この記事では「足が早い」について解説する。
端的に言えば「足が早い」の意味は「食べ物などが腐りやすい、売れ行きがよい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「足が早い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「足が早い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「足が早い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「足が早い」の意味は?

「足が早い」には、次のような意味があります。

1 食物などが腐りやすい。「鯖(さば)は―・い」

2 商品などの売れ行きがよい。

出典:コトバンク

「足が早い」は食べ物が腐りやすい、商品の売れ行きがよいという意味の慣用句です。この場合の「早い」は移動や進捗の速度が大きく、よく進む様子を表しますよ。

「足が早い」の語源は?

次に「足が早い」の語源を確認しておきましょう。それでは「早」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「早」は太陽を表す「日」と種の皮が避けて破れる意味の音を示す「十」とを合わせた字。夜の暗闇が破れて日が昇り始める意味を表します。夜明けの時間がはやいことから、「はやい」意味に使われるようになりました。

\次のページで「「足が早い」の使い方・例文」を解説!/

「足が早い」の使い方・例文

「足が早い」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.鮮度が落ちると何でも不味くなる。コンビニ食品も夏はあしが早いから早く食べてしまわないといけないよ。

2.この子ども服はあしが早いから大量に仕入れても大丈夫だ。ストックの分も不思議とおもしろいように売れる。

3.クール便で配送された食材の中に処理済みの光り物の青魚がつめられていた。サバ等のヒカリモノはあしが早いから早めに食べてしまわないといけない。

例文1からは飽食の幸せな時代に生まれても腐った物は食べられないので、夏場は特に食品管理において注意が必要であることが読み取れますし、例文2からは売れ行きの良い商品であることが伺えます。また、例文3のように日持ちしない食品はあっという間に腐敗が進んで室内に臭気を放つので管理が大変ですよね。

「足が早い」の類義語は?違いは?

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「足が早い」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「そく」

「そく」は時間をおかずに行動する様子を表し、動作にかかる修飾語として用いられます。また、行為にかかる際の主体の積極性と切迫感の暗示があり、日常会話中心に用いられかたい文章中にはあまり登場しません。なお、「そく」は「即刻」や「直ちに」に似ていますが、「即刻」はほんの少しの猶予も認めない切迫感と事柄の重大さの暗示がありますし、「直ちに」はある行動から次の行動に引き続いて移るというニュアンスで用いられますよ。ちなみに「足が早い」との違いは、「そく」は行為にかかる際の主体の積極性と切迫感の暗示があるという点です。

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その2「早々」

「早々」は「(新婚の友人宅で)邪魔者はそうそうに退散するから心配しないでね」「台風なので仕事をそうそうに切り上げて帰宅した」などのように時間的に隔たっていない様子を表し、「早々に」の形で述語にかかる修飾語として用いられます。また、「早々」は「できるだけ急いで」という意味ですが、行為にかかるまでの所要時間を短くしようとする主体の意志を暗示しますよ。そのため、しばしば「慌てて・適当に」というニュアンスを伴うでしょう。この「早々に」は「早急に」「すぐ」に似ていますが、「早急に」「すぐ」は客観的で行為にかかる所要時間が非常に短いことだけを表し、主体の意志には言及しません。なお「足が早い」との違いは、「早々」は行為にかかるまでの所要時間を短くしようとする主体の意志を暗示するという点です。

その3「すかさず」

「すかさず」はある状況や行動に対する反応にかかる時間が非常に短い様子を表します。例えば「彼は席が空くとすかさず割り込んで座る」「西部の選手は四球で塁に出るとすかさず走る」などのように述語にかかる修飾語として用いられますよ。前者が基本的な用法で、反応動作にかかる所要時間が非常に短い様子を表しますし、後者は具体的な所要時間は問題にせず、四球という状況に敏感に対応するという意味になりますめぐってきた機会を逃さない狡猾さ・抜け目なさが暗示される表現でしょう。また、「すかさず」は「間髪を入れず」や「すぐさま」に似ていますが、「間髪を入れず」は反応時間が非常に短いためにほとんど同時と感じられる点にポイントがあります

「すぐさま」は反応時間が短いことを客観的に表し、抜け目なさの暗示はありません。そのため「味方のピンチを聞いてすかさず応援にかけつけた」は誤用となり、正しくは「味方のピンチを聞いてすぐさま応援にかけつけた」となります。なお、「すかさず」は「すぐ」「直ちに」などにも似ていますが、「すぐ」「直ちに」は単に動作にかかるまでの所要時間が非常に短いという意味で、状況や行動への反応時間の短さを意味しません。したがって「これからすかさず出かけます」は誤用となり、正しくは「これからすぐ(直ちに)出かけます」となります。「足が早い」との違いは、「すかさず」は反応動作にかかる所要時間が非常に短い様子を表すという点です。

「足が早い」の対義語は?

「足が早い」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「鈍い」

「鈍い」は比ゆ的な用法で、さまざまのものの活動が遅く程度が低くて印象の薄い様子を表します。「暗い夜道に街灯がにぶく光っていた」は光がぼんやりとしてあまり明るくない様子を表し、「傷口はふさがったけれど、まだにぶい痛みがある」はあまり強くない痛みという意味、「突然大きな袋を落とすようなにぶい音がした」は重く濁った音という意味

例えば「さしもの台風も上陸すると勢力がにぶくなる」「今年は例年に比べて生産の伸びがにぶい」は動作や勢いが遅いという意味です。この時は「鋭い」が反対語になれる場合となれない場合とがありますよ。なお、この「鈍い」は「のろい」「遅い」「とろい」「弱い」などに置き換え可能ですが、具体的に速度や強さの条件を示すことなく、漠然と程度が低いと述べるのにとどまるのが「鈍い」の意味です。

その2「芳しくない」

「芳しくない」は客観的に見て好ましくない様子を表す形容詞。例えば「検査の結果はかんばしくなかった」は検査の結果がよくなかったという意味、「最近、彼のかんばしくない噂を聞いたよ」はよくない評判を聞いたという意味です。また、「芳しくない」は「思わしくない」に似ていますが、「思わしくない」がどちらかと言えば個人的な希望が実現しないことを暗示するのに対して、「芳しくない」では世間の評判や正常の検査結果など、客観的な基準に照らして感心できないというニュアンスになる点が異なります。したがって、個人的・主観的な事柄について「芳しい」は用いられません。そのため「僕の成績は最近どうも芳しくない」は誤用となり、正しくは「僕の成績は最近どうも思わしくない」となります。

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「足が早い」の英訳は?

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「足が早い」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「足が早い」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「Rots easily」

「Rots easily」は「簡単に腐る」という意味です。「Be careful with this vegetable, it's Rots easily」で「この野菜は足が早いので気をつけてください」、「It is a rots easily fruit, so consume it while it is fresh」で「足が早い果物なので新鮮なうちに消費してください」と書き表すことができますよ。

「足が早い」を使いこなそう

この記事では「足が早い」の意味・使い方・類語などを説明しました。「足が早い」は食べ物が腐りやすい、商品の売れ行きがよいという意味。また、人間の動作について用いられる「はやい」は「手早い」に似ていますが、「手早い」は動作にかかる所要時間が短いことを暗示し、動作の速度が大きいことは暗示しません。この「はやい」は「素早い」にも似ていますが、「素早い」は敏捷さが強調され瞬間としての宗田の速度を意味し、継続して速い速度で移動することは意味しません。それぞれの表現の違いを正しく理解しましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「足が早い」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「足が早い」について解説する。
端的に言えば「足が早い」の意味は「食べ物などが腐りやすい、売れ行きがよい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「足が早い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「足が早い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「足が早い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「足が早い」の意味は?

「足が早い」には、次のような意味があります。

1 食物などが腐りやすい。「鯖(さば)は―・い」

2 商品などの売れ行きがよい。

出典:コトバンク

「足が早い」は食べ物が腐りやすい、商品の売れ行きがよいという意味の慣用句です。この場合の「早い」は移動や進捗の速度が大きく、よく進む様子を表しますよ。

「足が早い」の語源は?

次に「足が早い」の語源を確認しておきましょう。それでは「早」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「早」は太陽を表す「日」と種の皮が避けて破れる意味の音を示す「十」とを合わせた字。夜の暗闇が破れて日が昇り始める意味を表します。夜明けの時間がはやいことから、「はやい」意味に使われるようになりました。

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