この記事では「花道を飾る」について解説する。
端的に言えば「花道を飾る」の意味は「引退の華々しい場面」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「花道を飾る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「花道を飾る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「花道を飾る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「花道を飾る」の意味は?

「花道を飾る」には、次のような意味があります。

華々しく引退すること。惜しまれながら引退する人に使う表現。

出典:Weblio 辞書

「花道を飾る」は最後に華々しい活躍をして人に惜しまれて引退するという意味の慣用句です。また「花道」は歌舞伎の劇場で、客席を縦に貫いて設けられた俳優の出入りする通路のことですよ。

「花道を飾る」の語源は?

次に「花道を飾る」の語源を確認しておきましょう。それでは「花」と「飾」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「花」は草を表す「艹」と花の意味の音を示す文字とを合わせた字。草木の「はな」を表します。また「飾」は布を表す「巾」と綺麗にふき取る意味の音を示す文字とを合わせた字。物を拭いて綺麗にすることから「かざる」意味に使われるようになりました。

\次のページで「「花道を飾る」の使い方・例文」を解説!/

「花道を飾る」の使い方・例文

「花道を飾る」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.今話題の彼は大相撲の舞台ではなみちを飾った。

2.彼はサッカーの決勝戦でさいごに素晴らしいゴールをきめはなみちを飾った。

例文1は有終の美を飾るように素晴らしい取り組みだったことがわかります。また、例文2からはいんたいを考えていた彼が最後の試合でチームを勝利に導いてサッカー生活に幕を閉じたかったことが読み取れますね。

「花道を飾る」の類義語は?違いは?

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「花道を飾る」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「惜しい」

「惜しい」は大切で価値があるので失うのがつらい様子を表しますよ。「いくら無鉄砲な奴でも命はおしい」「残り少ない病床の日々がおしく思われる」は絶対的に貴重だという意味、「平社員でおいておくにはおしい男だ」「一人で見るにはおしい景色だ」は「平社員」「一人で見るだけ」という待遇に比べてより価値があるという相対的な意味です。「おしい方をなくしました」は葬式でよく用いられる挨拶語で、故人に対するほめ言葉となっていますし、「大切な品だが、君にあげるのならおしくない」は手放したくない、失いたくないという様子を表しますよ。これは対象の貴重さ、価値にはよらず、その人にとって失い難く思われるかどうかというきわめて主観的な判断によります

この「惜しい」は「もったいない」に近いですが、「もったいない」の方が用法が狭く、より具体的であって一つしかないものの失い難さにはふつう用いません。また「惜しい」では有効に使われないものの価値に対する愛惜のニュアンスが強く出るのに対して、「もったいない」では有効に使わないことへの慨嘆・不満の気持ちが入る点が異なります。したがって「時間が惜しい」は「失われていく時間が貴重だ」、「時間がもったいない」は「使わなければ損だ」というニュアンスになりますよ。ちなみに「花道を飾る」との違いは、「惜しい」は大切で価値があるので失うのがつらい様子を表すという点です。

その2「晴れがましい」

「晴れがましい」は「こんなはれがましい席に出るのは初めてだ」「僕なんかが賞をいただけるなんて、たいへんはれがましく思っております」などのように表だっていて華やかに見える様子を表します「…がましい」は「…のように見える」という意味の形容詞を作る語尾。「華やか」「晴れやか」などに似ていますが、客観的に華麗であるという意味ではなく、第三者の目に加齢に見えるという人間の視点を一度経由した表現になっています。その結果、「彼は引っ込み思案ではれがましい場所が苦手だ」のように平静を保てない心理を引き起こすことがありますが、心理そのものを表す語ではなく、あくまでも第三者から見た状況の様子を表すというニュアンスがありますよ。なお「花道を飾る」との違いは、「晴れがましい」は表だっていて華やかに見える様子を表すという点です。

「花道を飾る」の対義語は?

