この記事では「含みのある」について解説する。

端的に言えば含みのあるの意味は「はっきりしない物言い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「含みのある」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「含みのある」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「含みのある」の意味や語源・使い方を一覧形式でざっと見ていきましょう。

「含みのある」の意味は?

「含みのある」というキーワードをネット上の辞典・辞書「コトバンク」で検索してみると、次のような記載があります。

1.表面には出ないが、中に込められている意味や内容。「含みのある言い方」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「含み」

「含みのある」とは、発言の字面の意味だけでなく、そこになにか別に込めた意味が隠されていることを表す用語です。例えば「綺麗な人ですね」という言葉は、言葉そのものは相手を褒める意味になりますが、この言葉が相手のことを嫌っていてあえて発言しているなら、皮肉としての意味が強くなります。

こうした発言の文字の意味だけでなく、内側に別の意味が込められている場合に「含みのある」や「含みのある言い方」と表現されるわけですね。また「含みのある」という言葉は、内側に良い意味が込められている場合より、不満や恨みなどのネガティブな感情が込められていることが多いという点に注意しましょう。

「含みのある」の語源は?

次に「含みのある」の語源を確認しておきましょう。「含」という漢字はもともと、口の中にものを入れたままにするといった意味があります。そこから結果として口にはせず、発言・感情を心の中に抱くことを「含む」と表現するようになりました。

「含みのある」とは、そうした含んだ感情がある様子に対して使われていきます。なにか頼み事をして、言葉では全く構わないと快諾してくれているのに、態度は不満を見せている。こうした場面は時折出会うことがあるのではないでしょうか。「含みのある」という言葉は、そういった場面にピッタリの便利な言葉です。

\次のページで「「含みのある」の使い方・例文」を解説!/

「含みのある」の使い方・例文

「含みのある」の使い方を例文を使って特徴を掴んでいきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.部長に業績を褒められたんだけど、なにか含みのある様子が見受けられて心配だ。
2.彼の態度はどことなく含みのある様子で、昔起こした揉め事を未だに引きずっているのかもしれない。
3.君はいつも挙動不審気味だから、なにを言っていても含みがあるように受け取ってしまうよ。

「含みのある」という言葉は例文のように、ある人物がなにか不満を持っていながら、そうした感情をはっきりとは口に出していない場面を指してよく使われています。「含みのある」という言葉を使いたい方は、この点に注意して使うようにしていきましょう。

「含みのある」は他に、「含むところがある」といった形で使われることも。「俺はあいつに含むところがある」という文は、「あいつ」に対して恨みや怒りを心に隠し持っているということを意味しています。こちらもしっかりと覚えておきましょう。

「含みのある」の類義語は?違いは?

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続いて「含みのある」と関連した類義語・違いについて確認していきましょう。よく似た表現との違いを確認することで、「含みのある」という言葉の意味をより深く理解することができます。

その1「含意(がんい)」

「含意」とは、ことばや文章に、表面上はわからない意味がふくまれていることを指す言葉です。基本的な意味は「含みのある」とほぼ同じ意味となっており、違いはこちらは漢語であるという点にあります。また「含みのある」が口語で使われることが多いのに対して、「含意」は殆どが文章語として使われていますね

「含意」とよく似た単語に「含蓄(がんちく)」があります。こちらは言葉の内側に、表面には現れていない深い意味があることを表現する用語です。語彙力をもっと高めたい方は、こちらも平行して覚えておきましょう。

\次のページで「その2「遠まわしに言う」」を解説!/

その2「遠まわしに言う」

「遠まわしに言う」とは、直接的な表現をさけ、相手にそれとなく匂わせる形で話すことです。こちらも「含みのある」と同じように、本心をそのまま言葉にすることなく隠す行為を表しています。

「含みのある」と非常によく似た意味となっていますが、「遠まわしに言う」では、発言した人自身が相手に察してもらえるように言外の意味を暗示している点で違いがあります。こちらの違いに気を付けて使い分けていきましょう。

その3「ほのめかす」

「ほのめかす」とは、それとなく言いたいことを態度などで間接的に伝えることです。こちらも言葉での直接的な表現をさけるという点で、「含みのある」とよく似た表現ですね。

しかしこちらも「遠まわしに言う」と同じように、発言した人が相手に察してほしいために、言外の意味を意図的に仕草や態度で見せるという点で違いがあります。対して「含みのある」は、むしろ自分の本音を隠そうとする行為です。こうした点に注意して必要に応じて使い分けていきましょう。

「含みのある」の対義語は?

