
その1「疑惑」
「疑惑」とは、隠されている不正や悪事がありそうだと疑うことです。会社経営者の不正帳簿疑惑、北朝鮮の核ミサイル開発疑惑などがこれに含まれます。そういえば『日本の黒い霧』を書いた松本清張にも『疑惑』という著書がありましたね。
その2「贈収賄」
「贈収賄」は主に政治家に金品を送って、その見返りになんらかの便宜を図ってもらおうと画策することです。例えば建設工事実施の計画がある場合、料理店などに政治家を招待し賄賂を手渡すことなどがそれに当たります。
かつて「国会の爆弾男」の異名を持つ社民連(当時)の楢崎弥之助氏が、リクルートコスモス社の未公開株譲渡問題を追及していた時期に、同社は楢崎氏に口封じのために賄賂を贈ろうとしました。その社員とのやり取りを録画し音声データとともに全国放送されたことがあり、それが契機となって自民党一党支配が崩れていったのです。
その3「疑獄」
「疑獄」とは、政治問題にまで発展した大がかりな贈収賄事件や、犯罪の事実がはっきりしないため有罪か無罪か判決を出しにくい裁判事件のことを言います。大概前者のことを指す場合が多いようです。
第二次世界大戦後の造船疑獄では政財界で多数の逮捕者を出し、当時自由党幹事長だった佐藤栄作氏も逮捕者のリストに載っていましたが、法務大臣が指揮権を発動し逮捕を免れました。
このほか有名な疑獄事件としては、元首相の田中角栄氏が逮捕されたロッキード疑獄、昭和電工を舞台にした昭電疑獄などがあります。
「黒い霧」の対義語は?
「黒い霧」の対義語は普通「白い霧」となるのでしょうが、ここで解説している「黒い霧」とは贈収賄などの不正行為を比喩する言葉です。そう考えると次に紹介する言葉が対義語と言えるでしょう。
その1「清廉潔白」
「清廉潔白」とは、心が清らかでやましいことが一切ないことです。「清廉」は清く正しいことで、「潔白」は心や行動にやましさや汚れがないことを意味します。国民を疑心暗鬼に陥らせ政治への不信感を抱かせた「黒い霧」とはまったく逆の言葉だと言えるでしょう。
その2「青天白日」
「青天白日」も「清廉潔白」と同じような意味で、心に一点の曇りもないことです。転じて無実が証明されて晴れ晴れした心の内を表した言葉となりました。今の政治家に「清廉潔白」や「青天白日」を求めるのは無理な相談でしょうか。
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