この記事では「値踏みする」について解説する。

端的に言えば値踏みするの意味は「価値を見積もる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「値踏みする」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「値踏みする」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「値踏みする」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「値踏みする」の意味は?

「値踏みする」の意味を知るために、「値踏み」という言葉の意味を調べましょう。「値踏み」には、次のような意味があります。

値段を見積もってつけること。評価。値積もり。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「値踏み」

「値踏み」とは、価値を見積もること。これに「する」をつけた「値踏みする」は、「価値を見積もる」という意味になります。

日常生活で「値踏みする」という言葉からイメージするのは、人が人を「値踏みする」シーンでしょうか。「この人は身につけているものが高級だから収入も良さそう」「あの人は家事が得意そうだから結婚相手に良さそう」など、人が人の価値を見積もることを「値踏みする」と使うことは多いです。

本来の意味は、値段をつけること。たとえば自分の家に代々伝わる骨董品を古物商のところへ持っていったとき、店主が品物の買い取り価格を見積もることは、「値踏みする」にあたる動作です。

「値踏みする」の語源は?

次に「値踏みする」の語源を確認しておきましょう。「値踏みする」は「値踏み」という言葉に「する」という動詞がくっついている、複合動詞です。「する」は「ある動作を行う」という意味。「運転する」「仕事する」などと同じですね。

「値踏み」という言葉を「値」と「踏む」という言葉に分けて考えてみましょう。「値」とは、物を売買するときの金額のこと。「値(あたい)」と読むことからもイメージできますね。「踏む」には「あらかじめ見当をつける」という意味があります。「私は、あの子には天性の素質があると踏んでいる」などと使うときはその意味です。

つまり「値踏みする」のもともとの意味合いは、「金額にあらかじめ見当をつける」ということ。そこからだんだんと、人の身なりや肩書きなどで優劣を判断するという意味でも使うようになったと考えられます。

\次のページで「「値踏みする」の使い方・例文」を解説!/

「値踏みする」の使い方・例文

「値踏みする」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.政治家だった僕のじいさんが残したたくさんの本を売りに、古書店街へ行った。入った店では、時代を感じさせる書籍は買い取り対象としては歓迎されないものだったようで、女性店員が値踏みする表情は明るくなかった。が、ある本に目を留め、パッと目を見開いたかと思った途端、奥にいる誰かを急いで呼びにいった。
2.バリキャリ女性だから結婚したら世帯年収がめっちゃ増えそう、そんなふうに値踏みされるのが本当にイヤ。もっと純粋に恋愛したいのに。きょうも仲間内の飲み会でぼやく、私の友達A子である。
3.私は美容にお金を使って自分磨きをすっごく頑張ってるんだから、ステータスのあるハイスペックな彼氏ができてもいいと思うの。でもいつも、値踏みしてるって思われて恋人までいかないの。と、B子もぼやくのである。

例文1は、単純に「価値を見積もる」という意味で「値踏みする」を使っている文章です。古本屋の店員が、持ち込まれた古本に対して、いくらの値段をつけようかと見積もっています。店員はある本の存在に驚き、奥にいる店主を呼びにいったという展開です。価値のある本が混ざっていたのかもしれません。

例文2と3は、人に対して使う「値踏みする」の例です。例文2は値踏みされる側の言葉。例文3は値踏みしてると思われてしまう、という話です。値踏みする側はもちろん、値踏みされる側にもおもわくや理想があるわけですね。

「値踏みする」の類義語は?違いは?

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「値踏みする」の類義語には「査定する」「品定めする」「採点する」があります。

その1「査定する」

「査定する」は、調査や審査により決定することです。「ボーナスの査定」とは、勤務態度や成績からボーナスの支給額を決定することですね。

古物商が品物の買い取り値段を決めるために見積もる行為は、「値踏みする」「査定する」どちらでも表現できます。

\次のページで「その2「品定めする」」を解説!/

その2「品定めする」

「品定めする」とは、良いところや悪いところを見て、優劣を判定することです。買い物をするときにも使う言葉ですね。

現代では買い物をするときには値段が提示されているのが普通なので、「値踏みする」は買い物ではあまり使わないでしょう。そのため、人に対して「値踏みする」と使うときに、よく似た意味となります

物に対して「値踏みする」「品定めする」というのは、じっくりと丁寧に品物の価値を量る行為ですね。しかし、人に対して「値踏みする」「品定めする」というのは、どこか下品な行為という感じがします。どちらも同じ行為であり、必要な行為であるといえなくもないのですが、された側の不快感を想像するからでしょうか。

その3「採点する」

「採点する」とは、評価にもとづき点数をつけることです。人に対して「値踏みする」と使う場合の、あからさまな表現といえます。無作法なうえ失礼でもありますが、分かりやすい表現です。

「あの人は学歴が高いから〇点、あの人はブランド物を使っているから〇点」「あの子は年齢が若いから〇点、あの子は言葉遣いがキレイだから〇点」…初対面の男女が顔を合わせる合コンの場などでは、無意識にこのような採点・値踏みが行われているものでしょう。それにより態度を変えるのは、自らの品格を下げる行為ですので気をつけて。

「値踏みする」の対義語は?

