この記事では「腹の虫がおさまらない」について解説する。

端的に言えば腹の虫がおさまらないの意味は「どうしようもなく腹が立つ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員ライターのminを呼んです。一緒に「腹の虫がおさまらない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターとして活動中。

「腹の虫がおさまらない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「腹の虫がおさまらない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「腹の虫がおさまらない」の意味は?

「腹の虫がおさまらない」には、次のような意味があります。

腹の虫が治まらない
読み方:はらのむしがおさまらない
別表記:腹の虫がおさまらない、腹のムシがおさまらない

どうしようもなく腹が立つ、怒りが込みあげてくる、立腹してやまない、などの意味の表現。

出典:実用日本語表現辞典 「腹の虫がおさまらない」

腹ただしくてどうにも我慢できない」「癪にさわって怒らずにはいられない」そんな様子を示したことわざです。怒りといっても程度があるかと思いますが、この場合は「ちょっとムカっとくる」ようなレベルではなく、いわゆる「ブチギレ」レベルの激しい怒りが込み上げているような場合に使われます。

ところでなぜ「虫」という言葉が使われているのか、疑問に思われたことはないでしょうか。続く語源のコーナーで、この大事なキーワードについて詳しくみていきましょう。

「腹の虫がおさまらない」の語源は?

次に「腹の虫がおさまらない」の語源を確認していきます。

昔、人の体には感情を支配する虫が住んでいると言われていました。当時は虫にとって居心地のいい場所にくると人も機嫌がよくなり、反対に無視が居心地の悪い場所では、人の機嫌も悪くなると言われていたそうです。なんとも面白い話ですよね。

そして、そうして人の気持ちを動かす虫は人の体の中でも「腹のなかにいる」とされていました。そこから、心中の感情を腹中の虫にたとえ、その虫が大人しくしないという意味から、「腹の虫がおさまらない」という表現と「怒りが我慢できない」という感情がリンクするようになったのです。

その他に、「腹の虫が承知しない」という言い回しも存在します。

\次のページで「「腹の虫がおさまらない」の使い方・例文」を解説!/

「腹の虫がおさまらない」の使い方・例文

「腹の虫がおさまらない」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.ワインがおすすめだというバーに来たのに、肝心のワインが品切れだなんて。腹の虫がおさまらないよ。
2.人気タレントの不祥事に、ファンは腹の虫がおさまらないのか、SNSの投稿に怒りのコメントが集まっている。
3.委員長の指示に従っただけなのに、教師から理不尽に叱られた彼女は、まだ腹の虫がおさまらないようだ。

どうしても怒りがおさまらない」という状況で使われる表現です。一瞬込み上げた怒りというよりは、例文のように「なかなか怒りをおさめることができない」というニュアンスになります。

「腹の虫がおさまらない」の類義語は?違いは?

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次に、「腹の虫がおさまらない」の類義語や関係の深い表現について解説していきます。

その1「はらわたが煮えくりかえる」

非常に腹が立って我慢できない」という意味のことわざです。「はらわたが煮えかえる」という言い方になる場合もあります。「腹の虫がおさまらない」とほぼ同じ意味です。

「はらわたが煮えかえる」と「腹の虫がおさまらない」のニュアンスの違いを強いて挙げるとすれば、怒り具合の違いになるかと思います。「煮えくりかえる」というくらいなので、前者の方が怒りのボルテージは高めだと言えるでしょう。対して後者は、「おさまらない」という表現ですので、沸々とした怒りがじわじわと続いているようなイメージになります。

\次のページで「その2「虫の居所が悪い」」を解説!/

その2「虫の居所が悪い」

その昔、人間はお腹に感情を支配する虫を飼っていると思われていたという話を前述しました。この「虫の居所が悪い」も、そうした考えから生まれたことわざです。「虫の居心地の悪い場所では、人も機嫌が悪くなる」という言い伝えが元になっていますが、確かにあながち間違いではないかもしれませんね。

「虫の居所が悪い」の意味は「機嫌が悪く、些細なことでも怒り出しそうな状態」を指します。「いつもは優しいコーチだが、今日は虫の居所が悪いのか、怒ってばかりだ」といった形で使うことが可能です。

「腹の虫がおさまらない」の対義語は?

