」の類義語(類語)について、見ていきましょう。

「以ての外」に2つの意味があることから、類義語は2つに大きく分かれます。

予期せぬことという意味だと、予想外、意想外、不意、思いも寄らない、慮外、思いがけない、意外、心外、ひょんななど。一方、理不尽という意味だと、非道、無道さ、沙汰のほか(外)、不届きなどです。

その1「意想外」

「意想外」は、いそうがい、と読み、その意味は、考えも知らなかったこと思いもよらなかったことです。

そもそも「意想」とは、考えや思いという意味。わかりやすく言えば、予想外意外という意味です。

\次のページで「その2「慮外」」を解説!/

その2「慮外」

「慮外」は、りょがい、と読みます。意味は、思いがけないこと、また、そのさまです。「慮外なことを言う」といった使い方をし、「以ての外」とその意味は類似しています。

一方で、無礼であること、またはそのさま、という意味も。「慮外者」という言葉もあり、その意味はずばり無礼者です。

その3「沙汰の外」

「沙汰の外」は、さたのほか、と読み、「沙汰の限り」と同じ意味で、論外や言語同断理非や善悪の問題となる範囲という意味。「以ての外」とほぼ同じ意味なのは、前者です。

ただ、「以ての外」よりも、あまり一般的には使われません。

「以ての外」の対義語は?

続いて、「以ての外」の対義語(反対語)について、見ていきましょう。

以ての外の対義語は、当たり前、です。

「当たり前」

「当たり前」は、そうあるべき普通のことありふれていることありきたり、といった意味。一般的に、公私ともとてもよく使われる用語です。

この「当たり前」の類義語として、当然、無論、至極当然、言うまでもないのほか、常識的、一般的、人並み、世間並み、普通などがあります。これらも、「以ての外」の対義語と言えるでしょう。

「以ての外」の英訳は?

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さらに、「以ての外」の英訳も、確認しておきましょう。

「以ての外」を英語に訳すと、absolutely unthinkableunexpected のほか、outrageousungodly など。

「absolutely unthinkable」

absolutely unthinkable を日本語に直訳すると、まったく想定外のこと、つまり、「以ての外」となります。unexpected も予期せぬことなので、「以ての外」です。

一方、outrageous は、無礼な、言語道断な、理不尽な、とんでもないなどの意味。ungodly は直訳すると、神を信じないということで、これが転じた意味で、罪深い、不道徳、途方もない、法外な、以ての外となります。

それでは、例文を見てみましょう。

\次のページで「「以ての外」を使いこなそう」を解説!/

・You must not think of resigning tomorrow.

明日に辞職するなど以ての外だ。

・It's out of the question for him to divorce his wife.

彼は今の妻と離婚するなど以ての外だ。 

・I wouldn't dream of going out at night.

こんな夜中に外出するなんて以ての外だ。

「以ての外」を使いこなそう

この記事では、「以ての外」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「以ての外」は、もってのほか、と読み、主な意味は、とんでもないこと、です。

もし、わからない用語が出てきたら、国語辞典や辞書で調べる、インターネットで検索する習慣をつけましょう。その言葉のヒントがすぐにわかります。

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国語言葉の意味

「以ての外」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説!

この記事では「以ての外」について解説する。

端的に言えば、以ての外の意味は「思いもよらないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「以ての外」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「以ての外」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「以ての外」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「以ての外」の意味は?

「以ての外」には、次のような意味があります。

1.とんでもないこと。けしからぬこと。また、そのさま。
2.予想を越えて程度がはなはだしいこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「もって-の-ほか【以ての外】」

「以ての外」は、もってのほかと読むのが正しく、その内容は大きく分けて2つの意味があります。

1つ目の意味は、とんでもないこと、です。また、けしからぬ様子などを表します。もう1つの意味は、予想を越えて程度が甚(はなは)だしいこと。これも「以ての外」のよく知られている意味になります。

あと、「以ての外」の読み方で、くれぐれも注意したいことがいてのほか、もってのそと、などとは読まない、ということ。以という字は「〜以外」という言葉以外ではあまり使うことがないですよね。なので、初見で正しく読める方はあまり多くないのも仕方ありません。「もってのほか」が正しく、かつ唯一の読み方として覚えておきましょう。

「以ての外」の語源は?

次に、「以ての外」の語源を確認しておきましょう。

「以ての外」で、漢字の「以て」(もって)には、さまざまな意味があります。例を挙げると、手段や方法、原因や理由、くぎりや限界をはじめ、事柄が行われる、語調を強めるなど。「以ての外」は、この「以て」の慣用句です。

一方、「外」(ほか)には多くの意味がある中で、「以ての外」の場合、それ以外の人や物事、その範囲を超えた場所など。

「以ての外」の語源は、「思っての外」が転じたという説に加え、「おもい(以)のほか(外)」など諸説あります。

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