この記事では「慚愧」について解説する。

端的に言えば慚愧の意味は「恥じること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「慚愧」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「慚愧」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「慚愧(ざんき)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「慚愧」の意味は?

「慚愧」には、次のような意味があります。

自分の見苦しさや過ちを反省して、心に深く恥じること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「慚愧」

「慚愧」は“恥じる”様子を表す言葉。古い読み方では「ざんぎ」ともしていましたが、現在は「ざんき」と読むのが一般的です。また「慚愧」を「慙愧」と表記することもありますが、「慚」と「慙」は同字であるため意味は変わりません。

あまり日常的に用いる言葉ではありませんが、ニュースや謝罪会見の場などで耳にすることもあるでしょう。「慚愧」は“恥じる”という意味ですが、この言葉は非常に重い響きを持っています。ただの反省ではなく重大な過ちに対し心から深く恥じている”という意味を持つため日常的に軽々しく用いる言葉ではないのです。使うべき場面や状況には注意をしましょう。

「慚愧」の語源は?

次に「慚愧」の語源を確認しておきましょう。「慚愧」とは元々は仏教用語であり、サンスクリット語の由来です。

自分自身の行動や罪に対して、「慚(ざん)」“自身に対して”恥じること、「愧(き)」とは自身の罪を“他人に対して”恥じることを意味します。つまり「慚愧」とは、自分の過ちを自分自身と他人に対して深く恥じる気持ちを表現しているのです。

\次のページで「「慚愧」の使い方・例文」を解説!/

「慚愧」の使い方・例文

「慚愧」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.弊社の人間がこのような事態を引き起こしてしまい、慚愧に堪えません。
2.謝罪会見で「慚愧の念に堪えない」と政治家が言っていたが、口先だけでないかとどうしても疑ってしまう。
3.今回の事件は私の不注意によるもので、慚愧の至りでございます。
4.自分の判断ミスで友人を事故に巻き込んでしまい、慚愧するばかりだ。

「慚愧」とは自分の行動に対して恥じ入ること。そのため大きな過ちや見苦しいことをしたときに「慚愧」を使用するのです。そのため日常会話よりはビジネスなど、責任が大きな場で使うことが多いでしょう。

また「慚愧」を用いる際は、例文1のように「慚愧に堪えない」という言い回しをよく用います。目上の人など敬語として使う場合は、例文2のように「慚愧の念に堪えない」という言い回しが一般的です。

さらに恥ずかしいと思う気持ちを強調する場合は、例文3のように「慚愧の至り」と表現します。「至り(いたり)」は“これ以上はない最高の状態”を示すため、“このうえなく慚愧している”という意味になるのです。

一方で「慚愧」は例文4のように「慚愧する」という言葉でも成立します。ただし「慚愧」は“自身の行い”に対する言葉のため、自分自身の言動に対してのみ使用が可能です。用いる際はニュアンスや状況には注意しましょう。

「慚愧」の類義語は?違いは?

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続いて「慚愧」の類義語についても確認していきます。

その1「後悔」

「後悔(こうかい)」とは“あとになって悔やむこと”を意味する言葉。一般的にもよく用いられます。行動を悔やむという意味合いで、「後悔」は「慚愧」の類義語のひとつです。

ただし「後悔」は悔やむだけで、反省や恥じるという意味は含まれていません。そのため「慚愧」に比べると、やや言葉の重みには欠けています。

\次のページで「その2「自責」」を解説!/

その2「自責」

「自責(じせき)」とは“自分で自身の過ちをとがめる”さま。あるいは“自分に責任があると考える”ことを表す言葉で、「自責の念に駆られる」などといった表現で使われます。

自身の行いを反省するという意味において「自責」も「慚愧」の類義語といえるでしょう。そしてこの「自責」の状態をさらに追い込んだ状態が「慚愧」となります。

「慚愧」の対義語は?

「慚愧」とは自身の行いを深く反省する様子を表します。そのため自身の過ちに対して反省しない様子は、「慚愧」とは対義語の関係と言えるでしょう。

ここでは「慚」「愧」それぞれに「無」の漢字をつけた「無慚」と「無愧」を、「慚愧」の対義語として解説します。

その1「無慚」

「無慚(むざん)」とは“罪を犯しても恥じない”こと。「慚」は自身に対して恥じ入ることを表すため、その心がない状態を「無慚」は表すのです。これは仏教では煩悩のひとつされています。

「慚」の念を失った「無慚」は、まさしく「慚愧」の対義語のひとつです。

その2「無愧」

「無愧(むぎ)」も、仏教の煩悩のひとつです。他者に対して自分の過ちを恥じる「愧」が無い「無愧」は“悪事をはたらいても恥ずかしいと思わないこと”を意味します。客観的に反省する様子がなく、世間体や人の思惑を気にしていない状態を指して使う言葉です。

「無愧」も「無慚」同様に、「慚愧」とは反対の状態を示す対義語と言えます。

「慚愧」の英訳は?

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最後に「慚愧」の英語訳についても説明します。

「shame」

「shame」とは“恥”を意味する英単語。とくに悪い行いなどに対する恥ずかしさ、というニュアンスを持っています。「慚愧」のニュアンスを示す場合は、英語ではこの表現がいいでしょう。

また「慚愧に堪えない」という言い回しをしたいときは「feelind deeply ashamed of oneself」などと表現することもできます。この「ashamed」は「shame」の形容詞のひとつであり“(自分の言動などを人に対して)恥じ入る”という意味です。これらの表現で、「慚愧」を英語でも表すことができます。

\次のページで「「慚愧」を使いこなそう」を解説!/

「慚愧」を使いこなそう

この記事では「慚愧」の意味・使い方・類語などを説明しました。「慚愧」は深い反省と恥じ入る様子を表現した言葉で、軽々しく用いる言葉ではありません。その分日常的に使うことはほとんどありませんが、いざという場面で使えると、深い気持ちを伝えることもできます。ニュアンスや状況に応じて使えるように、言葉のニュアンスや意味はしっかり抑えておくと良いでしょう。

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国語言葉の意味

「慚愧」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「慚愧」について解説する。

端的に言えば慚愧の意味は「恥じること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「慚愧」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「慚愧」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「慚愧(ざんき)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「慚愧」の意味は?

「慚愧」には、次のような意味があります。

自分の見苦しさや過ちを反省して、心に深く恥じること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「慚愧」

「慚愧」は“恥じる”様子を表す言葉。古い読み方では「ざんぎ」ともしていましたが、現在は「ざんき」と読むのが一般的です。また「慚愧」を「慙愧」と表記することもありますが、「慚」と「慙」は同字であるため意味は変わりません。

あまり日常的に用いる言葉ではありませんが、ニュースや謝罪会見の場などで耳にすることもあるでしょう。「慚愧」は“恥じる”という意味ですが、この言葉は非常に重い響きを持っています。ただの反省ではなく重大な過ちに対し心から深く恥じている”という意味を持つため日常的に軽々しく用いる言葉ではないのです。使うべき場面や状況には注意をしましょう。

「慚愧」の語源は?

次に「慚愧」の語源を確認しておきましょう。「慚愧」とは元々は仏教用語であり、サンスクリット語の由来です。

自分自身の行動や罪に対して、「慚(ざん)」“自身に対して”恥じること、「愧(き)」とは自身の罪を“他人に対して”恥じることを意味します。つまり「慚愧」とは、自分の過ちを自分自身と他人に対して深く恥じる気持ちを表現しているのです。

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