今回は「近日点」について解説していきます。

近日点というのは、天文学の用語の一つです。近日点の概念は、様々な天体の軌道がどのような特徴をもっているのかということを考える際に用いられるものです。今回は、天体の軌道についての基礎知識の説明からはじめて、近日点への解説に移る。それゆえ、地学について深く勉強したことがない方でも、近日点について理解できるでしょう。ぜひ、この機会に近日点についての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

近日点について学ぶ前に

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今回の記事は、近日点をメインテーマとして、お話を進めていきますね。近日点という単語に馴染みのある方は少ないかと思います。この用語は宇宙区間における天体の軌道に考察する際に重要になるものですよそれゆえ、近日点について学ぶためには、天体の軌道についての知識がある程度必要になります

そこで、この記事の前半部分では、天体の軌道についての知識を身に着けられるような解説を設けました。地学について深く学んだことがない方は、ぜひこの部分も読んでおいてくださいね。それでは、早速解説をはじめていきます。

恒星と惑星と衛星

宇宙空間には、到底数えきれないほどの天体が散らばっており、これらの天体は固有の運動を有しています。そして、これら運動の状態から天体を分類することができますよ。その分類の一つが恒星です。恒星は相対的な位置変化が非常に少ない星のことを指しますよ地球の近くにある恒星としては太陽が挙げられます。また、自ら光り輝いていることも恒星の特徴です。

そして、恒星の周りを公転しているのが惑星ですよ。太陽系惑星には、地球以外に水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星などがありますよ。また、惑星に近い軌道をもつ冥王星などの準惑星も存在します。さらに、惑星の周りを公転している天体も存在するのですそれが衛星ですよ。例えば、月は地球の衛星です。

\次のページで「公転の軌道」を解説!/

公転の軌道

先ほど、惑星や衛星は公転と呼ばれる運動をしていると述べました公転はある天体が別の天体のまわりを回っている現象のことです。このような表現であると、公転によって天体が描く軌道は円になるように考えられます。しかしながら、実際の公転の軌道は円にならないことが知られていますよ

太陽系惑星の公転軌道は楕円になることが知られています太陽系惑星の軌道が楕円になることはケプラーの法則に示されていますよ。ケプラーの法則によれば、各惑星の楕円軌道における一方の焦点は、太陽の位置と一致することが知られています。

近日点について詳しく学ぼう!

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天体の軌道についての解説が終わりましたので、ここからは本題である近日点についての説明を進めていきます。具体的には近日点という言葉のもつ意味や近日点について学ぶ際に誤解されやすい部分について述べますね。

もちろんですが、近日点についての理解を深めるためには、ここまでに解説した知識が必須となります。特に惑星の公転軌道が楕円になっていることが重要となりますよ。

近日点の定義

近日点の定義

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太陽系惑星は楕円を描くようにして公転していますそれゆえ、太陽と惑星の距離は常に変化し続けることになりますよね。これが円軌道と楕円軌道の異なる点です。そして、惑星が楕円の公転軌道をとるとき、惑星が太陽に最接近する地点ができますこれが近日点です。また、近日点の反対の概念である遠日点も存在しますよ。

また、楕円軌道以外に放物線や双曲線の軌道を描く天体も存在しますが、そのような天体に対しても近日点の概念が適応されますこのような軌道を描く天体には彗星などがありますよ。彗星に関しては、次の章で詳しく説明します。

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近日点に対する誤解

近日点について学ぶと、ある誤解をしてしまうことがありますそれは地球が近日点に位置する瞬間は夏であると考えてしまうことです。確かに近日点は地球が最も太陽に近づく瞬間ですから、地球はこの瞬間が最も熱いと考えることもできそうですよね。

しかし、この考え方は間違いです実は地球の公転軌道は円に近い楕円をしています。それゆえ、地球が近日点に存在しているときと遠日点に存在しているときを比べた場合でも、太陽と地球の間の距離はほぼ同じ値になるのです

地球上で季節を感じることができるのは、単純に地軸が傾いているからですよ。地軸が傾いているため、季節によって地面に入射する太陽光線の量が変化するのですね。

彗星と近日点

ここまで、主に惑星を対象として、近日点の議論をしてきました。ですが、地球などの公転軌道は円に近い楕円であるため、近日点を特徴を捉えるには難しい題材であったとも言えます。ここからは、近日点の特徴について学習する際に頻繁に取り上げあれる彗星の紹介をしますね

具体的には、彗星がどのようなものでるか彗星の軌道と近日点の関係性はどのようになっているのかといったことを説明します。ここまでに解説した内容を頭に入れて、以下の説明を読み進めてみてくださいね。

彗星とは?

