世界史中東の歴史

火を崇拝する宗教「ゾロアスター教」の歴史と教義について元大学教員が5分で解説

よぉ、桜木建二だ。ゾロアスターを開祖とする宗教で、火を神聖なものととらえるのがゾロアスター教。現在のイランを中心に勢力を拡大させたが、イスラム教の力が増すとともに衰えていった。それでも現在、イランやインドを中心に信奉している人々がいる。なかでも有名なゾロアスタ―教の信者がクイーンのボーカルのフレディ・マーキュリーの家族。映画「ボヘミアン・ラプソディー」では、ゾロアスター教の厳格性に反発するフレディの姿が描かれている。

現在の日本では馴染みが薄いので、どんな宗教か分からない人も多いだろう。そこで、ゾロアスター教の歴史と教義について、世界史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/ひこすけ

アメリカの文化や歴史を専門とする元大学教員。今は気になったことをきままに調べている。フレディ・マーキュリーの人生を描いた「ボヘミアン・ラプソディー」を観て、ゾロアスター教に興味を持った。世界史で習ったものの、実際はどのような宗教なのかはまったくの無知。そこで、ゾロアスター教の歴史や教義を調べてみた。

ゾロアスター教はイラン発祥の多神教

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ゾロアスター教は、イラン高原に住んでいた古代のアーリア人が信仰していた古代ペルシアに由来する宗教。「アヴェスター」と呼ばれる書物を聖典としています。宗教のジャンルは多神教。ミスラやヴァーユをはじめとする多様な神を信仰してしました。そのため一神教のキリスト教と対照的な位置にあります。

ゾロアスター教のルーツ

ゾロアスター教のルーツはイランやインドの神話に由来する様々な神です。イラン神話に登場する英雄的な神がミスラ。西アジアからギリシア・ローマまでおよぶ広い範囲で崇められていました。インドの神話に由来する風の神がヴァーユ。これらの多神教をもとに、ザラスシュトラが創設したのがゾロアスター教の原型です。

ゾロアスタ―教の勢力の大きさについてはさまざまな意見があり明確ではありません。アケメネス朝ペルシア時代、ほとんどのペルシア人がゾロアスター教を信仰していたという見方もあります。その一方、アーリア人が信仰していた複数の宗教のひとつで、それほど大きな力を持っていなかったという見方もありました。

ゾロアスター教が信奉するのは火

ゾロアスター教が尊ぶのは火。光は善のシンボルであるという考えからです。そこで別名で拝火教とも言われました。このような信仰携帯から、ゾロアスター教のすべての神殿には、ザラスシュトラが点火した火がずっと灯されており、信仰している人々はそれを拝みます。

ゾロアスター教にとって火とは、善すなわち清浄・正義・真理を象徴すると考えられてきました。このように火を信仰する宗教はゾロアスター教よりも前にありました。たとえばヴェーダ宗教。火の神であるアグニが火を通じて人間の祈りを天に届けると信じられていました。このような火の信仰はヒンドゥー教や密教に影響を与え、火をまつる儀式を定着させました。

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ユダヤ教でも火は重要なモチーフだ。たとえば神ヤハウェは、火のイメージで語られることが多い。「出エジプト記」では燃え盛る柴が登場。ヘブライ人を導く火の道が登場する場面もある。キリスト教の信仰の軸にある精霊も、炎のような存在として語られていたな。そのためゾロアスター教の火を尊ぶ信仰は決してマイナーなものではない。

ゾロアスター教の聖典「アヴェスター」とは?

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聖典とは、神、信仰の対象、成人などの言葉やふるまいが書かれたもの。あるいは、信仰の基礎となる教えが書かれていることもあります。世界にはさまざまな宗教があり、それぞれ独自の聖典がありますが、ゾロアスター教の聖典は独特な経緯を経て成立しました。

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