「花道を飾る」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「情けない」

「情けない」は「まだ一回も勝てないとはなさけない」「デートの掛け持ちされるなんてなさけない話だな」などのように物事が腹立たしく悲観すべき様子を表します。主観的な怒りや慨嘆の暗示があり、対象への心理的な傾斜の感じられる表現になっている点が、とても冷静で対象との距離を感じさせる「嘆かわしい」と異なりますよ。「情けない」は「不甲斐ない」にも似ていますが、「不甲斐ない」が対象の情けない状況そのものを評す語であるのに対して、「情けない」は対象を見て受ける感想を表現する語である点が異なります。したがって「夫の情けなさに不甲斐なくなった」は誤用となり、正しくは「夫の情けなさに情けなくなった」となりますよ。

その2「嘆かわしい」

「嘆かわしい」は物事が腹立たしく悲観すべき様子を表します。慨嘆を表す語ではありますが、とても冷静な表現である理想に比べて悲観すべきだというニュアンスがありますよ。「嘆かわしい」は「情けない」に似ていますが、「情けない」が主観的な怒りや慨嘆を暗示するのに対して、「嘆かわしい」は一定の理想を頭に置いてそれとの比較において悲観すべきだという対象と距離のある表現になっていて、主観的な怒りの暗示は少ない点が異なります。したがって「男の子が泣いて帰って来るなんて嘆かわしい」は誤用となり、正しくは「男の子が泣いて帰って来るなんて情けない」となりますよ。

「嘆かわしい」は「腹立たしい」や「忌々しい」にも似ていますが、「腹立たしい」や「忌々しい」はおもに主観的な怒りを表し、悲しみや慨嘆の暗示はない点が「嘆かわしい」と異なります。そのため「あんな奴にだまされるなんて嘆かわしい」は誤用となり、正しくは「あんな奴にだまされるなんて腹立たしい(忌々しい)」となりますよ。

\次のページで「「花道を飾る」の英訳は?」を解説!/

「花道を飾る」の英訳は?

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「花道を飾る」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「花道を飾る」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「adorn the last days of one's career」

「adorn  the last days of one's career」は「自分のキャリアの最後の日を飾る」という意味です。「He couldn't adorn  the last days of one's career he was completely defeated」で「完敗したため花道を飾ることはできなかった」、「The team won the championship and adorn  the last days of one's career」で「チームは見事優勝し花道を飾った」と言い表すことができますよ。

「花道を飾る」を使いこなそう

この記事では「花道を飾る」の意味・使い方・類語などを説明しました。「花道を飾る」は最後に華々しい活躍をして人に惜しまれて引退するという意味だと解説しましたね。また、ややプラスよりのイメージの語で必要不可欠である様子を表す言葉に「なくてはならない」があります。「彼はわが社にはなくてはならない人材だ」などのように、必要不可欠である結果、大切であるというニュアンスを含み持つことが多いですよ。言葉の意味の違いを正しく理解し使い分けるようにしましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「花道を飾る」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「花道を飾る」について解説する。
端的に言えば「花道を飾る」の意味は「引退の華々しい場面」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「花道を飾る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「花道を飾る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「花道を飾る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「花道を飾る」の意味は?

「花道を飾る」には、次のような意味があります。

華々しく引退すること。惜しまれながら引退する人に使う表現。

出典:Weblio 辞書

「花道を飾る」は最後に華々しい活躍をして人に惜しまれて引退するという意味の慣用句です。また「花道」は歌舞伎の劇場で、客席を縦に貫いて設けられた俳優の出入りする通路のことですよ。

「花道を飾る」の語源は?

次に「花道を飾る」の語源を確認しておきましょう。それでは「花」と「飾」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「花」は草を表す「艹」と花の意味の音を示す文字とを合わせた字。草木の「はな」を表します。また「飾」は布を表す「巾」と綺麗にふき取る意味の音を示す文字とを合わせた字。物を拭いて綺麗にすることから「かざる」意味に使われるようになりました。

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