この記事では「機に臨み変に応ず」について解説する。

端的に言えば、機に臨み変に応ずの意味は「臨機応変」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「機に臨み変に応ず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「機に臨み変に応ず」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速、「機に臨み変に応ず」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「機に臨み変に応ず」の意味は?

「機に臨み変に応ず」は、ことわざ・故事成語・慣用句です。次のような意味があります。

その時、その場に応じて適切な処置をとる。臨機応変。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「機(き)に臨み変に応ずる」

「機に臨み変に応ず」は、きにのぞみへんにおうずる、と読みます。

意味は、事前の計画にとらわれることなく、その場やその時に応じて適切に処置すること臨機応変に行うこと機に応じるなどです。

「機に臨み変に応ず」の語源は?

次に、「機に臨み変に応ず」の語源を、確認しておきましょう。

「機に臨み変に応ず」は、古代中国の歴史書『南史』に残されている、梁(りょう)の総司令官で皇帝の信頼も厚かった蕭明(しょうめい)が将軍たちに対し、「吾自ら機に臨みて変を制す。多言する勿れ」と語ったことが、言葉の由来です。

この文章の意味は、自分状況に応じて自分自身でうまく抑えられる、だから余計なことは言わないように、となります。

臨機応変も同じです。随機応変と言うこともあります。ちなみに、「臨機」は時と場合に応じて適切な処置を取ること、「応変」はその場の状況や思いがけない事に対応して適切な対処を行うことです。

\次のページで「「機に臨み変に応ず」の使い方・例文」を解説!/

「機に臨み変に応ず」の使い方・例文

「機に臨み変に応ず」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、例えば、以下のように用いられます。

1.会社の部下たちに、機に臨み変に応ずの対応と手段を提案した。
2.日本の企業から現地の事務所に駐在する社員に対し、機に臨み変に応ずの運用とのお達しが来た。
3.表向きには、機に臨み変に応ず、融通をきかすのが不可欠だ。

それでは、それぞれの例文について、解説していきます。

例文1は、臨機応変という意味で、その感覚での対応と手段を提案するといった文章の流れです。例文2も、臨機応変に運用せよとの意味。

例文3も同様の意味で、その場の状況や時と場合により、適切な対応を取ることの意味で用いられています。

「機に臨み変に応ず」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

次に、「機に臨み変に応ず」の類義語(類語)について。

類義語は、臨機応変をはじめ、融通をきかせる当意即妙機転をきかせる柔軟に対応するなどがあります。

その1「機転をきかせる」

「機転をきかせる」「機転」(気転)は、その場に応じた機敏な心の働かせ方という意味です。

これが例えば、「機転がきく」「機転をきかす」といった使い方をします。「機に臨み変に応ず」(臨機応変)とも、よく似た意味です。

\次のページで「その2「融通をきかせる」」を解説!/

その2「融通をきかせる」

「融通をきかせる」は、臨機応変にその場に適した対応をするという意味です。どちらかというと「融通がきく」のほうがよく使われます。

また、「融通が利かない」というのも、頻繁に使われる言葉です。まったく逆の意味合いとなり、つまり、頑固や杓子定規といった意味になります。

その3「当意即妙」

「当意即妙」は、即座にその場に適した機転をきかせるという意味の四字熟語。または、気が利くことです。

仏教語である「当位即妙」が語源であり、この言葉の意味は、何事もそのままで真理や悟りにかなっていること。「当意即妙の答え」といった使い方をします。

「機に臨み変に応ず」(臨機応変)も、ほぼ同じような意味なので、類義語です。

「機に臨み変に応ず」の対義語は?

「機に臨み変に応ず」(臨機応変)の対義語(反対語)も、確認しておきましょう。

対義語は、杓子定規堅物頑固四角四面などがあります。

その1「杓子定規」

「杓子定規」は、しゃくしじょうぎと読み、いつでもなんでも、同じ基準や考え方、規則(ルール)などによって物事を処理したり、判断しようとしたりし、つまり、融通がきかないことを指します。

もともと、曲がっている杓子を定規代わりにする、正しくない定規で計測することが、この言葉の由来。例えば、「杓子定規な考え方」といった使い方をします。

その2「四角四面」

「四角四面」は、四角形や真四角のことをさし、これが転じて、堅苦しい厳格とてもかしこまっていることのたとえとして使われます。

例えば、「四角四面なあいさつ」「四角四面な対応」といった使い方が一般的。真四角だと「四角四面な家」といった使い方です。

「機に臨み変に応ず」の英訳は?

image by iStockphoto

さらに、「機に臨み変に応ず」の英訳も、確認しておきましょう。

「機に臨み変に応ず」をそのまま英語に訳そうと検索しても、なかなか出てきません。同じ意味の臨機応変で調べると、resourcefulness が直訳です。

その他、as occasion may demandaccording to circumstances などの英語表現もあります。

\次のページで「「resourcefulness」」を解説!/

「resourcefulness」

resourcefulness は、機知や機略に富む、また、高い処理能力を有するという意味の英単語です。

「機に臨み変に応ず」(臨機応変)という意味だけでなく、やりくり上手、見識があるなどの意味にもなります。

その他の「機に臨み変に応ず」(臨機応変)に関する英語表現の例文も、いくつか見ていきましょう。

・He rise to the occasion today.

彼は今日、機に臨み変に応ず(臨機応変)の対処をする。

・Please act according to circumstances about this projects.

このプロジェクトについて、場合によっては機に臨み変に応ず(臨機応変)の処置をしてください。

・She has a talent for accommodating herself to circumstances.

彼女には、機に臨み変に応ず(臨機応変)の才能がある。

・opprtunism / time-serving

臨機応変主義

「機に臨み変に応ず」を使いこなそう

この記事では、「機に臨み変に応ず」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「機に臨み変に応ず」は、臨機応変と語源が同じ、意味も同じ言葉です。その場所や時に応じて適切な対処を行うという意味になります。

語源が、古代中国の歴史書『南史』で、故事成語でもあり、由緒ある言葉であるのも覚えておきましょう。

" /> 【ことわざ】「機に臨み変に応ず」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【ことわざ】「機に臨み変に応ず」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説!

この記事では「機に臨み変に応ず」について解説する。

端的に言えば、機に臨み変に応ずの意味は「臨機応変」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「機に臨み変に応ず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「機に臨み変に応ず」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速、「機に臨み変に応ず」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「機に臨み変に応ず」の意味は?

「機に臨み変に応ず」は、ことわざ・故事成語・慣用句です。次のような意味があります。

その時、その場に応じて適切な処置をとる。臨機応変。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「機(き)に臨み変に応ずる」

「機に臨み変に応ず」は、きにのぞみへんにおうずる、と読みます。

意味は、事前の計画にとらわれることなく、その場やその時に応じて適切に処置すること臨機応変に行うこと機に応じるなどです。

「機に臨み変に応ず」の語源は?

次に、「機に臨み変に応ず」の語源を、確認しておきましょう。

「機に臨み変に応ず」は、古代中国の歴史書『南史』に残されている、梁(りょう)の総司令官で皇帝の信頼も厚かった蕭明(しょうめい)が将軍たちに対し、「吾自ら機に臨みて変を制す。多言する勿れ」と語ったことが、言葉の由来です。

この文章の意味は、自分状況に応じて自分自身でうまく抑えられる、だから余計なことは言わないように、となります。

臨機応変も同じです。随機応変と言うこともあります。ちなみに、「臨機」は時と場合に応じて適切な処置を取ること、「応変」はその場の状況や思いがけない事に対応して適切な対処を行うことです。

\次のページで「「機に臨み変に応ず」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: