この記事では「ほいほい」について解説する。
端的に言えば「ほいほい」の意味は「人や動物を追い立てる掛け声、気軽に軽率に物事をするさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「ほいほい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「ほいほい」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 73575874

それでは早速「ほいほい」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ほいほい」の意味は?

「ほいほい」には、次のような意味があります。

[1] 〘感動〙

① 牛や馬をせきたてるときに発する語。

② 人を呼ぶときに発する語。

③ 軽い気持で相手のすることを受けたり、応答したりするときに発する語。

[2] 〘副〙 軽い気持で調子よく物事をするさまを表わす語。

出典:コトバンク

「ほいほい」は相手の要求をそのまま二つ返事でかなえてやる様子を表し、調子のよさの暗示があります。「ほれほれ」にも似ていますが、「ほれほれ」は主体が手を尽くして相手をもてなす様子を表し、主体が上機嫌になっている暗示がありますよ。

「ほいほい」の語源は?

次に「ほいほい」の語源を確認しておきましょう。語源を確認する前に、ゴキブリと言えば某製薬会社の製品「ゴキブリホイホイ」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ダイレクトに駆除してくれる殺虫スプレーとは違って、いつの間にかごきぶりがシートの上におさまっている優れもの。ロッカールームやスタッフルームなどで見かけることも多いですよね。漢字で「ほいほい」は「歩意歩意」と書きます。それでは「歩」と「意」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「歩」は右と左の足跡が前と後ろに並んでいる様子を描いた字。互い違いに足を踏み出すことから「歩く」意味を表します。また、「意」は心と気がいっぱい満ちて塞がる意味の音を示す「音」とを合わせた字。気持ちがいっぱいに満ち塞がることから、心に「思う」「考える」意味を表しますよ。

\次のページで「「ほいほい」の使い方・例文」を解説!/

「ほいほい」の使い方・例文

「ほいほい」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.コインロッカー横に設置されてある多機能トイレで盲導犬は一旦立ち止まった。車椅子の男性が手の甲を差し出したら盲導犬はそれを合図に後をほいほいと付いていった。

2.賃貸物件の案内を頼んだだけなのに、不動産屋に新築マンションと中古の戸建てをほいほい勧められたわ。大塚はお手頃価格ですって。

3.開園時間を間違えた夫は、ベビーカーを押しながらイベントパークの園内をほいほい歩きまわったらしいわ。

例文1のように訓練された盲導犬の動作には目を見張るものがあります。例文2はいずれは購入を検討していると話したことがきっかけで、思わぬ買い物をすることになりそうですね。また、例文3からはおっちょこちょいの旦那さんがパーク内をウロウロしている様子が伺えます。

「ほいほい」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 68895806

「ほいほい」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「あっさり」

「あっさり」は物事が簡単に決着がつく様子を表す表現。例えば「羽生先輩に一番挑んだがあっさり負けてしまった」「彼女に結婚を申し込んだらあさっりと断られた」「その小学生は難問をあっさり解いた」などのように単独でまたは「と」が付いて述語にかかる修飾語になりますよ。また、物事が予想に反して簡単に決着がつくことについて物足りなさの暗示があります。この「あさっり」は「すんなり」に似ていますが、「すんなり」は物事が抵抗なく進行・成就する様子を話者が意外性の暗示を伴って述べますよ。なお「ほいほい」との違いは「ほいほい」は調子のよさの暗示があるという点です。

\次のページで「その2「易しい」」を解説!/

その2「易しい」

「易しい」は「日常会話にはやさしい中学生英語で十分だ」「人の欠点を批判するだけならやさしいことだ」などのように労力や能力を必要としない様子を表す形容詞「易しい」は客観的な容易さを暗示し、行為の主体にとっても受け手にとっても容易であることを意味する点で、おもに行為の主体にとって容易であることを暗示する「容易い」と異なります

容易であるという意味では「造作ない」「わけない」などにも似ていますが、「造作ない」「わけない」には対象の解決や理解が容易であることについて気軽さや侮蔑の暗示があるのに対して、「易しい」は客観的で特定の感情は原則として暗示されていません。ちなみに「ほいほい」との違いは、「ほいほい」は相手の要求をそのまま二つ返事でかなえてやる様子を表すという点です。

その3「やすい」

「やすい」は労力や能力を必要としない様子を表します。ただし、とてもかたい文章語で単独で用いる時は「言うはやすく行うは難し」のことわざの形か、「彼を説得するなんておやすいことだ」の「お安い」の形に限られますよ。前者は口で言うのは簡単だが実行するのは難しいという意味のことわざ。例えば「彼はおだてにのりやすい」は動詞の連用形について「容易に…する、…しがちである」という意味を表します。

「容易に…する」という意味の時はややプラスイメージですが、「…しがちである」という意味の時はややマイナスイメージになりますよ。日常的に容易であることを表す場合には「やさしい」「簡単」などを用い、容易であることに気軽さや侮蔑などの暗示を伴うときには「造作ない」「わけない」などを用います。なお「ほいほい」との違いは「ほいほい」は調子のよさの暗示があるという点でしょう。

「ほいほい」の対義語は?

