この記事では「骨の髄まで」について解説する。

端的に言えば骨の髄までの意味は「徹底的に」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「骨の髄まで」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

「骨の髄まで」と聞くと、ヤクザ映画などに出てくる「骨の髄までしゃぶりつくす」のようなセリフを連想するとのこと。骨の髄までとはどんなときに使う言葉なのか解説してもらう。

「骨の髄まで」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「骨の髄まで」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「骨の髄まで」の意味は?

「骨の髄まで」には、次のような意味があります。

からだの最も中心のところまで。徹底して。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

少女漫画やボカロ曲のタイトルにも使われている「骨の髄まで」という言葉は、「とことん、根源まで」といった意味を持っています。体の奥に骨があり、その中でもさらに奥にある髄(ずい)ですから、「奥底、芯から」の意味がとても強調されていますね。

ポジティブ、ネガティブどちらのニュアンスでも使えますが、「とにかく徹底して、何もかも根こそぎ」という場合に限定すると効果的ですよ。

「骨の髄まで」の語源は?

次に「骨の髄まで」の語源を確認しておきましょう。

皆さんご存知の「骨」の中心には、黄色く柔らかい造血組織があり、これを「髄」といいます。白血病の治療のために行われる「骨髄移植」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。転じて、「髄」は物事の中心や要所を意味することもありますよ。

人間の生命を維持するために欠かせない「髄」は人体の要所であり、いかにも体の奥深くに存在しそうなイメージです。それほど奥まで、と想像すると、「骨の髄まで」のニュアンスをつかみやすいことでしょう。

\次のページで「「骨の髄まで」の使い方・例文」を解説!/

「骨の髄まで」の使い方・例文

「骨の髄まで」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・骨の髄まで愛してるなんて言われたら、嬉しい気持ちよりも「重くて怖いタイプかも」という警戒感が勝ってしまう。

・金銭を横取りされた恨みは大きく、相手が骨の髄まで後悔するような仕打ちをされても仕方がない。

・会社で複雑なクレームを解決し、骨の髄まで疲れ切った。

1つ目の例文のように「好き、愛している」といったポジティブな感情が極まった状態を表すこともあれば、2つ目の例文のように「後悔、恐怖」などネガティブなものにも使われるのが「骨の髄まで」。3つ目のように、疲労など自分の体のコンディションを表現することもできますよ。

「骨の髄まで」の類義語は?違いは?

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では、「骨の髄まで」と似た意味で使われる言葉を、相違点も併せて見ていきましょう。

「骨髄に徹する(こつずいにてっする)」

「心の底までしみこむ、骨髄に入り込む」の意味です。「心底そう思う」ということなのですが、使う場面は限定的なので気をつけましょう。そもそも中国の歴史書「史記」に出てくる「恨み骨髄に徹する」という表現が元になった慣用句なので、主として「恨み」が激しい場合にしか使わないのです。「骨の髄まで」と異なり、「愛情が骨髄に徹する」とは言いませんよ。

\次のページで「「徹頭徹尾」」を解説!/

「徹頭徹尾」

「最初から最後まで、あくまで」の意味です。「頭」「尾」の字が使われているとおり、終始態度を変えず徹底して意志を貫く際に用います。ある感情が強いことを表す点で「骨の髄まで」と共通しますね。ただ、中心や奥底を表す「骨の髄まで」と異なり、時間の経過があっても変化しない様を強調するのが「徹頭徹尾」です。

・あいつは両親を貶めた相手にいつか復讐するために何年も体を鍛えている。恨み骨髄に徹するとはこのことだな。

・徹頭徹尾、ユーザーの使い勝手を良くすることにこだわってサイトの動画や音声に工夫を凝らしました。

「骨の髄まで」の対義語は?

