国語言葉の意味

【慣用句】「笠に着る」の意味や使い方は?例文や類語を国立大学国文科卒ライターがわかりやすく解説!

「笠に着る」の語源は?

次に「笠に着る」の語源を確認しておきましょう。「笠に着る」の語源は、「雨や雪、日差しを避けるための笠を権力者や自分の威光に見立て、その下で守られている様子」と言われています。

また、「昔、足軽が陣笠をかぶって農民や町人の金品や財産を奪うなどの悪事を働いたこと」が語源であるという説も。「陣笠」というのは戦などで兜の代わりに使われた笠のことで、これをかぶるということは大名の家来の証になるので、まさに大名の権力を盾に好き勝手にしていたということですね。

「笠に着る」は日本語が変?

ところで、「笠に着る」という表現、なんだか少し引っかかりませんか。そもそも「笠」は「かぶる」ものですし、少なくとも笠「に」ではなくて笠「を」着るになるのではないか…そう考える方もいるかもしれませんね。筆者も疑問に思いましたので、調べてみました。

そこで、「着る」という動詞について辞書を引くことにします。

1 衣類などを身につける。からだ全体または上半身にまといつける。着用する。「着物をきる」「上着をきる」

2 物事を自分の身に引き受ける。

㋐(「…をきる」の形で)身に負う。かぶる。「ひとの罪をきる」

㋑(「…にきる」の形で)相手の行為をありがたく受ける。こうむる。「恩にきる」

[補説] 「きる」は本来、衣服などを身につける意で、着物以外に袴(はかま)・笠・烏帽子・兜(かぶと)・布団・刀などについても用いられた。現代では主としてからだ全体や上半身に着用するものをいい、袴やズボンなどは「はく」、帽子や笠などは「かぶる」、刀などは「おびる」というように、どの部分につけるかによって異なる語が用いられる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

ここで注目したいのは補説。現代では「はく」「かぶる」など身につける場所によって動詞が変わりますが、昔は「着る」で帽子や刀まで含めた衣類を身につけるという意味を表していました。

続いて、「に」について考えていきましょう。上記の2.(イ)の「…にきる」の形でもありますので、相手の行為をありがたく受ける、こうむるという意味のようにも思えますが、笠に着る対象は行為に限らず組織や個人、その権力にも及びます。また、受ける、こうむるというよりは主体的に利用する意味合いになりますので、この場合は2.(イ)に当てはまる用法ではなさそうです。

そこで、辞書で「に」を調べてみます。

5 動作・作用の目的を表す。「見舞いに行く」「迎えに行く」

「白馬(あをうま)見—とて里人は車清げにしたてて見—行く」〈枕・三〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)

この「に」は格助詞といって、名詞や名詞に準じる語、動詞の連用形・連体形などに付き色々な関係を表す役割の語です。「笠に着る」の「に」は、上記の「動作の目的を表す」用法に当たるといえるでしょう。というのも、「笠に着る」を使うときには必ず「○○「を」笠に着る」という形を取るのです。

権力などを笠(自分を守るもの)にする、つまり、「権力を笠にしてかぶる」という意味があるため、笠「に」着るというのですね。

「笠に着る」の使い方・例文

「笠に着る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は例えば以下のように用いられます。

\次のページで「「笠に着る」の類義語は?違いは?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: