この記事では「一言多い」について解説する。
端的に言えば「一言多い」の意味は「言う必要のない余計な事を言うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「一言多い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「一言多い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一言多い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一言多い」の意味は?

「噂をすれば影がさす」には、次のような意味があります。

人の噂をしていると、不思議に当人が姿を現す。

出典:コトバンク

「噂をすれば影がさす」は「噂されるとくしゃみする」という俗信と同じで、言葉のもつ霊力(言霊)が人に影響をもつという古い信仰の表れだと言える慣用句です。

「一言多い」の語源は?

次に「噂をすれば影がさす」の語源を確認しておきましょう。それでは「噂」と「影」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「影」はかざる意味を表す「彡」とはっきりする意味の音を示す「章」とを合わせた字。はっきりした模様を表すことから、後に「あきらか」「あらわす」の意味に使われるようになりました。

\次のページで「「一言多い」の使い方・例文」を解説!/

「一言多い」の使い方・例文

「噂をすれば影がさす」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.課長はコミュニケーションの一環だと思っているのか、マウンティングをしてくる上に、いつもひとこと多く嫌味ったらしい。

2.あの女性は無意識なのかもしれないが、何かとひとこと多くみんなを不安にさせるので苦手だ。

3.あなたはいつもひとこと多い。だから男性から性格が悪いと思われていて人気がないよ。

4.ひとこと多いかもしれないけど、語彙力を自慢したり相手の反応を伺って一方的に発言したりするのは良くないよ。

例文1は嫌われ者の上司によくいるタイプ。例文2からは女性が嫌われている理由が場の空気を読まないで好き勝手に発言するのが原因だということが分かりますし、例文3からはその女性が批判的な内容を口にするので男性からは不評を買っていることが伝わってきます。また、例文4からは優位に立ちたいが故の行動なのでしょうが、相手の気持ちも考えて発言した方が良いと諭されていることが読み取れますね。

「一言多い」の類義語は?違いは?

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「噂をすれば影がさす」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「得てして」

「得てして」は「金持ちはえてしてけちが多い」などのようにある傾向になりがちである様子を表します。「都会にいるとえてして自然の美しさにばかり目がいき、自然の恐ろしさには気づかないものだ」のように傾向を表す「…ものだ」に呼応することが多い「得てして」の暗示する傾向は実現の可能性は高くないでしょう。また、ふつうの常識に反するような内容であることが多く、必然的に導かれる内容についてはあまり用いられません

「得てして」は「とかく」や「ややもすると」に似ていますが、「とかく」の表す可能性はとても高く、自分の力の及ばない無力感やあきらめの暗示がありますし、「ややもすると」は言外にある条件を仮定して、その条件のとき一定のあまり好ましくない結果になる可能性や傾向を暗示します。そのため「得てしてこの世はままならぬ」「私たちは得てして太陽の恩恵を忘れがちになる」は誤用となり、正しくは「とかくこの世はままならぬ」「私たちはややもすると太陽の恩恵を忘れがちになる」となりますよ。ちなみに「噂をすれば影がさす」との違いは、「得てして」の暗示する傾向は実現の可能性は高くないという点です。

その2「兎角」

「兎角」は一般的にあまり好ましくない傾向である様子を表す副詞。「年をとるととかく事を性急に考えがちになる」「母親は息子の妻をとかく批判的に見たがる」などのように述語にかかる修飾語として用いられます。「ボーナスは減ってもローンは減らないなんて、とかくこの世はままならぬだね」の「とかくこの世はままならぬ」は慣用句で、いろいろやってみたところで、結局この世は自分の思う通りにはならないものだという無力感やあきらめの気持ちを暗示しますよ。

「とかく」は「ともすると」や「ややもすると」に似ていますが、これらはある条件を仮定して、その条件のとき一定の結果になるという意味で用いられ、実現の可能性は「とかく」よりも低いでしょう。なお「噂をすれば影がさす」との違いは、「兎角」は一般的にあまり好ましくない傾向である様子を表すという点です。

「一言多い」の対義語は?

「噂をすれば影がさす」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

「むろん」

「むろん」は明白な意見や判断を述べる様子を表しますとてもかたい文章語的でくだけた会話にはあまり登場しません。例えば「ぼくはむろん君の意見に賛成だ」は述語にかかる修飾語、「結婚式に来てくれるかい。むろんだよ」は述語の用法、「オリンピックの開会式では、主催者はむろんのこと、選手も観客も一様に喜びに包まれていた」は「□□はもろんのこと」、「政治改革の失敗については政府に責任があるのはむろんだが、国会全体の責任でもある」は「□□はむろんだが」の形で条件句を作ります

主体が自分の主観的な判断でゆきついた結論を述べるというニュアンスがありますよ。また、「むろん」は「もちろん」や「とうぜん」に似ていますが、「もちろん」は「むろん」よりはくだけた場面でも用いられ主観性がより強くなりますし、「とうぜん」は論理上の帰結を表し、「むろん」とは反対に社会の規範に合致する客観性の暗示があります

「一言多い」の英訳は?

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「噂をすれば影がさす」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「噂をすれば影がさす」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「speak rumours of someone and they shall appear」」を解説!/

「speak rumours of someone and they shall appear」

「speak rumours of someone and they shall appear」は「噂をすれば影がさす」という意味です。「If you speak of rumors, shadows will appear, and the she suddenly appeared」で「噂をすれば影がさすで、彼女が突然現れた」、「As the saying goes, if you talk about it, I was surprised when the man I'd heard so much about showed up」で「噂をすれば影がさすと言うが、噂していた彼が姿を現して驚いた」と表現することができますよ。

「一言多い」を使いこなそう

この記事では「噂をすれば影がさす」の意味・使い方・類語などを説明しました。「噂をすれば影がさす」はある人の噂をすると、思いがけなく偶然その人が現れるものだという意味の慣用句だと解説しましたね。また「噂をすれば影がさす」同様、意外の暗示があり見えないところから急に出現する言葉に「ひょこっと」があります。「ひょこっと」は「ひょっこり」に似ていますが、「ひょっこり」は突然出現したものに偶然遭遇する様子を表し、意外性と僥倖の暗示があります。言葉の意味の違いを正しく理解し使い分けるようにしましょう。

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国語言葉の意味

「一言多い」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「一言多い」について解説する。
端的に言えば「一言多い」の意味は「言う必要のない余計な事を言うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「一言多い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一言多い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一言多い」の意味は?

「噂をすれば影がさす」には、次のような意味があります。

人の噂をしていると、不思議に当人が姿を現す。

出典:コトバンク

「噂をすれば影がさす」は「噂されるとくしゃみする」という俗信と同じで、言葉のもつ霊力(言霊)が人に影響をもつという古い信仰の表れだと言える慣用句です。

「一言多い」の語源は?

次に「噂をすれば影がさす」の語源を確認しておきましょう。それでは「噂」と「影」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「影」はかざる意味を表す「彡」とはっきりする意味の音を示す「章」とを合わせた字。はっきりした模様を表すことから、後に「あきらか」「あらわす」の意味に使われるようになりました。

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