
その2「行きがけの駄賃」
もう1つの類義語には、「行きがけの駄賃」ということわざが挙げられます。「行きがけの駄賃」とは「ゆきがけのだちん」と読み、「ある事をするついでに、自分の利益になるような別の事をすること」という意味です。「返す刀」と同様に、誰かを攻撃してその勢いで続けざまに別のものを攻撃するといった意味でも使われる事があります。
・ストレスが溜まっていたから、行き掛けの駄賃でドアを蹴り飛ばした。
・空き巣は行き掛けの駄賃で、テレビを壊していった。
・行き掛けの駄賃だ、こいつも盗んでいこう。
その3「便乗」

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「ついでに」という意味であれば、「返す刀」の類義語として「便乗」が挙げられます。「便乗」とは「びんじょう」と読み、「巧みに機会をとらえて利用すること」という意味です。しかし、「返す刀」と違い、便乗には「利用する」「利益を得る」というニュアンスが含まれています。
・海に潮干狩りの車が行くというので、近所の人が便乗するのかもしれない。
・近所の人も知っているぐらい有名なのがあったので、これに便乗しよう。
・「それなら私も」と、友人が手を挙げたので、僕も便乗して手を挙げた。
「返す刀」を使いこなそう
この記事では「返す刀」の意味・使い方・類語などを説明しました。「返す刀」は「あるものを攻撃した余勢をかって、間を置かずに他に攻撃の矛先を転じること」という意味です。「返す刀」はとても誤用が多い言葉になります。「物理的な複数への攻撃」「ついでに」「複数への人やものを追求する意味での攻撃」の3つの意味合いで使いましょう。類義語では、「便乗」「行きがけの駄賃」「二の矢」の3つが挙げられ、それぞれ意味やニュアンスに少し違いがあるため、上手く使い分けていきましょう。
「返す刀」は非常に誤用される事が多い言葉です。テレビや書籍などでも、誤って使われているのを見かける事もあります。例えば、「攻撃してきた男性を返す刀で攻めた」のように、反撃するという意味では使いません。他にも、「返す刀で逃げ出した」「相手に反論する」の比喩に使われる事も多いですが、全て間違いなので、誤用しないように注意しましょう。日常生活ではあまり耳にしない言葉ですが、小説やテレビで稀に耳にする言葉です。是非この機会に正しい意味と使い方を理解し、使いこなしていきましょう。