この記事では「唆す」について解説する。

端的に言えば唆すの意味は「仕向ける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「唆す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「唆す」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 28748124

それでは早速「唆す(そそのかす)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「唆す」の意味は?

「唆す」には、次のような意味があります。

1.その気になるように仕向ける。特に、おだてて悪いほうへ誘い入れる。
2.早くそうするように勧める。せきたてる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「唆す」

「唆す(そそのかす)」とは“おだてて誘い入れること”“せきたてる”という意味を持つ言葉。基本的に、相手を悪いことへ促す際に用いる言葉で、悪事へ誘い込む状況などで使われます。

なお「唆す」の読み方は「そそのかす」です。ほかにも「嗾す」と書くことも可能ですが、常用漢字である「唆」が一般的に用いられます。

「唆す」の語源は?

次に「唆す」の語源を確認しておきましょう。「唆す(そそのかす)」は、「そそ」「退かす(どかす)」という二つの言葉が由来と言われています。

「そそ」とは“急かす”という意味。また「退かす」は“他の場所へ移す”という本来の意味から転じて、“行かせる”という意味を持っています。この二つが組み合わさることで“急かして(どこかへ行かせるように)仕向ける”という意味になり、「そそのかす」となったのです。

また「唆」という字の成り立ちも確認しておきましょう。この「唆」の左側はくちへん。そして右側の上部は“頭の秀でた人”を、右側の下部は“下向きの足”を表す象形文字で成り立っています。つまり“頭の秀でた人が何度も往復しては何かを伝えている”という状況を表したのが「唆」という漢字です。

これらのことから「唆す」という言葉が生まれたと言われています。

\次のページで「「唆す」の使い方・例文」を解説!/

「唆す」の使い方・例文

「唆す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.最近SNS上で若者を唆し、犯罪行為に加担させるグループがあるらしい。
2.真面目な性格の彼女がそんな不正をしただなんて、誰かに唆されたのではないかと思ってしまう。
3.訪問販売の営業に唆され、祖父は霊的な効果があるという高額商品をいくつも購入してしまった。
4.無知な子どもを唆して盗みをさせるなんて、卑劣な行動に腹が立った。
5.どうしてこんなことをしてしまったのか。僕は自分のなかにいた悪魔に唆されてしまったんだ。

「唆す」は誰かを仕向けたりせきたてたりする言葉。そのため状況が悪い方向へと進む時に用いられます。

ただし、「唆す」側に悪意があったかどうかはわかりません。必ずしも悪意があるとは限らず、悪意があったとしても認めないこともあるでしょう。そのため「唆す」は例文2~3のように「唆された」と受け身で使うことも多くあります。

また、例文5のように“自身に対して”使用することも可能です。

「唆す」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

続いて「唆す」の類義語にあたる言葉についても見ていきましょう。

その1「誘惑する」

「誘惑(ゆうわく)」とは、“人の心を迷わせて誘い込む”こと。良くないことへと誘い込むときにも用いられる言葉です。

“他人を迷わせて悪い道に引き込む”という意味において「誘惑する」は「唆す」と似た意味を持っています。ただし「唆す」は“相手がその気になるように動かす”というニュアンスが強い一方で、「誘惑する」は“自身の価値観に引き込む”というニュアンスが強い言葉です。状況に応じて使い分けるといいでしょう。

\次のページで「その2「けしかける」」を解説!/

その2「けしかける」

「けしかける」には“相手をおだて自分の思う通りのことをさせる”という意味があります。“相手をおだてて行動を仕向ける”という点では「けしかける」も「唆す」の類義語と言えるでしょう。

ただし「けしかける」は“相手の思う通り”のことが必ずしも“悪事”であるとは限りません。また「けしかける」は“勢いづけて相手を攻撃させる”という意味も持っています。そのため、「唆す」にくらべ、やや攻撃的な印象が強い言葉です。

「唆す」の対義語は?

次に「唆す」の対義語を考えてみましょう。「唆す」とは“相手をおだて仕向けて悪い方に誘う”こと。つまり“相手を指摘して改善させる”ことは、反対の意味と言えそうです。

ここではそのような意味を持つ言葉を「唆す」の対義語として紹介します。

「諫める」

「諫める(いさめる)」とは、“相手の過ちや悪い点を指摘し、改めるように忠告する”こと。主に目上の人に対し使われます。

相手をおだてて悪事を促す「唆す」に対し、相手の過ちを指摘して改善させる「諫める」は反対の意味と言えるでしょう。

「唆す」の英訳は?

image by iStockphoto

最後に「唆す」の英語訳についても説明します。

「egg on」

「egg on」とは、“唆す”という意味を持つイディオム。「egg」は“卵”という単語ですが、このイディオムではそのような意味は持ちません。

「egg someone on to do」「(人)に~するよう唆す」という意味になり、特に“軽率な行為”に対して“人が何かをさせるようけしかけて誘導する”という意味があります。日本語の持つ「唆す」のニュアンスに非常に近く、この表現であれば充分伝わるでしょう。

\次のページで「「唆す」を使いこなそう」を解説!/

「唆す」を使いこなそう

この記事では「唆す」の意味・使い方・類語などを説明しました。「唆す」は古くから存在した言葉で、今でもみられる行為です。誰かに惑わされて唆されることのないよう、そして意図せず唆した結果にならないよう、日常生活では注意したいものですね。

" /> 「唆す」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「唆す」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「唆す」について解説する。

端的に言えば唆すの意味は「仕向ける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「唆す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「唆す」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 28748124

それでは早速「唆す(そそのかす)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「唆す」の意味は?

「唆す」には、次のような意味があります。

1.その気になるように仕向ける。特に、おだてて悪いほうへ誘い入れる。
2.早くそうするように勧める。せきたてる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「唆す」

「唆す(そそのかす)」とは“おだてて誘い入れること”“せきたてる”という意味を持つ言葉。基本的に、相手を悪いことへ促す際に用いる言葉で、悪事へ誘い込む状況などで使われます。

なお「唆す」の読み方は「そそのかす」です。ほかにも「嗾す」と書くことも可能ですが、常用漢字である「唆」が一般的に用いられます。

「唆す」の語源は?

次に「唆す」の語源を確認しておきましょう。「唆す(そそのかす)」は、「そそ」「退かす(どかす)」という二つの言葉が由来と言われています。

「そそ」とは“急かす”という意味。また「退かす」は“他の場所へ移す”という本来の意味から転じて、“行かせる”という意味を持っています。この二つが組み合わさることで“急かして(どこかへ行かせるように)仕向ける”という意味になり、「そそのかす」となったのです。

また「唆」という字の成り立ちも確認しておきましょう。この「唆」の左側はくちへん。そして右側の上部は“頭の秀でた人”を、右側の下部は“下向きの足”を表す象形文字で成り立っています。つまり“頭の秀でた人が何度も往復しては何かを伝えている”という状況を表したのが「唆」という漢字です。

これらのことから「唆す」という言葉が生まれたと言われています。

\次のページで「「唆す」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: