最近、生徒たちが目の色を変えて受験勉強に取り組み始めてな。教師としては非常に嬉しい限りです。目の色が変わってくれば、成績も後からついてくるでしょう。

そんな「目の色を変える」ですが、この記事を読んでいるみんなは理解できているかな?簡単に言えば「目つきを変えて何かに熱中する」という意味の言葉です。

今回は、この「目の色を変える」について、院卒日本語教師の"むかいひろき"に解説してもらうぞ。むかい、頼んだ!

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「目の色を変える」の意味や使い方は?

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「目の色を変える」という言葉は見聞きしたことがあるという人がほとんどではないでしょうか。一方で、正確な意味や使い方はちょっと…という方も多いかもしれませんね。まずは「目の色を変える」の意味や使い方を確認していきましょう。

「目の色を変える」の意味は「目つきを変えて何かに熱中する」

最初に、「目の色を変える」の辞書での意味を確認していきましょう。「目の色を変える」は、国語辞典には次のような意味が掲載されています。

目つきを変える。怒ったり、驚いたり、何かに熱中したりするさまをいう。
「―・えて家を飛び出す」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「目の色を変・える」

「目の色を変える」は「目つきを変えて、怒ったり、驚いたり、何かに熱中したりする」様子を表す表現です。ここでの「色」は具体的な「色(color)」の意味ではなく、急変した感情が目に現れた時の、目の変化の様子を表す表現ですね。驚いたときには目が丸くなったり、怒った時には目が血走ったりすることでしょう。この変化を「色」という言葉で表しているのです。

特に、何かに熱中して取り組む場合に用いられることが多い表現ですね。

「目の色を変える」の使い方を例文とともに確認

続いて、「目の色を変える」の使い方を例文とともに確認していきましょう。「目の色を変える」が使用されている例文を3つ用意しました。どのような場面や文脈で「目の色を変える」が使用されているのか、見ていきましょう。

\次のページで「「目の色を変える」の類義語は?」を解説!/

1.入試を1か月前に控えた木村君は、これまで以上に目の色を変えて受験勉強に取り組んでいる。
2.子供の体調が良くないという連絡を保育園から受け、目の色を変えて会社を飛び出した。
3.今から目の色を変えて取り組んだって、もう遅いよ。

例文1では、「これまで以上に集中して力を入れて受験勉強に取り組んでいる」という意味で「目の色を変える」が使用されています。受験勉強のように、短期間に集中して物事に取り組むような場合に「目の色を変える」はよく使用される言葉ですね。

例文2では、「目つきを変えて大急ぎで会社を飛び出した」という意味で「目の色を変える」が使用されています。急な連絡を受け、表情を変えて現場に急行するような場合にも、「目つきを変える」はよく使用されますね。

例文3では、「今から夢中になって取り組んでも遅い」という意味で「目の色を変える」が使用されいます。どんなに集中して熱中して取り組んでも、始めるのが遅ければ意味がありません。やるべきことは早く始めましょう。

「目の色を変える」の類義語は?

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続いて、「目の色を変える」の類義語を確認していきましょう。「目の色を変える」の類義語は「血眼になる」「無我夢中」「ひたむきになる」です。意味やニュアンスを確認し、「目の色を変える」と比較してみてください。

「血眼になる」:ある目的のために一つのことに熱中する

「血眼になる(ちまなこになる)」は「ある目的のために他のことを忘れ、一つのことに熱中する」という意味の表現です。「血眼(ちまなこ)」は、興奮や何かへの熱中のために、目が充血して血走った状態になることを言います。マンガで、怒っている人や興奮している人の描写でよく見ますよね。

「血眼になって」という形で用いられることが多いです。

「無我夢中」:自分を忘れるほど、ある物ごとに熱中した状態

「無我夢中(むがむちゅう)」は「自分を忘れるほどに、ある物ごとに熱中した状態」を表す四字熟語です。「無我」は「我(自分)を忘れること」、「夢中」は「物事に熱中して、他をかえりみるゆとりがない状態」を表します。「無我夢中で~」「無我夢中になって~」という使われ方をすることが多いです。

