この記事では「ありありと」について解説する。

端的に言えばありありとの意味は「はっきりと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「ありありと」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「ありありと」の意味や語源・使い方まとめ

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「ありありと」という言葉をご存知ですか。聞いたことはあるけれど、詳しい意味をと言われると不安になるかもしれませんね。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「ありありと」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ありありと」の意味は?

まず初めに、「ありありと」の意味を辞書で確認してみましょう。「ありありと」には、次のような意味があります。

1.はっきりと外に現れるさま。明らかに。
2.まるで現実であるかのようにはっきりと見えるさま。鮮やかに。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ありあり」

「ありあり」は漢字で「有り有り」もしくは「在り在り」と書くこともあります。一般的に「ありありと」の形で用いられる言葉です。「気持ちや感情などが表れている様子」「そこにあるように見える様子」を表します。はっきりと現れるさま、また、夢や思い出などのように現実のことではないものが、あたかも現在目の前に具体的に起きているかのように鮮やかに心に浮かんだり、感じられたりするさまを表す言葉なのです。

「ありありと」の語源は?

次に「ありありと」の語源を確認しておきましょう。

「ありあり」は動詞「有り」もしくは「在り」を重ねた言葉です。「あり」を繰り返すことで意味を強め、はっきりとある様子を表しているのですね。「ありありと」は中世に成立した言葉で、その頃から「はっきりと」の意味で使われていました。

「ありありと」の使い方・例文

「ありありと」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「ありありと」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.自分自身ではどうしても解決できない問題であることがわかると、その表情に不満の色がありありと見えた。
2.国語辞典や百科事典を検索する方法で、疑問に対して求めていた回答がありありと浮かんできた。
3.自動翻訳機能を使ったことがありありとわかってしまうような内容では、サイトに掲載するわけにはいかない。
4.彼の残した文章や保存してあった音声に触れ、亡き友の姿がありありと目に浮かぶようだった。

「ありありと」は、気持ちや感情などがはっきりと表に現れるさまを表す時に用いられる言葉です。実際に見えたり目の前にあるということではなくても、そうであることが明らかにわかるということを表現することができるのですよ。「彼女が怒っていることがありありと感じられた」「ありありと失望の色が見えた」などというように用います。また、実際にはそうではないのに、まるで現実に目の前で起こっていることのようにはっきりと見えるさまも表すこともできますよ。「当時の光景がありありと目に浮かぶ」「その場がありありと見えるようだった」などと用いることができるのです。

「ありありと」の類義語は?違いは?

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「ありありと」の類義語を見ていきましょう。

その1「明らかに」

「明らか(あきらか)」は「はっきりとしていて疑う余地のないさま」を表す言葉です。また、「光が満ちて、隅々まで照らしているさま」のことも表します。「火を見るよりも明らかだ」などと用いますよ。

その2「はっきりと」

「はっきりと」は「他と紛れることがなく、明らかなさま」「あいまいでなく、確かなさま」を表す言葉です。物の形や輪郭、考えていることの内容などが、他のものと紛れるところがなく明確に区別、識別できる状態を表します。「富士山の姿がはっきりと見える」「態度をはっきりとさせる」などど用いますよ。

その3「まざまざと」

「まざまざと」は「まるで目の前にあるかのようにはっきりとしているさま」を表す言葉です。この言葉は「ありありと」ととてもよく似た意味を持っていますね。また「ある事を確かな事実として、身にしみて感じるさま」、言い換えると「つくづく」の意味も持っています。もうひとつ「まことしやかに」という意味もあるのですよ。「あの時のことをまざまざと思い出す」などと用います。

\次のページで「その4「くっきりと」」を解説!/

その4「くっきりと」

「くっきりと」は「際立って鮮やかに見えるさま」を表す言葉です。物の姿や形が非常にはっきりとしているさまを表します。「くっきりとした画像」などと言いますね。

その5「生々しく」

「生々しい」は「今できたばかりのようである」ことを意味する言葉ですが、「目の前に見ているような感じである」ことも表します。心の中で生きているようなイメージを呼び起こすという意味で用いられる「ありありと」と似た意味を持つ言葉ですね。「生々しく思い出す」などと用います。

「ありありと」の対義語は?

