この記事では「歳月人を待たず」について解説する。

端的に言えば歳月人を待たずの意味は「時間は刻々と過ぎて行く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「歳月人を待たず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「歳月人を待たず」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「歳月人を待たず(さいげつひとをまたず)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「歳月人を待たず」の意味は?

「歳月人を待たず」には、次のような意味があります。

年月は人の都合にかかわりなく、刻々と過ぎていき、少しもとどまらない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「歳月人を待たず」

「歳月(さいげつ)」とは“年月(としつき)”のこと。「歳月人を待たず」とは“年月は人の都合などお構いなしに過ぎ去るもので留まることがない”ことを表現した言葉。

転じて“人はあっという間に老いてしまうから、二度とない時間を無駄にせず努力して励め”という戒めの意味も含んでいます。

「歳月人を待たず」の語源は?

次に「歳月人を待たず」の語源を確認しておきましょう。「歳月人を待たず」は、中国の魏晋南北朝時代の、陶潜(とうせん)の詩に由来します。

陶潜は、陶淵明(とうえんめい)という名でも知られた詩人です。彼の詠んだ『雑詩』にあるのが「盛年重ねて来たらず、一日再びあしたなり難し、時に及んで当に勉励すべし、歳月人を待たず」という言葉。「若い時間は二度と来ないし、一日に朝は二度もない。だからこそ、今という時を逃さずに勉強に励め」という意味になり、これが「歳月人を待たず」の語源です。

ただしここで「励む」とは、詩全体の文脈から“楽しみ”のことだとも言われています。そのためもともとは“その時その時に心ゆくまで大いに遊んで楽しむのが良い”というニュアンスが強い言葉でした。現在では“若いうちに勉学に励め”という意味で用いるのが一般的ですが、本来の言葉の意味も抑えておくといいでしょう。

\次のページで「「歳月人を待たず」の使い方・例文」を解説!/

「歳月人を待たず」の使い方・例文

「歳月人を待たず」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.将来のことを考えるのは大変だが、後回しにしても歳月人を待たずであっという間に年を取ってしまうよ。
2.好きでもない人と付き合ったままで良いのか。歳月人を待たずと言うし、もう一度考えるべきだと友達から言われてしまった。
3.歳月人を待たず。夏休みだからと日々を適当に過ごしていては、人生も簡単に過ぎてしまい後悔するだろう。

「歳月人を待たず」とは“時間があっという間に過ぎてしまう”ことを表現する言葉として用います。そのため例文のように、戒めの意味で用いるのが一般的。

“時間を無駄にしない”という言葉のため、日常でもビジネスシーンでも使うことができることわざです。

「歳月人を待たず」の類義語は?違いは?

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続いて「歳月人を待たず」の類義語についても解説します。

その1「一寸の光陰軽んずべからず」

「一寸の光陰軽んずべからず(いっすんのこういんかろんずべからず)」とは、中国南宋の儒者、朱熹(しゅき)の詩句に基づいた言葉。“わずかな時間も無駄にしてはいけない”という戒めの意で、「一寸」とは“わずかな”の意のことを指します。

“時間を大切にすべきだ”という意味において「歳月人を待たず」と同義の言葉と言えるでしょう。

なお「一寸の光陰軽んずべからず」はもともとは「少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず」という一文で、“若いときは短いのに学問や完成しづらく、わずかな時間も無駄にしてはいけない”という意味になっています。この文章の前半の「少年老い易く学成り難し」だけでも同じ意味で使われるため、関連語句として覚えておくのがおすすめです。

\次のページで「その2「烏兎匆匆」」を解説!/

その2「烏兎匆匆」

「烏兎匆匆(うとそうそう)」とは、“月日の経つのが早い”ことを表した四字熟語。太陽にはカラス、月にはウサギが棲んでいるとする古代中国の伝説から、「烏兎(うと)」とは“月日”のことを意味し、「怱怱(そうそう)」慌ただしい様子忙しいという意です。

「歳月人を待たず」と同じように“あっという間に月日が流れてしまう”という意味を持つ「烏兎怱怱」も類義語のひとつと言えます。いずれも人間のことなどお構いなしに、あっという間に時間が過ぎて行く状況を表現する言葉です。

「歳月人を待たず」の対義語は?

「歳月人を待たず」とは“時間があっという間に過ぎ去ること”です。このことに対して似た意味の言葉は多くある一方、反対の意味になる言葉はなく、したがって「歳月人を待たず」に明確な対義語は存在しません

「歳月人を待たず」の英訳は?

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最後に「歳月人を待たず」の英語訳についても確認しておきましょう。

「Time and tide wait for no man」

「Time and tide wait for no man」は、“歳月人を待たず”の英語訳として一般的に用いられる表現。英語のことわざで“若いときは二度と来ないから時間を大切にして努力する”という意味を持ちます。転じて“行動を起こすチャンスを逃さないように”というニュアンスで使われることもある、英語の格言です。

「歳月人を待たず」同様ことわざとして用いられているため、このままの英語表現で覚えてしまいましょう。なお「tide」とは“潮”という意味がありますが、この文では「time」と同義で“時間”を表しています。

「歳月人を待たず」を使いこなそう

この記事では「歳月人を待たず」の意味・使い方・類語などを説明しました。日々のなかで、時間はあっという間に過ぎてしまいます。時間を大切に、充実した時間を過ごせるように心がけて生活していきたいものですね。

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【ことわざ】「歳月人を待たず」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「歳月人を待たず」について解説する。

端的に言えば歳月人を待たずの意味は「時間は刻々と過ぎて行く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「歳月人を待たず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「歳月人を待たず」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「歳月人を待たず(さいげつひとをまたず)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「歳月人を待たず」の意味は?

「歳月人を待たず」には、次のような意味があります。

年月は人の都合にかかわりなく、刻々と過ぎていき、少しもとどまらない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「歳月人を待たず」

「歳月(さいげつ)」とは“年月(としつき)”のこと。「歳月人を待たず」とは“年月は人の都合などお構いなしに過ぎ去るもので留まることがない”ことを表現した言葉。

転じて“人はあっという間に老いてしまうから、二度とない時間を無駄にせず努力して励め”という戒めの意味も含んでいます。

「歳月人を待たず」の語源は?

次に「歳月人を待たず」の語源を確認しておきましょう。「歳月人を待たず」は、中国の魏晋南北朝時代の、陶潜(とうせん)の詩に由来します。

陶潜は、陶淵明(とうえんめい)という名でも知られた詩人です。彼の詠んだ『雑詩』にあるのが「盛年重ねて来たらず、一日再びあしたなり難し、時に及んで当に勉励すべし、歳月人を待たず」という言葉。「若い時間は二度と来ないし、一日に朝は二度もない。だからこそ、今という時を逃さずに勉強に励め」という意味になり、これが「歳月人を待たず」の語源です。

ただしここで「励む」とは、詩全体の文脈から“楽しみ”のことだとも言われています。そのためもともとは“その時その時に心ゆくまで大いに遊んで楽しむのが良い”というニュアンスが強い言葉でした。現在では“若いうちに勉学に励め”という意味で用いるのが一般的ですが、本来の言葉の意味も抑えておくといいでしょう。

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