「無我無中」と書かれているのをたまに見かけますが、こちらは間違いですので気をつけましょう。

\次のページで「「ひたむきになる」:ある物事に熱中する」を解説!/

「ひたむきになる」:ある物事に熱中する

「ひたむきになる」は「ある物ごとに熱中する」という意味の単語です。一つの物事に集中して取り組んでいる様子を表します。漢字で書く場合は「直向きになる」ですが、全てひらがなで書かれることが多い言葉です。

「目」を使ったその他の慣用句&ことわざ

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今回は「目の色を変える」をご紹介しました。実は「目」が使われている慣用句やことわざは日本語に他にもたくさんあります。ここでは、その一部である「目の上のたん瘤」と「目の玉が飛び出る」をご紹介していきましょう。

「目の上のたん瘤」

「目の上のたん瘤(こぶ)」は「(自分よりも地位や実力が上で)何かと目障りであったり、邪魔になったりするする人」という意味のことわざです。その人がいるせいで自身が出世できない、その人がいるせいでいつも自分に出番が来ない…そのような人に対してたとえとして使うのがこのことわざですね。

正式には「目の上の瘤(こぶ)」という言い方をしますが、「目の上のたん瘤(こぶ)」の方が、より多く使用されています。

「目の玉が飛び出る」

「目の玉が飛び出る」は「びっくりして目を大きく見開く」という意味のことわざです。びっくりして目を大きく見開いた様子が、いかにも目玉が飛び出ていきそうなことからうまれたことわざですね。「目ん玉が飛び出る」「目玉が飛び出る」という言い方をすることもあります。

なお、「目の玉が飛び出す」は誤りなので気をつけましょう。

あなたが「目の色を変えて」取り組んでいることは?

今回は「目の色を変える」について解説しました。「目の色を変える」は「目つきを変えて、怒ったり、驚いたり、何かに熱中したりする」様子を表す表現です。ここでの「色」は「color」の意味ではなく、急変した感情が目に現れた時の、目の変化の様子を表します。

あなたは、何か「目の色を変えて」取り組んでいることはありますか?もしあるのなら、そのことにこれからも取り組み続けましょう。自分自身を本気にさせてくれる物事は、人生においてきっと大きな宝物になります。

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国語言葉の意味

目の色が変わるとどうなる!?「目の色を変える」の意味や類義語などを院卒日本語教師が簡単に分かりやすく解説

最近、生徒たちが目の色を変えて受験勉強に取り組み始めてな。教師としては非常に嬉しい限りです。目の色が変わってくれば、成績も後からついてくるでしょう。

そんな「目の色を変える」ですが、この記事を読んでいるみんなは理解できているかな?簡単に言えば「目つきを変えて何かに熱中する」という意味の言葉です。

今回は、この「目の色を変える」について、院卒日本語教師の”むかいひろき”に解説してもらうぞ。むかい、頼んだ!

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「目の色を変える」の意味や使い方は?

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「目の色を変える」という言葉は見聞きしたことがあるという人がほとんどではないでしょうか。一方で、正確な意味や使い方はちょっと…という方も多いかもしれませんね。まずは「目の色を変える」の意味や使い方を確認していきましょう。

「目の色を変える」の意味は「目つきを変えて何かに熱中する」

最初に、「目の色を変える」の辞書での意味を確認していきましょう。「目の色を変える」は、国語辞典には次のような意味が掲載されています。

目つきを変える。怒ったり、驚いたり、何かに熱中したりするさまをいう。
「―・えて家を飛び出す」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「目の色を変・える」

「目の色を変える」は「目つきを変えて、怒ったり、驚いたり、何かに熱中したりする」様子を表す表現です。ここでの「色」は具体的な「色(color)」の意味ではなく、急変した感情が目に現れた時の、目の変化の様子を表す表現ですね。驚いたときには目が丸くなったり、怒った時には目が血走ったりすることでしょう。この変化を「色」という言葉で表しているのです。

特に、何かに熱中して取り組む場合に用いられることが多い表現ですね。

「目の色を変える」の使い方を例文とともに確認

続いて、「目の色を変える」の使い方を例文とともに確認していきましょう。「目の色を変える」が使用されている例文を3つ用意しました。どのような場面や文脈で「目の色を変える」が使用されているのか、見ていきましょう。

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