
1.返す刀で斬りかかり、敵を打ちのめした。
2.マスコミは富裕層を批判し、返す刀で貧困層をも非難した。
3.せっかく遠出してここまできたのだから、返す刀でもっと遠くへ行ってみようか。
これらの例文について1つ1つ詳しく見ていきましょう。
例文1は、「刃物で斬る」という意味での使い方です。「返す刀」という言葉を、時代劇や戦争映画で聞いた事があるという方もいるのではないでしょうか。近年では、ライトノベルやゲームで使われる事もありますが、少なくなったと感じます。複数の敵に囲まれた侍が、次々と相手を斬り倒していくシーンを思い浮かべると分かり易いです。1人倒してすぐに別の相手に斬りかかる。攻撃したらすぐに別の敵と対峙する、これを「返す刀」と言います。
例文2は、現代でよく使われる「返す刀」の表現です。物理的な攻撃ではなく、スキャンダルや政治へ追及するような攻撃も表現出来ます。この意味合いでも、必ず複数のものや人を相手に使いましょう。
一方で、例文3は全く「攻撃」という意味合いは一切入っていません。「ついでに」という意味合いで使っている例になります。例文3も全く問題ない使い方ですが、あまり見ない表現です。
「返す刀」の類義語は?違いは?

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「返す刀」には「あるものを攻撃した余勢をかって、間を置かずに他に攻撃の矛先を転じること」という意味がありました。そんな「返す刀」の類義語についても見ていきましょう。
その1「二の矢」
「返す刀」の類義語には、「二の矢」が挙げられます。「二の矢」は「にのや」と読み、「二度目に射る矢」という意味です。最初に放った矢の後に、続けて放たれる矢の事を言います。「返す刀」と近い意味を持っていますが、違いとしては「複数の相手を攻撃するとは限らない」点です。「二の矢」はあくまでも、攻撃を繰り返すだけであり、1つの相手に執拗に攻撃することを表現します。
・1つの漫画が運よくヒットしたとしても、二の矢が継げない漫画家は沢山見てきました。
・僕が考案した鉛筆は小学生の間で流行し、沢山売れたが二の矢が継げずに困っている。
・二の矢、三の矢を放つ
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