
「黒い霧」の語源は?
次に「黒い霧」の語源を確認しておきましょう。この言葉は推理作家・松本清張のノンフィクション『日本の黒い霧』が由来になっています。昭和20(1945)年8月のポツダム宣言受諾から、日本が独立を回復するまでの6年8か月の間に起きた一連の怪事件を指した言葉で「黒い霧」という言葉が流行語になるほどの社会現象になりました。
同書に収録されている事件は、当時の国鉄(現在のJR)総裁・下山定則轢死事件、昭和電工・造船汚職、帝銀事件などです。これらはすべてGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)支配下の日本で起こった事件で、当時「黒い霧」と言えば、一連の事件に潜むアメリカの陰謀を比喩した言葉でした。それが徐々に不祥事や汚職事件を表す言葉に変化していったのです。
「黒い霧」の使い方・例文
「黒い霧」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、例えば以下のように用いられます。
1.松本清張の著書『日本の黒い霧』は文藝春秋社で発表され、以後同社の「文春ジャーナリズム」の先駆けとなった。
2.「黒い霧」というキーワードは、あらゆる不祥事に使うことが可能な便利な言葉だ。
3.黒い霧事件はまだ一部しか解明されておらず、今後もいろいろな疑惑・不祥事が続けば、再び「黒い霧」というフレーズがマスメディアの見出し語として紙面を飾る回数が増えていくかもしれない。
松本清張の『日本の黒い霧』にはGHQ占領下での日本国内における怪事件が満載です。タイトルを変更したものを含め「下山総裁謀殺論」「運命の『もく星号』」「謀略疑獄ーその氷山の一角」「北の疑惑ー白鳥事件」「画家と毒薬と硝煙ー再説帝銀事件」その他の項目が並んでおり、その概要を知るだけでも昭和史の一部を知るヒントとなるでしょう。
「黒い霧」の類義語は?違いは?

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ここでは「黒い霧」の類義語を見ていきましょう。一般的に不祥事や不正を表す言葉ですからたくさんあります。ここではその一部を紹介しましょう。
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