その2「陰極まりて陽生ず」
「陰極まりて陽生ず」は、なにをしてもうまくいかず進退窮まった最悪の状態になっても、それを境に運気が上昇し物事がどんどん好転していくことを意味しています。不便でなんとかしたいと困っているときに、ちょっとしたことからいいアイデアが生まれることから「必要は発明の母」の類義語の一つとしていいでしょう。
「陰極まりて陽生ず」は日本の戦国時代から江戸時代の僧侶・安楽庵策伝の著書『醒睡笑』が由来とも、中国宋代の禅僧・宏智正覚(わんししょうがく)の言葉が語源だとも言われています。いずれにしても冬至を陰極まる日とし、そこを過ぎてどんどん日が長くなって陽が生まれることを言ったものです。これを人生に例えれば、最悪の状態からあることをきっかけにどんどん運気が上昇していくことを表しています。
「必要は発明の母」の対義語は?
これまで「必要は発明の母」の類義語を解説してきました。それでは「必要は発明の母」の対義語はあるのでしょうか。アメリカのコラムニストであるデイル・ドーテンの著書『仕事は楽しいかね?』のなかで彼は「必要は発明の母かもしれないが、偶然は発明の父だ」と言っています。しかしこの言葉はデイル・ドーテンが著書のなかでちょっとした言葉遊びのように使っている言葉でしょう。歴史的に認知された言葉とは言えません。したがって「必要は発明の母」の対義語はないと言えるのではないでしょうか。
「necessity is the mother of invention」
「necessity is the mother of invention」は「必要は発明の母」の語源となったジョナサン・スウィフトの『ガリバー旅行記』のなかで使われた言葉で、そのまま「必要は発明の母」と訳すことができます。「need is the mother of invention」でも同じ意味になりますが、ここは『ガリバー旅行記』のように「necessity」という名詞を使った英語訳のほうがいいでしょう。
「必要は発明の母」を使いこなそう
この記事では「必要は発明の母」の意味・使い方・類語などを説明しました。現代は、いろいろな製品が世の中にあふれています。それをさらに便利なものにしようと改良を重ねて各社鎬(しのぎ)を削っている現状です。このようにして消費者にとってより使いやすいものにしようと切磋琢磨することから、一層暮らしやすい環境ができあがっていきます。あなたも世界を驚かせるような発明をする必要はないですが、身の回りを見渡して少しでも不便だなと思うものがあったら、なんとか改良できないかと考えることを習慣づけてはいかがでしょうか。