中立進化論は”生物の進化”という現象を説明する理論の一つです。多くの生物学者が支持している理論ですが、その内容を調べてもなかなか理解するのが難しい。今回はなるべくわかりやすく、簡単にこの中立進化論の概要を見ていきたい。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。
ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
中立進化論とは
中立進化論(ちゅうりつしんかろん)は、「DNAやタンパク質といった分子レベルでの変化は、自然選択に対して有利でも不利でもなく”中立”に起こり、それが進化の原動力となる」ということを述べた理論です。
1968年に日本人の木村資生(きむらもとお)が提唱したほか、多数の科学者によっても支持されています。
ただ単に中立説(ちゅうりつせつ)などと呼ばれることも多いですね。
そうなんですよね。インターネットでこの用語を検索すると、上記のような説明が出てくるのですが…進化論や分子生物学にあまり詳しくない人にとっては、よくわからない説明かもしれません。
この中立進化論についてもう少し丁寧に説明していきましょう。
こちらの記事もおすすめ
3分で簡単「木村 資生」日本のダーウィン?遺伝学に影響を与えた遺伝学者を医学系研究アシスタントがわかりやすく解説
中立進化論が誕生するまで
中立進化論の誕生についてご紹介します。
1.ダーウィンの進化論
まず、みなさんは”進化論”というとどんな研究者を思い浮かべますか?
\次のページで「2.分子生物学の登場」を解説!/