この記事では「鬼の首を取ったよう」について解説する。

端的に言えば鬼の首を取ったようの意味は「功名を上げたように振る舞うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員ライターのminを呼んです。一緒に「鬼の首を取ったよう」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターとして活動中。

「鬼の首を取ったよう」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「鬼の首を取ったよう」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鬼の首を取ったよう」の意味は?

「鬼の首を取ったよう」には、次のような意味があります。

鬼(おに)の首(くび)を取(と)ったよう
大変な功名・手柄を立てたかのように得意になるさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鬼の首を取ったよう」

大手柄を立てたかのように」得意になって喜ぶさまを表現した慣用句(ことわざ)です。「立てたかのように」とありますので、「ほかの人から見たら大したことない」ということが前提になっているのが、大事なポイントになります。

つまり、本当にすごい手柄を立てたときにはあまり使われない、ちょっと悪い意味の表現なのです。

「鬼の首を取ったよう」の語源は?

次に「鬼の首を取ったよう」の語源を確認しておきましょう。

」は昔から「怖いもの」「悪いもの」として扱われてきた存在です。そんな強くて怖い鬼をやっつけ、ましてや首を切り落とすなんてことは非常に大変なことですよね。それくらい「難しいこと」「できるはずないこと」を成し遂げたかのように振る舞う人に対する皮肉として、この表現が生まれたと言われています。

いい意味としては使われませんので、くれぐれも注意が必要です。

\次のページで「「鬼の首を取ったよう」の使い方・例文」を解説!/

「鬼の首を取ったよう」の使い方・例文

「鬼の首を取ったよう」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.先生のちょっとした間違いを指摘した彼は、鬼の首を取ったように得意げな態度だ。
2.トーナメントの1回戦に勝利して、みんな鬼の首を取ったように喜んでいる。
3.やっとのことでトンボを捕まえた弟は、鬼の首を取ったようにはしゃいでいる。

例文を読むと、どれも言い手の「そんな大したことでもないのに…」という心の声が聞こえてくれば、正しい解釈ができています。もちろん、主語である人たちは素直に嬉しくて喜んでいるので、本人に伝えるかどうかは相手との関係性にもよるかもしれませんね。

周りから見れば大袈裟に思えても、本人は多くの失敗や努力を乗り越え、やっとのことでその成功をおさめたのかもしれません。安易に口に出せば傷つけることもある表現ですので、使い方には注意するようにしましょう。

「鬼の首を取ったよう」の類義語は?違いは?

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続いて、「鬼の首を取ったよう」の類義語について見てみましょう。ここでは「鬼」という言葉を含んだ慣用句やことわざを紹介していきます。

「鬼」は「怖いもの」「強いもの」「恐ろしいもの」として昔から扱われてきたと、先ほどお話ししました。そんな存在として、慣用句やことわざに多く登場しますので、合わせて理解しておくようにしましょう。

その1「鬼の目にも涙」

あわれむ心を少しももたないようなひどい人でも、ときには情け深くなることがある」ということのたとえです。「怖い」「恐ろしい」そんな鬼ですら涙を流して感動したり、悲しくて涙を流すことがある、そんな状況を想像してできた表現になります。

これも日常的に使うには注意が必要です。例えば、めったに泣かない人が感動して泣いている場面で「鬼の目にも涙、だね」なんて言えばきっと相手は怒るでしょう。心の中に浮んだとしても、あまり口に出すことはお勧めしません。

\次のページで「その2「鬼の居ぬ間に洗濯」」を解説!/

その2「鬼の居ぬ間に洗濯」

なんとなく意味はわかるけれど、なんで洗濯?という疑問が浮かぶ人が多いと思います。実は「洗濯」は、衣類の汚れを洗ってきれいにすることだけではなく、「心にたまったつらい思い出を忘れ去り、さっぱりした気持ちになること」を指す表現でもあるのです。後者の意味で「命の洗濯」なんて言い方をされることもあります。

鬼の居ぬ間に洗濯」は、「怖い人がいない間に急いで家事をする」という意味ではありません。「遠慮する人のいない間に、命の洗濯をする」つまり「思う存分心をくつろげること」を指すおもしろい表現です。

ちなみにこれも、同居人などに直接伝えると気まずくなると思いますので、注意してくださいね。

その3「鬼に金棒」

ただでさえ強い鬼に金棒を持たせると、さらに強くなるということから「強い上にもさらに強さが加わることのたとえ」として使われます。他の言葉よりもイメージがしやすい表現かもしれません。

また、こちらは他の表現と比べて、相手に伝えても不快にさせない表現です。「君がそれを持ったら鬼に金棒だね」と言えば、「あなたはもともと優れているのに」という前提を持った、相手に対するリスペクトのこもった表現になります。

「鬼の首を取ったよう」の対義語は?

