この記事では「不羈」について解説する。

端的に言えば不羈の意味は「物事に束縛されず、自由気ままに振る舞う様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元大手予備校校舎長で、国語指導歴の長い教育系ライターのみゆなを呼んです。一緒に「不羈」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「不羈」の意味や語源・使い方まとめ

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不羈」という言葉、さらに「羈」という漢字は初めて見た!という方も多いでしょう。読み方は「ふき」で、「不羇」という漢字をあてることもあります。「独立不覊」「不羈奔放」「不羈自由」といった四文字熟語でつかわれることも多い「不羈」について、詳しく見ていきましょう。正しい意味を知っていると、あなたの語彙力に周りの人も一目置くようになりますよ。

それでは早速「不羈」の意味や語源・使い方について解説を始めます。

「不羈」の意味は?

「不羈」には、次のような意味があります。

1.物事に束縛されないで行動が自由気ままであること。また、そのさま。
2.才能などが並はずれていて、枠からはみ出すこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「不羈」

「不羈」には2つの意味があるのですね。「束縛されず、自由気ままである様子」という意味と、「並外れた才能がある様子」という意味の2つです。

両者に共通している「枠にとわられない、制約を受けない」というイメージが、「不羈」のコアイメージになります。このイメージは漢字の意味を見てみると、一層理解できますよ。次の項目で語源・由来を紹介します。

「不羈」の語源は?

「不羈」の語源は、漢字1文字ずつの意味を理解するとよくわかります。

「不」は後に続く言葉の意味を否定しますよね。「羈」という漢字は「革/馬」という字が含まれていますが、どんな意味が想像できますか?「羈」は轡(くつわ)を固定するために馬の頭上からかける組みひもや、たづなを指す言葉です。また転じて「つなぐ、つなぎとめる」という意味も持っています。

ちなみに「不羈」の異体表記である「不羇」の「羇」の字も、馬具の一種である「おもがい(くつわにかける飾り紐)」を指しますよ。

「不羈」とは、馬具やたづながない状態、つまり「つなぎとめられていない」という状態を表しているのですね。ここから「束縛されない、枠にとらわれない」というコアイメージが出来上がってきたというわけです。

\次のページで「「不羈」の使い方・例文」を解説!/

「不羈」の使い方・例文

「不羈」の意味は理解できても、難しい言葉なのでどのように使えば良いかわかりませんよね。ここからは実際の使い方を例文を使ってご紹介します。「不羈」は、たとえば以下のように使われる言葉です。

1.その国王は、配下のどんな不羈でも咎めなかった。
2.誰も見たことがない斬新なスタイルの展覧会を実現したのは、主催者である彼が独立不羈の精神を持っていたからだろう。
3.歴史上の偉大な人物というのは、総じて不羈奔放なところがある。
4.分かれた彼女は、あまりに不羈自由な性格だった。別れてから、あの生き方を羨ましく思うこともある。

「不羈」は単体で使われることもありますが、四字熟語の形で登場することの方が多い言葉です。4つの例文で、それぞれの使い方を解説しましょう。

例文1は「不羈」を単体で使った場合です。家来がどんなに自由気ままに振る舞っても、国王はそれを注意することはなかったという意味ですね。行動を逐一咎められていては、部下も嫌気がさしてしまうでしょう。上に立つ人物というのは、これくらい鷹揚な方が良いのかもしれません。

例文2から4は、四文字熟語を使っています。例文2「独立不羈」・例文3「不羈奔放」・例文4「不羈自由」とも、すべて「他人の力に頼ったり影響されたり、束縛されたりすることなく行動すること。拘束を受けず、自由に振る舞うこと」という意味です。私たちはつい他人の目を気にして自分の行動を決めてしまいますが、本心では「不羈」な生き方ができたらいいなあと思うことはありませんか。

「不羈」の類義語は?違いは?

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「不羈」と同じ意味を持つ言葉には、どのようなものがあるでしょうか?ニュアンスが少しずつ異なる表現を、3つご紹介します。

その1「自由奔放」

「自由奔放」とは「他人や周囲の目、批評を気にせず、思うままに振る舞うさま」という意味です。また世間のしきたりや常識とされるものにとらわれない、気にしないという意味もあります。まさに「不羈」と同義ですね。

また細かなことにこだわらず、自分の意志を重んじて行動するという意味の「自由闊達」も「不羈」の同義語として使えますよ。

\次のページで「その2「大物」」を解説!/

その2「大物」

大物」も不羈に似たニュアンスを持っています。「大物」には2つ意味があり、単に姿形が大きいという意味もありますが、ここで取り上げたいのは「器量が大きく、すぐれた人物」という意味です。小さなことには動じない人をみて「あの人は大物だ」と言ったりしますね。些細なことを気にしないという点で、「不羈」と通ずるところがある言葉だと言えます。

その3「逸材」

逸材」も見ておきましょう。「不羈」の「枠にとらわれない才能」という意味の同義語になります。「逸材」の「材」には生まれながらにして持っている才能という意味があり、それが「逸」つまりすぐれているという意味ですね。同じ意味で「鬼才」「俊英」「賢才」といった言葉もあります。

「不羈」の対義語は?

「不羈」の対義語にはどのような表現があるでしょうか。見ていきましょう。

「自縄自縛」

自縄自縛(じじょうじばく)」という四文字熟語があります。「自縄自縛」は「自分が作った縄で自分をしばる」という意味ですが、つまり「自分の言行で身動きがとれなくなり、苦しむこと」という意味です。

「不羈」は何ごとにも束縛されず、気ままに自由に生きるという意味でしたね。他人のみならず、自分自身で自分を縛りつけてしまうという状態は、まさに「不羈」の対極にある概念だと言えます。

「不羈」の英訳は?

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「不羈」という生き方は、世界中に共通して存在していそうですよね。では英語ではどのように表現するのでしょうか?

「freedom」

freedom」は私たちも良く知っている単語ですね。「自由」という意味で最も一般的に使われる言葉です。また「束縛がない自由」というニュアンスを強めたい場合は「liberty」、「他人に頼らない、独立心が強い」という意味での自由なら「independence」も使えますよ。

\次のページで「「不羈」を使いこなそう」を解説!/

「不羈」を使いこなそう

この記事では「不羈」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「不羈」は何事にもとらわれず、自分が思うがまま自由に振る舞うさまや、枠に収まりきらない才能を指す言葉だということが分かりましたね。日本人は他人の視線を気にする国民性があると言われています。他人からどうみられるかという、ある意味客観的な視点は高い民度を維持するのに役に立つ一方、自分の生き方を支配されてしまうと生きづらさや息苦しさを感じさせる原因にもなりますよね。

時には自分の感性や価値観だけに従い、気ままに生きてみると人生が変わるかもしれませんよ!

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国語言葉の意味

「不羈」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校校舎長がわかりやすく解説!

この記事では「不羈」について解説する。

端的に言えば不羈の意味は「物事に束縛されず、自由気ままに振る舞う様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元大手予備校校舎長で、国語指導歴の長い教育系ライターのみゆなを呼んです。一緒に「不羈」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「不羈」の意味や語源・使い方まとめ

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不羈」という言葉、さらに「羈」という漢字は初めて見た!という方も多いでしょう。読み方は「ふき」で、「不羇」という漢字をあてることもあります。「独立不覊」「不羈奔放」「不羈自由」といった四文字熟語でつかわれることも多い「不羈」について、詳しく見ていきましょう。正しい意味を知っていると、あなたの語彙力に周りの人も一目置くようになりますよ。

それでは早速「不羈」の意味や語源・使い方について解説を始めます。

「不羈」の意味は?

「不羈」には、次のような意味があります。

1.物事に束縛されないで行動が自由気ままであること。また、そのさま。
2.才能などが並はずれていて、枠からはみ出すこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「不羈」

「不羈」には2つの意味があるのですね。「束縛されず、自由気ままである様子」という意味と、「並外れた才能がある様子」という意味の2つです。

両者に共通している「枠にとわられない、制約を受けない」というイメージが、「不羈」のコアイメージになります。このイメージは漢字の意味を見てみると、一層理解できますよ。次の項目で語源・由来を紹介します。

「不羈」の語源は?

「不羈」の語源は、漢字1文字ずつの意味を理解するとよくわかります。

「不」は後に続く言葉の意味を否定しますよね。「羈」という漢字は「革/馬」という字が含まれていますが、どんな意味が想像できますか?「羈」は轡(くつわ)を固定するために馬の頭上からかける組みひもや、たづなを指す言葉です。また転じて「つなぐ、つなぎとめる」という意味も持っています。

ちなみに「不羈」の異体表記である「不羇」の「羇」の字も、馬具の一種である「おもがい(くつわにかける飾り紐)」を指しますよ。

「不羈」とは、馬具やたづながない状態、つまり「つなぎとめられていない」という状態を表しているのですね。ここから「束縛されない、枠にとらわれない」というコアイメージが出来上がってきたというわけです。

\次のページで「「不羈」の使い方・例文」を解説!/

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