次に、「骨の髄まで」の対義語を考えてみましょう。結論としては、使用するシーンやニュアンスも含めて完全に対義語といえるものは存在しないのではないでしょうか。そこで、「逆の意味のようだけれど、真逆とも言い切れない」言葉を紹介します。

「表面的」

外部から見たうわべだけの様子をいいます。「骨の髄まで」が体の奥底まで徹底する様子を表すのとは逆の雰囲気がありますね。ただ、この「表面的」は人の感情というよりも、理解の程度などを表す際に用いることが多い言葉です。また、「表面的には○○だが内心は△△」など、外見と実際の違いを対比する際に使われがちな点も「骨の髄まで」とは異なります。

「移り気(うつりぎ)」

興味の対象をたやすく別のものに向けることをいいます。浮気者のイメージです。思いが深くない点で、徹底して対象に執着する「骨の髄まで」と逆といえるのではないでしょうか。ただ、「移り気」が表すのは、1つの対象への思いの程度ではなく、そもそも対象がいくつも存在するということ。「骨の髄まで」愛する人が短い周期に次々現れるケースもありえなくはないので、対義語とまで言い切るのは無理があるかもしれません。

・表面的な美しさで瞬間的に興味を引くことはできても、本当に身体にいいものでないと価値は認められない。

・移り気な彼のことだから、今頃もう新しい彼女を作って楽しんでいることだろう。

\次のページで「「骨の髄まで」の英訳は?」を解説!/

「骨の髄まで」の英訳は?

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最後に、「骨の髄まで」の英語表現を見ておきましょう。

「to the backbone」

backboneは「背骨」のことなので、「骨の髄まで」を直訳したようなこの表現がまさに同じ意味で使えます。覚えやすくて助かりますね。

ちなみに日本語では「彼女の表現のバックボーンには幼少期の原体験がある」のように、「思想的背景」をバックボーンと表すことがあります。英語のbackboneにも「中心的な支え、基幹」の意味はあるものの、思想的背景という意味では使われない点に注意しましょう。

「deep-rooted」

rootは「根、本質」の意味で、deepがつくと形容詞で「深く根ざした、根深い」を表します。「骨の髄までしみこんだ○○」を英語にしたい場合にはこちらが使えますよ。

「骨の髄まで」を使いこなそう

この記事では「骨の髄まで」の意味・使い方・類語などを説明しました。「骨の髄まで」と言えるほど徹底した激烈な感情を抱いてしまうと、ほかのことが疎かになりそうで恐ろしい気もします。ほどほどに平穏に暮らすのが一番かもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「骨の髄まで(ほねのずいまで)」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「骨の髄まで」について解説する。

端的に言えば骨の髄までの意味は「徹底的に」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「骨の髄まで」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

「骨の髄まで」と聞くと、ヤクザ映画などに出てくる「骨の髄までしゃぶりつくす」のようなセリフを連想するとのこと。骨の髄までとはどんなときに使う言葉なのか解説してもらう。

「骨の髄まで」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「骨の髄まで」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「骨の髄まで」の意味は?

「骨の髄まで」には、次のような意味があります。

からだの最も中心のところまで。徹底して。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

少女漫画やボカロ曲のタイトルにも使われている「骨の髄まで」という言葉は、「とことん、根源まで」といった意味を持っています。体の奥に骨があり、その中でもさらに奥にある髄(ずい)ですから、「奥底、芯から」の意味がとても強調されていますね。

ポジティブ、ネガティブどちらのニュアンスでも使えますが、「とにかく徹底して、何もかも根こそぎ」という場合に限定すると効果的ですよ。

「骨の髄まで」の語源は?

次に「骨の髄まで」の語源を確認しておきましょう。

皆さんご存知の「骨」の中心には、黄色く柔らかい造血組織があり、これを「髄」といいます。白血病の治療のために行われる「骨髄移植」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。転じて、「髄」は物事の中心や要所を意味することもありますよ。

人間の生命を維持するために欠かせない「髄」は人体の要所であり、いかにも体の奥深くに存在しそうなイメージです。それほど奥まで、と想像すると、「骨の髄まで」のニュアンスをつかみやすいことでしょう。

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