対義語の定義が難しい表現ですが、反対の意味のニュアンスに近いことわざをを紹介します。

「能ある鷹は爪を隠す」

本当に実力や才能のある人は、ふだん人には見せびらかさない」というたとえです。獲物を狩るのが上手い鷹は、普段鋭い爪を隠しているということから、謙虚な姿勢を示す表現として使われます。「鬼の首を取ったよう」は「成果」や「手柄」を大袈裟に喜ぶことを指す表現であるため、少し意味がずれるかもしれませんが、「人にひけらかさない」という意味で、対義語として強いて挙げました。

「鬼の首を取ったよう」の英訳は?

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最後に、「鬼の首を取ったよう」の英語表現について見ていきましょう。

わかりやすい日本語に置き換えてから英訳しよう

慣用句を英訳する場合は、言葉通りに訳してしまうと本来の意味が伝わりません。「鬼の首を取ったよう」の意味は「めったにないような成果を挙げたかのように大得意になること」ですので、これを地道に英語に訳していく必要があります。

言い回しは1つではありませんが、「〜のように」という意味の「as if」からスタートし、「accomplish(成し遂げる)」や「feat(偉業)」といった単語を使って表現することがおすすめです。以下の例文を用意しておりますので、ぜひチェックしてみてください。

\次のページで「「鬼の首を取ったよう」を使いこなそう」を解説!/

When the child caught a dragonfly, he was happy as if he had accomplished a great feat.
こどもはとんぼを捕まえて、鬼の首をとったように喜んだ。

「鬼の首を取ったよう」を使いこなそう

この記事では「鬼の首を取ったよう」の意味・使い方・類語などを説明しました。

人の微妙な心理を「鬼」を使ってたとえた表現です。自分は何か成し遂げて嬉しい!と喜んでいるつもりが、周りからみると「鬼の首を取ったよう」だと思われていることもあるかもしれない、ということですよね。よくよく考えると「よくこんなたとえが思い付いたなあ」と感心させられるところに、慣用句やことわざの面白さがあると思います。

「鬼」をつかった表現は他にもたくさんありますので、お時間があればぜひ一度調べてみてくださいね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「鬼の首を取ったよう」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員ライターがわかりやすく解説!

この記事では「鬼の首を取ったよう」について解説する。

端的に言えば鬼の首を取ったようの意味は「功名を上げたように振る舞うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員ライターのminを呼んです。一緒に「鬼の首を取ったよう」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターとして活動中。

「鬼の首を取ったよう」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「鬼の首を取ったよう」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鬼の首を取ったよう」の意味は?

「鬼の首を取ったよう」には、次のような意味があります。

鬼(おに)の首(くび)を取(と)ったよう
大変な功名・手柄を立てたかのように得意になるさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鬼の首を取ったよう」

大手柄を立てたかのように」得意になって喜ぶさまを表現した慣用句(ことわざ)です。「立てたかのように」とありますので、「ほかの人から見たら大したことない」ということが前提になっているのが、大事なポイントになります。

つまり、本当にすごい手柄を立てたときにはあまり使われない、ちょっと悪い意味の表現なのです。

「鬼の首を取ったよう」の語源は?

次に「鬼の首を取ったよう」の語源を確認しておきましょう。

」は昔から「怖いもの」「悪いもの」として扱われてきた存在です。そんな強くて怖い鬼をやっつけ、ましてや首を切り落とすなんてことは非常に大変なことですよね。それくらい「難しいこと」「できるはずないこと」を成し遂げたかのように振る舞う人に対する皮肉として、この表現が生まれたと言われています。

いい意味としては使われませんので、くれぐれも注意が必要です。

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