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「値踏みする」の対義語はありません。

「値踏みする」の意味は「価値を見積もる」であるため、対義語を探すとすれば「価値を見積もらない」をあらわす言葉になるでしょう。物であれば「価値を考えずになんでも買う」、人であれば「優劣をつけずにだれでも受け入れる」でしょうか。

ここでは近い意味の言葉として「大人買い」「えり好みしない」を紹介します。

その1「大人買い」

「大人買い」とは、おまけ付き菓子やマンガ本など、子どもではちょっとずつしか買えないものを、大量に買うことです。一般的によく使う言葉となってからは、単に商品を大量に買い込むことも指すようになりました。

「値踏みする」の意味は「価値を見積もる」です。「大人買い」は「価値を見積もらずに買う」ことではないので、対義語とはいえないでしょう。しかし、お目当てのおまけが入っているものも入っていないものも、もしかしたら入っていないかもしれないけれど大量に買い込むという行動は、ひとつひとつのものの価値を値踏みする行為とは、大きな隔たりを感じます。

その2「えり好みしない」

「えり好みしない」とは、好きなものだけ選ぶという意味の「えり好みする」の否定形です。「好きなものだけ選ぶことをしない」、転じて「どれでも良いと考える」といったところでしょうか。

「値踏みする」は「価値を見積もる」という意味であり、人に対して使う場合は「価値があるものを選ぼうとする」行為といえるでしょう。価値があるものを選ぼうとする「値踏みする」と、どれでも良いと考える「えり好みしない」、反対の行動を指すといえそうです。

\次のページで「「値踏みする」を使いこなそう」を解説!/

「値踏みする」を使いこなそう

この記事では「値踏みする」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「値踏みする」は「価値を見積もる」という意味です。もともとは物の値段をつけることをあらわす言葉でしたが、現代では人に対して使うことも。人の身なりや肩書きなどで優劣を判断する行為を指します。

人を「値踏みする」のは、どうしても良くないイメージ。値踏みして「価値が低い」と見積もった人に対して、見下す態度をとる人がいるからかもしれませんね。しかしそのときこそ、逆に値踏み「される」ポイントといえないでしょうか。値踏みする人のことを値踏みする人がいても、おかしくないですものね。

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国語言葉の意味

「値踏みする」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「値踏みする」について解説する。

端的に言えば値踏みするの意味は「価値を見積もる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「値踏みする」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「値踏みする」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「値踏みする」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「値踏みする」の意味は?

「値踏みする」の意味を知るために、「値踏み」という言葉の意味を調べましょう。「値踏み」には、次のような意味があります。

値段を見積もってつけること。評価。値積もり。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「値踏み」

「値踏み」とは、価値を見積もること。これに「する」をつけた「値踏みする」は、「価値を見積もる」という意味になります。

日常生活で「値踏みする」という言葉からイメージするのは、人が人を「値踏みする」シーンでしょうか。「この人は身につけているものが高級だから収入も良さそう」「あの人は家事が得意そうだから結婚相手に良さそう」など、人が人の価値を見積もることを「値踏みする」と使うことは多いです。

本来の意味は、値段をつけること。たとえば自分の家に代々伝わる骨董品を古物商のところへ持っていったとき、店主が品物の買い取り価格を見積もることは、「値踏みする」にあたる動作です。

「値踏みする」の語源は?

次に「値踏みする」の語源を確認しておきましょう。「値踏みする」は「値踏み」という言葉に「する」という動詞がくっついている、複合動詞です。「する」は「ある動作を行う」という意味。「運転する」「仕事する」などと同じですね。

「値踏み」という言葉を「値」と「踏む」という言葉に分けて考えてみましょう。「値」とは、物を売買するときの金額のこと。「値(あたい)」と読むことからもイメージできますね。「踏む」には「あらかじめ見当をつける」という意味があります。「私は、あの子には天性の素質があると踏んでいる」などと使うときはその意味です。

つまり「値踏みする」のもともとの意味合いは、「金額にあらかじめ見当をつける」ということ。そこからだんだんと、人の身なりや肩書きなどで優劣を判断するという意味でも使うようになったと考えられます。

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