この記事では「荷が重い」について解説する。
端的に言えば「荷が重い」の意味は「能力の割には仕事の責任や負担が大きい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「荷が重い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「荷が重い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「荷が重い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「荷が重い」の意味は?

「荷が重い」には、次のような意味があります。

負担が重い。責任が重大だ。また、責任や負担が大きく負いきれない。

出典:コトバンク

「荷が重い」は能力に対して仕事の負担や責任が大きいという意味。この場合の「重い」は程度が高くて深刻な様子を表します。

「荷が重い」の語源は?

次に「荷が重い」の語源を確認しておきましょう。読み方は「にがおもい」です。それでは「荷」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「荷」は草を表す「艹」と音を示す「何」とを合わせた字。元は水中に生える「はす」の意味を表します。後に荷物を「かつぐ」意味の「何」の字が、疑問の言葉に使われたため、同じ音の「荷」が「にもつ」「になう」の意味にあてて使われるようになりました。

\次のページで「「荷が重い」の使い方・例文」を解説!/

「荷が重い」の使い方・例文

「荷が重い」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.会長の娘との結婚話を持ち掛けられて荷が重いと、健太は会社の友だちに愚痴をこぼしていた。

2.お客様から機能の正確性についての説明を求められたが、私には荷が重い。

3.軽トラの運転を頼まれたが、普通免許を持っているだけでほとんどハンドルを握ったことがないため荷が重い。

例文1からは気苦労の多い人生になるからおすすめできないが、あなた自身の問題だから最終的には自分で判断しなさいと諭されている様子が伺えます。また、例文2からは説明書に記載されている内容を理解していないために上手く説明できない様子が伝わってきますし、例文3からはペーパードライバーであることが読み取れますね。

「荷が重い」の類義語は?違いは?

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「荷が重い」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「拙い」

「拙い」は能力が劣っている様子を表しますこの用法は非常に限定されていて、「つたない者ですが、以後お見知りおきを」のように自己紹介の挨拶語として卑下する気持ちをこめて用いられますよ。ただし、あまり日常的な用法ではなく「ふつつか」の方を用いることが多く、この意味で「下手」や「まずい」を用いることはできません。意味的には「おろか」などに通じますが、「おろか」には対象に対する侮蔑の暗示があるので、自己卑下の挨拶としては用いません。なお「荷が重い」との違いは、「拙い」は自己卑下のニュアンスを含むという点です。

\次のページで「その2「まずい」」を解説!/

その2「まずい」

「まずい」は「まずい歌でも伴奏がいいとよく聞こえるもんだ」「彼女の字は相当にまずい」などのように技術が巧みでない様子を表し、技術が未熟であるのみならず結果がよくないことを暗示します。この「まずい」は「下手」に似ていますが、「下手」がやや客観的に技術のなさを述べるのに対して、「まずい」は技術が巧みでないために結果がよくないというニュアンスがあり、よくない結果について慨嘆ないし不快の暗示がありますよ。そのため「まずい歌」は「芸術的に好ましくない歌」、「下手な歌」は「声や技術が巧みでない歌」というニュアンスになります。また「拙い」にも似ていますが、「拙い」は文章語的で日常会話には登場せず、やや間接的なニュアンスのある点が異なるでしょう。ちなみに「荷が重い」との違いは、「まずい」は技術が未熟であるのみならず結果がよくないことを暗示するという点です。

その3「乏しい」

「乏しい」は必要量に足りない様子を表す形容詞具体的な物の量が足りない場合と、抽象的なものが基準に達していない場合とがあります。やや文章語的で日常会話にはあまり登場しません。例えば「日本には石油資源がとぼしい」「保存食糧がとぼしくなってきた」が基本的な意味、「とぼしい中から分かち合ってきた仲だ」は物質的に必要量が足りない結果、生活が苦しいという意味で、「貧しい」に近いです。抽象的なものが基準に達していないという意味で用いる場合、「□□がとぼしい」「□□にとぼしい」と二通りの助詞を伴いますよ。「乏しい」は「貧しい」に似ていますが、「貧しい」が物質的に不足している結果、生活が苦しいという意味であるのに対して、「乏しい」はふつうは生活の苦しさまでは暗示せず、客観的にあるものの量が不足していることだけを表す点で異なります。

不足しているという意味では「少ない」にも似ていますが、「少ない」が量が小であることについての客観的な表現であるのに対して、「乏しい」は必要量に足りないという比較したうえでの不足を暗示し、マイナスイメージの語になっていて、量が小であることが好ましい場合には用いられません。したがって「その国では交通事故の死者が乏しい」は誤用となり、正しくは「その国では交通事故の死者が少ない」となりますよ。なお「荷が重い」との違いは、「荷が重い」は能力に対して仕事の負担や責任が大きいという点です。

「荷が重い」の対義語は?

「荷が重い」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

「ちょろい」

「ちょろい」は「こんな仕事、ちょろいちょろい」「彼にしてみればちょろい問題だよ」などのように簡単で容易である様子を表しますよ。日常会話中心に用いられる俗語で、対象に対する侮蔑の暗示のある語です。述語で用いられることが多く名詞にかかる修飾語になることもありますが、述語にかかる修飾語で用いられることは少ないでしょう。また「ちょろい」は「容易い」「やさしい」「わけない」などに似ていますが、これらには侮蔑の暗示はないか、あっても「ちょろい」よりは格段に少ないです。

「荷が重い」の英訳は?

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「荷が重い」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「荷が重い」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「heavy burden」」を解説!/

「heavy burden」

「heavy burden」は「重い負担」という意味です。「It's heavy burden for him. You shouldn't do that」で「あの人には荷が重すぎるからやめた方がいい」、「I know it's a heavy burden, but maybe you could try a little harder」で「荷が重いかもしれないけれど、もう少し頑張ってみてくれないか」と書き表すことができますよ。

「荷が重い」を使いこなそう

この記事では「荷が重い」の意味・使い方・類語などを説明しました。「荷が重い」は能力に対して仕事の負担や責任が大きいという意味の慣用句この場合の「重い」は程度が高くて深刻な様子を表すと解説しましたね。また「重い」には原則として極端なプラスマイナスのイメージはありません。「重い雰囲気」というような場合にはややマイナス寄りのイメージになりますが、雰囲気などが気づまりであることをより強調する場合には、はっきりしたマイナスイメージをもつ「重苦しい」の方を用いますよ。そのため「葬儀場は重い雰囲気に包まれていた」は「葬儀場は重苦しい雰囲気に包まれていた」と言い換えた方が適切でしょう。

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【慣用句】「荷が重い」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「荷が重い」について解説する。
端的に言えば「荷が重い」の意味は「能力の割には仕事の責任や負担が大きい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「荷が重い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「荷が重い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「荷が重い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「荷が重い」の意味は?

「荷が重い」には、次のような意味があります。

負担が重い。責任が重大だ。また、責任や負担が大きく負いきれない。

出典:コトバンク

「荷が重い」は能力に対して仕事の負担や責任が大きいという意味。この場合の「重い」は程度が高くて深刻な様子を表します。

「荷が重い」の語源は?

次に「荷が重い」の語源を確認しておきましょう。読み方は「にがおもい」です。それでは「荷」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「荷」は草を表す「艹」と音を示す「何」とを合わせた字。元は水中に生える「はす」の意味を表します。後に荷物を「かつぐ」意味の「何」の字が、疑問の言葉に使われたため、同じ音の「荷」が「にもつ」「になう」の意味にあてて使われるようになりました。

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