「ほいほい」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「ぐずぐず」

「ぐずぐず」はためらっていて行動に敏速に移らない様子を表す表現。例えば「ぐずぐずしているとバスが行っちゃうわよ」「(捕虜に)ぐずぐずするな。さっさと歩け」は「する」が付いて述語になりますし、「客は食事がすんでもぐずぐずとどまっていた」「気分が乗らず、ぐずぐずと仕事を先送りにする」は単独でまたは「と」が付いて述語にかかる修飾語になりますよ。また、主体が積極的で取るべき行動を起こさず躊躇していることについて、話者の慨嘆と焦燥の暗示を伴います

その2「のんびり」

「のんびり」は行動すべきときに行動を起こさない性質や様子を表します。例えば「彼女まだ来ないよ。あの子、のんびりしてるからね」は「している」が付いて述語になりますし、「父は神経質なのに母はのんびりした性格だ」は「した」が付いて名詞にかかる修飾語になりますよ。「毎日音楽を聞きながらのんびりやの赤ちゃんを待っています」は「のんびり屋」の形で名詞を作り、話者の慨嘆・揶揄などの暗示を伴います。ただし、心身に余裕があって気楽である様子を表す「のんびり」との区別は簡単につかない場合も多い

「のんびり」は「のうのう」や「のほほん」に似ていますが、「のうのう」は怠惰・横着の暗示と話者の不快・焦燥の暗示がありますし、「のほほん」は主体が事態の重大さを理解できていないために気楽にしている様子を表し、しばしば主体の無邪気(幼稚・低能)の暗示を含み、話者の慨嘆・焦燥の暗示もあります

\次のページで「「ほいほい」の英訳は?」を解説!/

「ほいほい」の英訳は?

image by PIXTA / 47621398

「ほいほい」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「ほいほい」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「recklessly」

「recklessly」は「ほいほい」という意味です。「I followed him at a recklessly」で「彼の後をほいほいとついて行った」、「He's getting ahead of himself because everyone around him recklessly him on」で「周りがほいほいするから図に乗っている」と書き表すことができますよ。

「ほいほい」を使いこなそう

この記事では「ほいほい」の意味・使い方・類語などを説明しました。「ほいほい」は相手の要求をそのまま二つ返事でかなえてやる様子を表す表現「ほれほれ」にも似ていますが、「ほれほれ」は主体が手を尽くして相手をもてなす様子を表し、主体が上機嫌になっている暗示があると解説しましたね。そのため「ほいほいと甘やかす」は「これもあれもみんなあげるよ」、「ほれほれと甘やかす」は「これはどうだい。それともあれがいいかな」というニュアンスになります。それぞれのニュアンスの違いをしっかり覚えておきましょう。

" /> 「ほいほい」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「ほいほい」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「ほいほい」について解説する。
端的に言えば「ほいほい」の意味は「人や動物を追い立てる掛け声、気軽に軽率に物事をするさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「ほいほい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「ほいほい」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 73575874

それでは早速「ほいほい」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ほいほい」の意味は?

「ほいほい」には、次のような意味があります。

[1] 〘感動〙

① 牛や馬をせきたてるときに発する語。

② 人を呼ぶときに発する語。

③ 軽い気持で相手のすることを受けたり、応答したりするときに発する語。

[2] 〘副〙 軽い気持で調子よく物事をするさまを表わす語。

出典:コトバンク

「ほいほい」は相手の要求をそのまま二つ返事でかなえてやる様子を表し、調子のよさの暗示があります。「ほれほれ」にも似ていますが、「ほれほれ」は主体が手を尽くして相手をもてなす様子を表し、主体が上機嫌になっている暗示がありますよ。

「ほいほい」の語源は?

次に「ほいほい」の語源を確認しておきましょう。語源を確認する前に、ゴキブリと言えば某製薬会社の製品「ゴキブリホイホイ」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ダイレクトに駆除してくれる殺虫スプレーとは違って、いつの間にかごきぶりがシートの上におさまっている優れもの。ロッカールームやスタッフルームなどで見かけることも多いですよね。漢字で「ほいほい」は「歩意歩意」と書きます。それでは「歩」と「意」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「歩」は右と左の足跡が前と後ろに並んでいる様子を描いた字。互い違いに足を踏み出すことから「歩く」意味を表します。また、「意」は心と気がいっぱい満ちて塞がる意味の音を示す「音」とを合わせた字。気持ちがいっぱいに満ち塞がることから、心に「思う」「考える」意味を表しますよ。

\次のページで「「ほいほい」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: