この記事では「月に叢雲花に風」について解説する。

端的に言えば月に叢雲花に風の意味は「よいことは長続きしない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「月に叢雲花に風」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「月に叢雲花に風」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「月に叢雲花に風(つきにむらくもはなにかぜ)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「月に叢雲花に風」の意味は?

「月に叢雲花に風」には、次のような意味があります。

世の中の好事には、とかく差し障りが多いことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「月に叢雲花に風」

「月に叢雲花に風」とは、“良いことには邪魔が入りやすい”ことをたとえたことわざ。楽しいことや良いことをしているときに限ってトラブルや障害に見舞われてしまい、思うように事が進まない様子や、長続きしない様子を表現しています。前半だけで「月に叢雲」とだけ言うことも可能です。

この「叢雲(むらくも)」とは群がった雲のこと。名月は雲が群がって隠してしまい、美しく咲いた桜は風が吹いて散らしてしまう。せっかくの風情が台無しになってしまうこの状況をたとえたのが「月に叢雲花に風」です。

なお「月に叢雲花に風」には“相性が悪い”という意味は含みません。誤用の多い例なので気をつけておきましょう。

「月に叢雲花に風」の使い方・例文

「月に叢雲花に風」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「月に叢雲花に風」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.楽しみにしていた旅行だったのに雨が降り、あっという間に土砂降りになってしまった。月に叢雲花に風とはよく言ったものだ。
2.大手企業とのコンペ企画も決まり営業成績もトップだと思っていたが、月に叢雲花に風、思わぬ別の仕事上のトラブルで月間トップの座はライバルに持っていかれてしまったよ。
3.見ようと思っているテレビ番組があるのだが、月に叢雲花に風でそういう時に限って電話がかかってくるような気がしてならない。
4.人気のレストランでディナー予約が取れたものの、急遽入った大事な会議で仕事を定時に上がれるか怪しくなってきた。月に叢雲花に風にならないことを願うしかない。
5.仕事もプライベートも順調に進んでいた矢先、病気で入院してしまった。まさに人生は月に叢雲花に風だと思ったよ。

「月に叢雲花に風」は、“良いことが思うようにいかない”という意味のことわざです。そのため、日常でもビジネスでも“良いことに邪魔が入る”状況などで用いられます。また例文1のように、非常にがっかりする感情を表現することも可能です。

「月に叢雲花に風」の類義語は?違いは?

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次に「月に叢雲花に風」の類義語についても解説します。

「好事魔多し」

「好事魔多し(こうじまおおし)」とは、“良いことには邪魔が入りやすい”という意味のことわざ。中国現代の戯曲『琵琶記・幾言諫父』に由来しており、「好事(こうじ)」とは良いこと、「魔」とは邪魔の意です。正しくは「好事、魔、多し」と区切り、「好事魔を生ず(こうじまをしょうず)」と言うこともあります。

“良いことには邪魔が入りやすく長続きしない”という意味が共通しており、「好事魔多し」は「月に叢雲花に風」の類義語のひとつです。

ただし「月に叢雲花に風」は思い通りにならない浮世を嘆く意があるのに対し、「好事魔多し」は“良いことがあっても有頂天になってはいけない”という戒めの意を持っています。言葉の与える印象も変わるので、ニュアンスの違いは抑えておきましょう。

「花に嵐」

「花に嵐」“物事には支障が起こりやすい”ことを意味する言葉。満開の花がきれいに咲いても、激しい風が吹いてまき散らしてしまう様子をたとえた表現です。

「月に叢雲花に風」と同様の比喩表現であり、「花に嵐」も類義語と言えます。

\次のページで「「月に叢雲花に風」の対義語は?」を解説!/

「月に叢雲花に風」の対義語は?

「月に叢雲花に風」とは、“良いことには邪魔が入る”ことを意味します。これに対し、“邪魔が入らず順調に進むこと”は反対の意味と言えるでしょう。

ここではそのような意味を持つ言葉を「月に叢雲花に風」の対義語として紹介します。

「順風満帆」

「順風満帆(じゅんぷうまんぱん)」とは、“物事が順調に思い通り進む”ことを表現する四字熟語。追い風を受けて帆がいっぱいに膨らみ、船が快く進む様子をたとえた言葉です。

“良いことに邪魔が入る”「月に叢雲花に風」に対し、“物事に邪魔が入らず思い通りに進む”「順風満帆」は対義語の表現といえるでしょう。

「月に叢雲花に風」の英訳は?

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最後に「月に叢雲花に風」の英語訳についても確認しておきましょう。

「Roses have thorns」

「Roses have thorns」とは英語のことわざ。「rose」は“薔薇”、「thorn」は“トゲ”を表す英単語で、直訳すると“薔薇には棘がある”となります。転じて、“美しいものにはトゲがある”というたとえで使われるイディオムです。

「月に叢雲花に風」において、“良いこと”を“美しいもの”“邪魔”を“トゲ”と考えると、同様の比喩表現になることがわかります。そのためシンプルに「月に叢雲花に風」を「Roses have thorns」を用いるのがおすすめです。

「月に叢雲花に風」を使いこなそう

この記事では「月に叢雲花に風」の意味・使い方・類語などを説明しました。「月に叢雲花に風」は、現在では日常的に使う言葉ではありません。ですが、意外にも使えるシチュエーションは日常でもビジネスでも多くあるのではないでしょうか。

物事が思うように進まなくてがっかりしてしまった時には、「月に叢雲花に風」と思ってみることで気持ちも切り替えられるかもしれませんよ。

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【ことわざ】「月に叢雲花に風」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「月に叢雲花に風」について解説する。

端的に言えば月に叢雲花に風の意味は「よいことは長続きしない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「月に叢雲花に風」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「月に叢雲花に風」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「月に叢雲花に風(つきにむらくもはなにかぜ)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「月に叢雲花に風」の意味は?

「月に叢雲花に風」には、次のような意味があります。

世の中の好事には、とかく差し障りが多いことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「月に叢雲花に風」

「月に叢雲花に風」とは、“良いことには邪魔が入りやすい”ことをたとえたことわざ。楽しいことや良いことをしているときに限ってトラブルや障害に見舞われてしまい、思うように事が進まない様子や、長続きしない様子を表現しています。前半だけで「月に叢雲」とだけ言うことも可能です。

この「叢雲(むらくも)」とは群がった雲のこと。名月は雲が群がって隠してしまい、美しく咲いた桜は風が吹いて散らしてしまう。せっかくの風情が台無しになってしまうこの状況をたとえたのが「月に叢雲花に風」です。

なお「月に叢雲花に風」には“相性が悪い”という意味は含みません。誤用の多い例なので気をつけておきましょう。

「月に叢雲花に風」の使い方・例文

「月に叢雲花に風」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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