
「後ろ手」の由来を知ろう
「後ろ手」がとても失礼な態度である、という由来はヨーロッパの王侯・貴族社会にさかのぼると言われています。
王侯や貴族たちは命を狙われやすい立場だったため、自身の身の安全には格別の注意を払いました。ところが、もし身の回りの世話をしてくれる召使いが「後ろ手」になっていたらどうでしょうか? 召使いが武器を隠し持っていても発見できませんよね。よって王侯や貴族たちは「後ろ手」を嫌いました。
反対に手を前で組む姿勢は、礼儀正しいとされていますよね。これも同時代にルーツがあります。手を前に置いておくと武器を隠し持てないため、王侯や貴族が「良し」とした姿勢だというがはじまりだという説があるのですよ。
「後ろ手」の使い方・例文
「後ろ手」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.デートに遅刻した。駅前で見つけたとき、彼女は後ろ手を組んで手持無沙汰そうに待っていてくれた。
2.ひったくりの現行犯で逮捕された犯人は、駆け付けた警察官に後ろ手に手錠をかけられた。
3.連日の雨で敵軍は疲弊し、警備がおろそかになり始めている。明日は後ろ手に回り、急襲するぞ。
「後ろ手」は単独でも使える言葉ですが、「後ろ手を組む」という慣用表現でもよく使われます。例文1は「後ろ手を組んで」遅刻した恋人を待っている女性の様子を表現しました。相手がいる場所での「後ろ手」は尊大な印象を与えますが、後ろ手を組み、手持無沙汰な様子で彼が来るのを待っている姿は、もしかしたら可愛らしく見えるかもしれませんね。
また手錠は「後ろ手」に掛けられる場合もあるため、「後ろ手」という言葉に「逮捕」のイメージを重ねる人もいます(例文2)。日本では手錠を前でかけることが多いのですが、諸外国では「後ろ手」にかけられることが多いようです。
例文3は「後ろ手」を「後方」という意味で使ってみました。
「後ろ手」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto
「後ろ手」を「自分の背後に手を回す」という意味で使う場合の類義語はありません。一方、「後方で」という意味で使う場合は、いくつか類義語があります。「後方で」という場合の類義語を見てみましょう。
\次のページで「その1「裏手」」を解説!/