「腹ただしくてどうにも我慢できない」という意味のことわざ「腹の虫がおさまらない」の対義語を定義することは難しいでしょう。その代わり、類義語として挙げた関連語や語源をしっかり理解しておくようにしましょう。

「腹の虫がおさまらない」の英訳は?

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最後に「腹の虫がおさまらない」の英語表現について考えていきましょう。

わかりやすい日本語に置き換えて英訳しよう

ことわざや慣用句の英訳するときは、意味をわかりやすい日本語に置き換えてから考えるようにしましょう。

意味は「腹立たしくてどうにも我慢できない」でしたよね。つまり、怒りが「我慢できない」「コントロールできない」という表現ができればOKです。「怒り」は英語で「anger」、「我慢する」「抑える」は色々な表現がありますが、「stand」「controll」「contain」などが代表的かと思います。

これらを組み合わせれば、「腹の虫がおさまらない」の英訳は完璧です。以下に例文を用意しましたので、是非チェックしてみてください。

I cannot contain my anger.
自分の腹の虫がおさまらない


It seems that she can\'t stand her anger.
彼女はどうやら腹の虫がおさまらないようだ。


Do you know why he can\'t controll his anger?
彼の腹の虫がなぜおさまらないのか、知ってる?

\次のページで「「腹の虫がおさまらない」を使いこなそう」を解説!/

「腹の虫がおさまらない」を使いこなそう

この記事では「腹の虫がおさまらない」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「怒りが起こる原因は、体の中の虫が暴れているからだ」というのはユニークな考え方ですよね。昔は他にも、空腹を表現するときにも「腹の虫が目をさます」なんて言い方をしていたそうです。「お腹が鳴る=虫が鳴いている」という解釈だったわけですね。

ことわざの語源や由来を調べることで、こうした過去の文化に触れることもできます。この機会にぜひいろんなことわざを調べてみてくださいね。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「腹の虫がおさまらない」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員ライターがわかりやすく解説!

この記事では「腹の虫がおさまらない」について解説する。

端的に言えば腹の虫がおさまらないの意味は「どうしようもなく腹が立つ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員ライターのminを呼んです。一緒に「腹の虫がおさまらない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターとして活動中。

「腹の虫がおさまらない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「腹の虫がおさまらない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「腹の虫がおさまらない」の意味は?

「腹の虫がおさまらない」には、次のような意味があります。

腹の虫が治まらない
読み方:はらのむしがおさまらない
別表記:腹の虫がおさまらない、腹のムシがおさまらない

どうしようもなく腹が立つ、怒りが込みあげてくる、立腹してやまない、などの意味の表現。

出典:実用日本語表現辞典 「腹の虫がおさまらない」

腹ただしくてどうにも我慢できない」「癪にさわって怒らずにはいられない」そんな様子を示したことわざです。怒りといっても程度があるかと思いますが、この場合は「ちょっとムカっとくる」ようなレベルではなく、いわゆる「ブチギレ」レベルの激しい怒りが込み上げているような場合に使われます。

ところでなぜ「虫」という言葉が使われているのか、疑問に思われたことはないでしょうか。続く語源のコーナーで、この大事なキーワードについて詳しくみていきましょう。

「腹の虫がおさまらない」の語源は?

次に「腹の虫がおさまらない」の語源を確認していきます。

昔、人の体には感情を支配する虫が住んでいると言われていました。当時は虫にとって居心地のいい場所にくると人も機嫌がよくなり、反対に無視が居心地の悪い場所では、人の機嫌も悪くなると言われていたそうです。なんとも面白い話ですよね。

そして、そうして人の気持ちを動かす虫は人の体の中でも「腹のなかにいる」とされていました。そこから、心中の感情を腹中の虫にたとえ、その虫が大人しくしないという意味から、「腹の虫がおさまらない」という表現と「怒りが我慢できない」という感情がリンクするようになったのです。

その他に、「腹の虫が承知しない」という言い回しも存在します。

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