PSM V76 D020 Path of halley comet.png
不明 - Popular Science Monthly Volume 76, パブリック・ドメイン, リンクによる

彗星というのは、太陽に近づいた際にガスや塵を放出して尾が伸びたように見える太陽系小天体のことを指します。彗星の軌道は様々であり、楕円軌道放物線軌道双曲線軌道などがありますよ。楕円軌道をもつ彗星は太陽を周回するものであり、周期彗星と呼ばれます。一方、放物線軌道や双曲線をもつ彗星は、太陽付近を一度通過すると、二度と戻ってきません。そのような理由で、これらの彗星は非周期彗星と呼ばれます。

そして、このハレー彗星がガスや塵を放出する場所こそが近日点なのです。また、周期彗星と非周期彗星の区別は近日点通過の回数によって行うこともできますよね。このような事から、近日点を利用することで、天体の軌道がどのような特徴をもつのかを簡単に知ることができるということが理解できるかと思います。

\次のページで「肉眼で観測可能なハレー彗星」を解説!/

肉眼で観測可能なハレー彗星

Comet Kohoutek (S74-17688).jpg
NASA - http://spaceflight.nasa.gov/gallery/images/skylab/skylab4/html/s74-17688.html (image link) (Originaly uploaded at ja.wikipedia.org, original description page is/was here), パブリック・ドメイン, リンクによる

ハレー彗星は、地球上から唯一肉眼で観測可能な周期彗星ですハレー彗星が近日点を通過する周期は約75年となっています。ハレー彗星はほうき星とも呼ばれており、見た目の珍しさから、古い時代から世界中の人々の関心を寄せ付けていました。ハレー彗星に関する最も古い記述は、紀元前240年に書かれたとされる中国の歴史書「史記」の中にあります

また、日本においても「日本書紀」の中でハレー彗星に関する記述が見られますよ。これが日本国内にある最も古いハレー彗星の記録だとされています。なお、古い時代の人々はハレー彗星が現れることは、国の滅亡や災害・疫病などの予兆であると考えていたようです

近日点について学ぶ意義

この記事では、近日点という言葉は一体何を表すものであるのか、近日点と天体の軌道の間にはどのような関係があるのかといったことを解説しました。その後、彗星という特殊な天体の例を挙げて、近日点についてより深く学びました。

近日点は宇宙の話であり、身近な現象との繋がりも薄いため、概念を理解するのが少し難しいかもしれません。しかしながら、ハレー彗星という古い時代から人類が観測してきた天体との関係を知ることで、少しは実感が湧いてくるかもしれませんよ。ぜひ、この機会に近日点について学んでみてください。

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物理理科

3分で簡単近日点!惑星や彗星の軌道との関係は?理系学生ライターがわかりやすく解説!

今回は「近日点」について解説していきます。

近日点というのは、天文学の用語の一つです。近日点の概念は、様々な天体の軌道がどのような特徴をもっているのかということを考える際に用いられるものです。今回は、天体の軌道についての基礎知識の説明からはじめて、近日点への解説に移る。それゆえ、地学について深く勉強したことがない方でも、近日点について理解できるでしょう。ぜひ、この機会に近日点についての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

近日点について学ぶ前に

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今回の記事は、近日点をメインテーマとして、お話を進めていきますね。近日点という単語に馴染みのある方は少ないかと思います。この用語は宇宙区間における天体の軌道に考察する際に重要になるものですよそれゆえ、近日点について学ぶためには、天体の軌道についての知識がある程度必要になります

そこで、この記事の前半部分では、天体の軌道についての知識を身に着けられるような解説を設けました。地学について深く学んだことがない方は、ぜひこの部分も読んでおいてくださいね。それでは、早速解説をはじめていきます。

恒星と惑星と衛星

宇宙空間には、到底数えきれないほどの天体が散らばっており、これらの天体は固有の運動を有しています。そして、これら運動の状態から天体を分類することができますよ。その分類の一つが恒星です。恒星は相対的な位置変化が非常に少ない星のことを指しますよ地球の近くにある恒星としては太陽が挙げられます。また、自ら光り輝いていることも恒星の特徴です。

そして、恒星の周りを公転しているのが惑星ですよ。太陽系惑星には、地球以外に水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星などがありますよ。また、惑星に近い軌道をもつ冥王星などの準惑星も存在します。さらに、惑星の周りを公転している天体も存在するのですそれが衛星ですよ。例えば、月は地球の衛星です。

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