この記事では「花に嵐」について解説する。

端的に言えば花に嵐の意味は「良いことには邪魔が入ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「花に嵐」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「花に嵐」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「花に嵐(はなにあらし)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「花に嵐」の意味は?

「花に嵐」には、次のような意味があります。

物事にはとかく支障が起こりやすいことのたとえ。月に叢雲 (むらくも) 花に風。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「花に嵐」

「花に嵐(はなにあらし)」とは、美しく咲いた桜の花が突然の嵐や風で散ってしまう様子のこと。その様子をたとえて、“物事には邪魔が入りやすい”ことを表すことわざです。とくに良いことや楽しいことをしている時に用いられ、せっかくの機会に邪魔が入ってしまう時や、思うように事が進まずに長続きしないといった状況で使われます。

なお「花に風(はなにかぜ)」ということもありますが、意味は同じです。

「花に嵐」の使い方・例文

「花に嵐」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「花に嵐」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.何週間も前から楽しみにしていた野外ロックフェスだが、土砂降りで中止になってしまった。さらに風邪もひいてしまい、花に嵐と悲しい気持ちで嘆いたよ。
2.花見の予定が、公園のトラブルによって中止になってしまった。まさしく花に嵐と言うしかない。
3.列車旅の醍醐味と言えば車窓から見る光景や景色だろう。と思っていたのに、花に嵐か、突然の台風にぶつかってしまい、さらに電車の予定も計画から大幅にくるってしまったため旅行も途中で断念することにした。
4.事業も順調に軌道に乗ったと思ったところで、突然倒れて入院してしまった。花に嵐と言うけれど、なかなかうまくいかないものだ。
5.過去、旅行で多くのトラブルに見舞われたことがある。道を迷っては宿泊先を間違い、さらに手配のミスで荷物も全て失ってしまった。花に嵐と途方に暮れた自分を助けてくれた友人には今も感謝しかない。

「花に嵐」とは“良い物事には邪魔が入りやすく長続きしない”ことを表す言葉。そのため、ビジネス日常問わずに“せっかくの機会に邪魔が入る”ときによく用いられます。また、良いことを邪魔されたことで“がっかりする”という心情や、ときには例文4のように自嘲的なニュアンスを表すことも可能です。

「花に嵐」の類義語は?違いは?

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次に「花に嵐」の類義語表現を紹介します。

その1「月に叢雲、花に風」

「月に叢雲、花に風(つきにむらくも、はなにかぜ)」とは、“世の中の好事には邪魔が入りやすい”という慣用句。「叢雲(むらくも)」とは群がる雲を意味し、名月は雲が群がって隠し、美しく咲いた花は風が吹き散らしてしまう様子をたとえた表現です。

「花に嵐」と同様の比喩表現から生まれた言葉で、同じ意味を持つ言葉と言えます。関連語句として一緒に覚えておくのがおすすめです。

その2「好事魔多し」

「好事魔多し(こうじまおおし)」も同じく、“良いことには邪魔が入りやすい”という意味の言葉です。「好事(こうじ)」とは良いこと、「魔」とは邪魔の意で、中国の元代の戯曲『琵琶記(びわき)・幾言諫父』に由来しており、正しくは「好事、魔、多し」と区切ります。

良いことは長続きしない、という意味も持ち、「花に嵐」の類義語と言えるでしょう。

ただし「花に嵐」は、せっかくの風情が台無しになる様子から“なかなか世の中は思い通りにならない”と嘆くニュアンスが強いのに対し、「好事魔多し」は“良いことがあっても気を引き締めておくように”と、戒めるニュアンスがある言葉です。状況に応じて使い分けるのがいいでしょう。

\次のページで「その3「花発いて風雨多し」」を解説!/

その3「花発いて風雨多し」

「花発いて風雨多し(はなひらいてふううおおし)」とは唐王朝の時代の中国の詩に由来した言葉。“花の咲く季節には風や雨が多い”という様子をたとえ、“物事には邪魔が入りやすく思うようにならない”という意味で用いられます。

「花に嵐」と同様の比喩表現で、“良いことには邪魔が入りやすい”という意味を持つ類義語表現のひとつです。

ただし「花発いて風雨多し」は、“良いことには邪魔が入りやすい”というそのものの意味よりも“世の中は思うようにままならない”という心情を強く表します。言葉の意味合いは共通していますが、強調する部分が異なっているため、ニュアンスに違いがあることを抑えておきましょう。

「花に嵐」の対義語は?

続いて「花に嵐」の対義語について考えてみましょう。「花に嵐」とは、“良いことには邪魔が入ること”を表す言葉。このことに対して“邪魔が入らずに順調に物事が進む”ことは反対の意味と言えそうです。

ここではそのような意味を持つ言葉を「花に嵐」の対義語として紹介します。

「順風満帆」

「順風満帆(じゅんぷうまんぱん)」とは、追い風を受けた帆が膨らみ、船がうまく進む様子をたとえた四字熟語。転じて“物事が順調に進む”様子を表します。

“良いことに邪魔が入って長続きしない”という「花に嵐」に対して、“思い通り順調に進む”「順風満帆」は反対の意味です。そのため、対義語の表現といえるでしょう。

「花に嵐」の英訳は?

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最後に「花に嵐」の英語訳についても確認しておきましょう。

「Roses have thorns」

「Roses have thorns」とは英語で使われることわざです。「rose」は“バラ”、「thorn」は“トゲ”を表す英単語で、“綺麗なものにはトゲがある”という表現で使われます。日本語でも同様の表現があるため、イメージしやすいかもしれません。

“綺麗なもの”=“良いこと”、“トゲ”=“邪魔”と考えると、この表現も「花に嵐」と同様の意味を表しています。そのため「花に嵐」を英語で表現したい際は、このことわざに置き換えて訳すと、充分意味も伝わるでしょう。

\次のページで「「花に嵐」を使いこなそう」を解説!/

「花に嵐」を使いこなそう

この記事では「花に嵐」の意味・使い方・類語などを説明しました。嵐によってせっかく綺麗に咲いた花が散る様子をたとえた「花に嵐」。がっかりする様子を表す非常に詩的な表現ですが、自分でも使えるようにしておくと、語彙力も上がりそうですね。

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【ことわざ】「花に嵐」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「花に嵐」について解説する。

端的に言えば花に嵐の意味は「良いことには邪魔が入ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「花に嵐」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「花に嵐」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「花に嵐(はなにあらし)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「花に嵐」の意味は?

「花に嵐」には、次のような意味があります。

物事にはとかく支障が起こりやすいことのたとえ。月に叢雲 (むらくも) 花に風。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「花に嵐」

「花に嵐(はなにあらし)」とは、美しく咲いた桜の花が突然の嵐や風で散ってしまう様子のこと。その様子をたとえて、“物事には邪魔が入りやすい”ことを表すことわざです。とくに良いことや楽しいことをしている時に用いられ、せっかくの機会に邪魔が入ってしまう時や、思うように事が進まずに長続きしないといった状況で使われます。

なお「花に風(はなにかぜ)」ということもありますが、意味は同じです。

「花に嵐」の使い方・例文

「花に嵐」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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