この記事では「思い上がる」について解説する。

端的に言えば思い上がるの意味は「うぬぼれてつけあがる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「思い上がる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「思い上がる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「思い上がる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「思い上がる」の意味は?

「思い上がる」には、次のような意味があります。

1.うぬぼれる。いい気になる。
2.気位を高くもつ。自負する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「思い上がる」

「思い上がる」とは、うぬぼれてつけあがることです。「自分一人の力で勝利したなどと思い上がるのはやめたまえ」のように使います。

「思い上がる」は、良い意味では使いません。自分のことを実力以上にとらえていることを批判するときに使う言葉です。他人に対して使うのは、忠告したい気持ちがよっぽど強いときや敵対心をもっているとき、上からモノを言える立場であるときに限られるでしょう。特殊な状況がまかり通るアニメやまんがの世界では、逆によく使うかもしれません。

日常の中で同じような表現をするとしたら、「調子に乗る」「いきがる」などを使うでしょうか。「あいつちょっと調子に乗ってるな」「いきがってんなよ」などと使いますね。「思い上がる」より少し軽い表現になります。

「思い上がる」の語源は?

次に「思い上がる」の語源を確認しておきましょう。「思い上がる」の語源は、古語の「思ひ上がる」。平安時代中期に成立した源氏物語では「われはとおもひあがり給へる御方々」と使われています。

この現代訳は「我こそはと自負していらっしゃったお方たち」となるのですが、注意したいのは「うぬぼれてつけあがった」という意味合いは含まないことです。古語の「思ひ上がる」は「気位やこころざしを高く持つ」という意味であり、非難につかうことばではなかったのですね。

上で引用した辞書の2の意味には、古語と同じように「気位を高くもつ」と掲載されています。現代の「思い上がる」にも、もともとはそのような用法があったのかもしれません。

\次のページで「「思い上がる」の使い方・例文」を解説!/

「思い上がる」の使い方・例文

「思い上がる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あいつは人に自慢ばかりする思い上がったやつだ。そうやって自分の自尊心を満足させているんだ。しかし現実には会社の上役たちの話題に上がることもない。評価に値しない人間ということだ。
2.映画に関わったクリエイターや監督は、予想以上の興行成績を獲得したことに舞い上がり「俺達の時代が来た」と大威張りだ。作品のほとんどはオマージュという名のコピーであるのに。思い上がった彼らの次回作に期待できるわけがない。
3.おれが思い上がっているだって!?どういうつもりで言っているんだ。お前ごときの低レベルが、おれさまのこれまでの苦悩と屈辱を、簡単に理解できるとでも思っているのか。

どの「思い上がる」も、「うぬぼれてつけあがる」という意味をあらわしています。

例文1は、人に自慢することで満足するある人物についての批評です。「思い上がる」は良い意味では使わない、とさきほど述べましたね。「思い上がったやつだ」と言われてしまうということは、彼がこれまで自慢してきたことはたいした内容ではなかったようです。

例文2は、作った映画が思わぬ成果を出し、思い上がってしまった人たちの話。実情は、成功に対して内容がともなっていない様子ですね。次回作はいったいどうなるのでしょうか。

例文3は、アニメやまんがに登場しそうなセリフです。世界も揺るがす強敵が現れるような世界では、「思い上がる」という言葉も重宝しそうですね。

「思い上がる」の類義語は?違いは?

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「思い上がる」の類義語には「増長する(ぞうちょうする)」があります。

「増長する(ぞうちょうする)」

「増長する」は、だんだんうぬぼれが強くなり、つけあがることです。「おまえがへたにほめるから、あいつは増長するんだ」のように使います。「思い上がる」と言い換えて使うことができますね。

「増長する」は、「だんだんと程度が大きくなっていく」という意味で使うことが多いでしょう。「SNSは犯罪の低年齢化を増長させる」のように使います。「だんだんうぬぼれが強くなり、つけあがる」という意味も、ぜひ覚えて使ってみてください。

\次のページで「「思い上がる」の対義語は?」を解説!/

「思い上がる」の対義語は?