「ありありと」と反対の意味を持つ言葉を見ていきましょう。

その1「ぼんやりと」

「ぼんやり」は「はっきりしないさま」を表す言葉です。「物の形や色などがはっきりせず、ぼやけて見えるさま」「事柄の内容などがはっきりしないさま」を表します。「島影がぼんやりと見える」「記憶がぼんやりしている」などと用いますね。「はっきりと」を意味する「ありありと」とは反対の意味を持つ言葉であるとわかります。また「ぼんやりするな」などというように、「元気がなく、気持ちが集中しないさま」「気がきかず、間が抜けているさま」のことも表す言葉なのですよ。

その2「うっすらと」

「うっすら」は「濃さ・明瞭度・厚さなどの程度がわずかであるさま」を表す言葉です。「ほのかに」「かすかに」「うすく」といった意味があります。漢字で書くと「薄ら」と書くのですよ。「うっすらと記憶に残っている」「うっすらと雪が降る」などと用います。この言葉も「ありありと」とは反対の意味を持つ言葉ですね。

「ありありと」の英訳は?

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「ありありと」を英語に訳すとどのように表現できるか見ていきましょう。

その1「clearly」

「clearly」は「明るく、清らかに、明瞭に、はっきり、明らかに、疑いもなく」といった意味を持つ単語です。「はっきりと」の意味を持っていますから、「ありありと」の英訳として用いることができます。

\次のページで「その2「distinctly」」を解説!/

その2「distinctly」

「distinctly」は「明白に、はっきりと、確かに、疑いなく、まったく、本当に」といった意味と持つ単語です。他と区別できるほど明瞭にといった意味を持っています。

その3「vividly」

「vividly」は「生き生きと、きびきびと、鮮やかに、ありありと」といった意味を持つ単語です。生き生きと思い出すといった意味で用いられる「ありありと」を英訳する場合には、この単語が適しています。

I could make out a tall tree clearly in the moonlight.
月明かりに照らされて、背の高い木をありありと見ることができた。

I remember his face very distinctly.
彼の顔をありありと覚えている。

His character is vividly drawn.
彼のキャラクターがありありと描かれている。

「ありありと」を使いこなそう

この記事では「ありありと」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「ありありと」は「実際には見えていないものが、はっきりと表に現れるさま」「実際にはここにないものが、まるで現実であるかのようにはっきりと見えるさま」を表す言葉でした。現実的にははっきりしているわけではないのに、あたかも手に取れるかのようにはっきりとわかるさまを表すのですね。身近な人の様子を見ながら、その人の気持ちがありありとわかった。何かを見た、聞いた、香りをかいだ瞬間に、かつての思い出がありありと浮かんだ。そんな経験があるのではないかと思います。その時のことをありありと思い浮かべながら、「ありありと」という言葉、ぜひ使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

「ありありと」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「ありありと」について解説する。

端的に言えばありありとの意味は「はっきりと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「ありありと」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「ありありと」の意味や語源・使い方まとめ

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「ありありと」という言葉をご存知ですか。聞いたことはあるけれど、詳しい意味をと言われると不安になるかもしれませんね。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「ありありと」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ありありと」の意味は?

まず初めに、「ありありと」の意味を辞書で確認してみましょう。「ありありと」には、次のような意味があります。

1.はっきりと外に現れるさま。明らかに。
2.まるで現実であるかのようにはっきりと見えるさま。鮮やかに。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ありあり」

「ありあり」は漢字で「有り有り」もしくは「在り在り」と書くこともあります。一般的に「ありありと」の形で用いられる言葉です。「気持ちや感情などが表れている様子」「そこにあるように見える様子」を表します。はっきりと現れるさま、また、夢や思い出などのように現実のことではないものが、あたかも現在目の前に具体的に起きているかのように鮮やかに心に浮かんだり、感じられたりするさまを表す言葉なのです。

「ありありと」の語源は?

次に「ありありと」の語源を確認しておきましょう。

「ありあり」は動詞「有り」もしくは「在り」を重ねた言葉です。「あり」を繰り返すことで意味を強め、はっきりとある様子を表しているのですね。「ありありと」は中世に成立した言葉で、その頃から「はっきりと」の意味で使われていました。

「ありありと」の使い方・例文

「ありありと」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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