つづいて「含みのある」の対義語についても確認していきましょう。「含みのある」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

「包み隠さず」

「包み隠さず」という言葉は、なにごとも隠してしまわずに、すべて打ち明けてしまうことを意味しています。「含みのある」は、自分の感情をはっきり言わずに隠す行為でしたが、こちらはそうして隠していた感情をすべて吐き出すことに使う表現というわけですね。

「含みのある」とあわせて、こちらの「包み隠さず」の意味も改めて確認しておきましょう。普段は胸の奥にしまっていた感情も、時には包み隠さず話してしまうことも大切ですよ。

「含みのある」の英訳は?

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つづいて「含みのある」の英語訳についても確認していきましょう。

その1「connotation」

「connotation」は言外の意味・含意などを表す英単語です。この英単語を使ったフレーズ「have a negative connotation」は、否定的な含みがあるという意味になり、日本語の「含みのある」と同じような意味をしっかりと表現することができます。

\次のページで「その2「implication」」を解説!/

その2「implication」

「implication」は包含、裏の意味、含み、といった意味をもっています。こちらも言葉には明示されていない、言外の意味がその他にあることを表現できる英単語です。この英単語を使ったフレーズ「What are the real implications of this?」では、発言の本当の意味を問いかけています。こちらも覚えておきましょう。

「含みのある」を使いこなそう

この記事では「含みのある」の意味・使い方・類語などを説明しました。「含みのある」とはコミュニケーションの中で、本音をそのまま話さずに隠しているという場面で使われる言葉です。

社会生活を送っていると、本音をそのまま話すことが憚られることも。そのためこうした「含みのある言い方」が取られる場面も多くあります。遠慮や察するということを重視している日本文化では、特に多く見られる光景ですよね。

コミュニケーションの中で「含みのある」言い方を受けた時には、なるべく相手が本当に言いたいことを察した上で間違いのない対処を取るようにしていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になれば幸いです。

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国語言葉の意味

「含みのある」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「含みのある」について解説する。

端的に言えば含みのあるの意味は「はっきりしない物言い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「含みのある」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「含みのある」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「含みのある」の意味や語源・使い方を一覧形式でざっと見ていきましょう。

「含みのある」の意味は?

「含みのある」というキーワードをネット上の辞典・辞書「コトバンク」で検索してみると、次のような記載があります。

1.表面には出ないが、中に込められている意味や内容。「含みのある言い方」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「含み」

「含みのある」とは、発言の字面の意味だけでなく、そこになにか別に込めた意味が隠されていることを表す用語です。例えば「綺麗な人ですね」という言葉は、言葉そのものは相手を褒める意味になりますが、この言葉が相手のことを嫌っていてあえて発言しているなら、皮肉としての意味が強くなります。

こうした発言の文字の意味だけでなく、内側に別の意味が込められている場合に「含みのある」や「含みのある言い方」と表現されるわけですね。また「含みのある」という言葉は、内側に良い意味が込められている場合より、不満や恨みなどのネガティブな感情が込められていることが多いという点に注意しましょう。

「含みのある」の語源は?

次に「含みのある」の語源を確認しておきましょう。「含」という漢字はもともと、口の中にものを入れたままにするといった意味があります。そこから結果として口にはせず、発言・感情を心の中に抱くことを「含む」と表現するようになりました。

「含みのある」とは、そうした含んだ感情がある様子に対して使われていきます。なにか頼み事をして、言葉では全く構わないと快諾してくれているのに、態度は不満を見せている。こうした場面は時折出会うことがあるのではないでしょうか。「含みのある」という言葉は、そういった場面にピッタリの便利な言葉です。

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