「思い上がる」の対義語には「謙虚」「卑下する」があげられます。

その1「謙虚」

「謙虚」とは、自分を偉いと思わず、人から学ぶ気持ちを持っている態度のことです。「思い上がる」は、自分を実力以上にとらえてうぬぼれたりつけあがったりすることですから、反対の意味であるといえるでしょう。

謙虚な姿は、人に好感を抱かせるものです。対して思い上がった姿は、見苦しく、恥ずかしいといえます。自慢したい気持ちや人より優位に立ちたい気持ちは誰にでもあるものです。それを抑えることの難しさを万人が知っているからこそ、謙虚な姿を美しく感じるのでしょう。

その2「卑下する」

「卑下する」は、自分は人より下だとへりくだることです。「思い上がる」は、自分を実力以上にとらえる行為。自分のことを劣っているものとしてへりくだる「卑下する」は、反対のベクトルをもつ言葉といえます。

上で紹介した「謙虚」と違い、「卑下する」人のことを美しいと思う人はあまりいません。人間は、必要以上に卑下する人には、加虐心(いじめたい心)を抱いてしまうものなのです。ビジネスマナーとして必要な場面はあるかもしれませんが、プライベートで卑下することはむしろ「悪」。自分を卑下するクセのある人は、今すぐストップしましょうね。

「思い上がる」の英訳は?

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「思い上がる」の英訳には「be conceited」を使います。

「be conceited」

「conceited」は、「うぬぼれの強い」「思い上がった」という意味の形容詞です。「conceited mind」で「思い上がった心」となります。

「conceited」を使った例のほか、別の表現も紹介しますね。確認してみてください。

She is conceited to be good at studying best in her school.
(彼女は自分の学校で勉強が一番得意だと思い上がっている。)

He has a high opinion of himself.
(彼は自分に対して高い意見を持っている。= 彼は思い上がっている。)

Do not make the mistake of thinking you are the only girl here who cares for Tom.
(トムを心配しているのはあなただけだと思い上がらないで。)

\次のページで「「思い上がる」を使いこなそう」を解説!/

「思い上がる」を使いこなそう

この記事では「思い上がる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「思い上がる」は、「うぬぼれてつけあがる」という意味です。良い意味で使う言葉ではありません。自身の反省をあらわすときなどには使えますが、他人に対しては不用意に使わない方が良いでしょう。

思い上がった恥ずかしい姿を他人にさらしたことがあるなら、それは思い出したくもない黒歴史となっているのでは。自慢したい気持ちをグッとこらえるのは、将来の精神衛生に役立つといえるかもしれません。

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国語言葉の意味

「思い上がる」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「思い上がる」について解説する。

端的に言えば思い上がるの意味は「うぬぼれてつけあがる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「思い上がる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「思い上がる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「思い上がる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「思い上がる」の意味は?

「思い上がる」には、次のような意味があります。

1.うぬぼれる。いい気になる。
2.気位を高くもつ。自負する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「思い上がる」

「思い上がる」とは、うぬぼれてつけあがることです。「自分一人の力で勝利したなどと思い上がるのはやめたまえ」のように使います。

「思い上がる」は、良い意味では使いません。自分のことを実力以上にとらえていることを批判するときに使う言葉です。他人に対して使うのは、忠告したい気持ちがよっぽど強いときや敵対心をもっているとき、上からモノを言える立場であるときに限られるでしょう。特殊な状況がまかり通るアニメやまんがの世界では、逆によく使うかもしれません。

日常の中で同じような表現をするとしたら、「調子に乗る」「いきがる」などを使うでしょうか。「あいつちょっと調子に乗ってるな」「いきがってんなよ」などと使いますね。「思い上がる」より少し軽い表現になります。

「思い上がる」の語源は?

次に「思い上がる」の語源を確認しておきましょう。「思い上がる」の語源は、古語の「思ひ上がる」。平安時代中期に成立した源氏物語では「われはとおもひあがり給へる御方々」と使われています。

この現代訳は「我こそはと自負していらっしゃったお方たち」となるのですが、注意したいのは「うぬぼれてつけあがった」という意味合いは含まないことです。古語の「思ひ上がる」は「気位やこころざしを高く持つ」という意味であり、非難につかうことばではなかったのですね。

上で引用した辞書の2の意味には、古語と同じように「気位を高くもつ」と掲載されています。現代の「思い上がる」にも、もともとはそのような用法があったのかもしれません。

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