この記事では「後ろ盾(うしろだて)」について解説する。
端的に言えば、後ろ盾の意味は「陰にいて支援する人」です。新聞やテレビで見たことがあるでしょう。ビジネスシーンでも使われる言葉です。類義語もいろいろあるからあわせて覚えておこう。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「後ろ盾」の意味をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「後ろ盾」の意味・語源・使い方

image by iStockphoto

さっそく「後ろ盾」の意味をチェックし、例文で使い方を見ていきましょう。

「後ろ盾」の意味

まず、辞書で「後ろ盾」の意味をチェックしましょう。

1 《2が原義》陰にあって力を貸し、助けること。また、その人。後ろ見。
2 背後を守る盾。後ろを防ぐもの。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「後ろ盾」

「盾」は「石や矢や剣などによる敵の攻撃から身を守るための武具」のこと。「後ろ盾」「背後からの攻撃を防ぐ盾」のことです。転じて「陰にあって力を貸し、助けること」「陰にあって力を貸したり助けたりする人」という意味になりました。

「後ろ盾」の使い方

例文で「後ろ盾」の使い方を見ていきましょう。

\次のページで「「後ろ盾」の類義語」を解説!/

1.最年少の新人候補だった彼女が当選できたのは、大物議員である祖父の後ろ盾があったからだ。
2.次期社長は、社長の派閥にいる彼に違いないと思われていたが、社長が急逝して後ろ盾がなくなったため、後任人事の行方は混とんとしている。

最初の例文は、大物政治家である祖父の後ろ盾があったからこそ、若くて新人の彼女が選挙で当選できたという意味です。祖父から受け継いだ地盤(後援会)がなければ、たとえすばらしい資質を持っていたとしても新人の彼女が当選するのは難しいでしょう。

2番目の例文は、彼を次期社長として後押ししていた社長が亡くなって、誰が次期社長になるのかわからなくなったということです。本人の能力や熱意も大事ですが、大きなポジションに抜擢されるためには後ろ盾が必要なようですね。

「後ろ盾」の類義語

image by iStockphoto

「後ろ盾」と同じような意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。力を貸したり助けたりといっても、その方法やシチュエーションはさまざま。金銭的な援助をしたり、物事がうまくいくように便宜を図ったり、応援したり、いろいろな類義語がありますよ。

「後援」:後ろ盾になる

「後援」「仕事や計画の後ろ盾となり、資金などを提供したり便宜を図ったりしてうまくいくように助けること」です。「後方に控えている援助の軍勢」という意味もあります。「後援する人」は「後援者」、「後援者の団体」は「後援会」ですね。「後援会」は、芸能人やスポーツ選手、政治家などを応援したり、支持したり、資金の援助をしたり、後援者同士の親睦を深めたりする団体です。

「後押し」「尻押し」:背後から助ける

荷車は荷物を運ぶための道具で、引いて運びますが、荷物が重いときは同時に後ろから押して運びます。「後押(あとお)し」は「荷車を後ろから押して助けること」。転じて「助力となる」「後援」という意味になりました。

「尻押し」は「後ろから人の尻を押すこと」です。そこから転じて「背後にいて人を援助すること」「背後にいて人を援助する人」という意味になりました。

\次のページで「「パトロン」「谷町(たにまち)」:芸術家やアスリートの支援者」を解説!/

「パトロン」「谷町(たにまち)」:芸術家やアスリートの支援者

「パトロン」「芸術家を経済的に支援したり、庇護したりする人」です。昔は王侯貴族がパトロンになっていました。異性への経済的な援助をして、生活の面倒をみる人のことも「パトロン」といいますね。

「相撲で、力士のひいき筋や後援者のこと」「谷町」といいます。「谷町」は大阪の谷町筋という地名です。谷町筋の医者が相撲好きで、力士からは治療費を取らなかったことに由来した言葉ですよ。

「スポンサー」「エンジェル」:金銭的な援助をする人

「スポンサー」は「民間放送で番組を提供する広告主」という意味のほうが、なじみ深いかもしれませんが、「事業に資金を出してくれる人」「出資者」という意味があります。資金だけでなく物品やサービスを提供して支援することもありますよ。

「エンジェル」は「天使」ですが、金融関係の用語でもあるのです。「経営基盤が弱く、資金調達が困難な創業期のベンチャー企業に投資する個人投資家のこと」を「エンジェル」といいます。資金を提供するだけでなく、経営についてのアドバイスもして、企業を支援しますよ。

「後ろ盾」の英訳

image by iStockphoto

次は英語で「後ろ盾」をどのように表現するか見ていきましょう。

「backing」:後援

「backing「援助」「後援」「支援」などの意味があります。「backing of public opinion」は「世論の支持」、「financial backing for a project」は「プロジェクトへの経済的援助」「government backing」は「政府の後ろ盾」です。a backer「後援者」「支持者」という意味ですよ。

「support」:支援

「supportは動詞で「支える」「支援する」、名詞で「支援」「援助」「支援者」「後援者」などの意味があります。「support a boom」は「ブームを後押しする」、「support a local community」は「地域社会を支援する」、「support a political party」は「政党を支持する」という意味です。

「a supporter」はスポーツチームのサポーターだけでなく、「支持者」「後援者」という意味もあります。サポートもサポーターも日本語の中に定着していますね。

\次のページで「「後ろ盾」を使いこなそう!」を解説!/

「後ろ盾」を使いこなそう!

この記事では、「後ろ盾」の意味を調べ、使い方や類義語などを解説しました。

「後ろ盾」「背後からの攻撃を防ぐ盾」のこと。転じて「陰にあって力を貸し、助けること」「陰にあって力を貸したり助けたりする人」という意味になりました。

「後ろ盾」のおかげで役職につけたとしても、その役割が果たせるかどうかは本人の実力しだい。「後ろ盾」がないことを嘆くより、後押ししたいと思われるような能力と魅力を持った人物になれるように励みましょう。

" /> あったらうれしい?「後ろ盾」の意味・類義語などを日本放送作家協会会員がわかりやすく解説 – Study-Z
国語言葉の意味

あったらうれしい?「後ろ盾」の意味・類義語などを日本放送作家協会会員がわかりやすく解説

この記事では「後ろ盾(うしろだて)」について解説する。
端的に言えば、後ろ盾の意味は「陰にいて支援する人」です。新聞やテレビで見たことがあるでしょう。ビジネスシーンでも使われる言葉です。類義語もいろいろあるからあわせて覚えておこう。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「後ろ盾」の意味をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「後ろ盾」の意味・語源・使い方

image by iStockphoto

さっそく「後ろ盾」の意味をチェックし、例文で使い方を見ていきましょう。

「後ろ盾」の意味

まず、辞書で「後ろ盾」の意味をチェックしましょう。

1 《2が原義》陰にあって力を貸し、助けること。また、その人。後ろ見。
2 背後を守る盾。後ろを防ぐもの。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「後ろ盾」

「盾」は「石や矢や剣などによる敵の攻撃から身を守るための武具」のこと。「後ろ盾」「背後からの攻撃を防ぐ盾」のことです。転じて「陰にあって力を貸し、助けること」「陰にあって力を貸したり助けたりする人」という意味になりました。

「後ろ盾」の使い方

例文で「後ろ盾」の使い方を見ていきましょう。

\次のページで「「後ろ盾」の類義語」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: